★★★★★

あらすじ

ALSに侵された主人公が、妻や仲間とともに自転車旅行しながら、安楽死してくれるスエーデンを目指す話。

 

みどころ

脚本。

 

※ネタバレ含みます

 

実はですね、にちゃんのまとめスレ見ていたら、近頃世間に衝撃を与えた、医師による嘱託殺人のことを話しているお医者さんの立てたスレがありまして、そこでこの作品が紹介されてました。

「幸せなひとりぼっち」

 

★★★☆☆

あらすじ

気難しくて近所の嫌われ者のへんくつ爺さんが、孤独死するまでの話。

 

みどころ

へんくつ爺さんのへんくつぶり。

 

スレ立てした医師によると、スウェーデン映画で尊厳死を扱った映画だとのことでしたが、全部観終わってから思いました。

ちゃうやんけ!と。

つまり、同じスウェーデン映画でも

「君がくれたグッドライフ」が正解でしたね。

しかも、Amazonプライムの無料リストではなかったので有料ですわ。

観ましたけども。

 

さて、ここからは感想なんですが、長くなりそうだなぁ。

 

実は私、2016年2月に27歳の長女を見送っておりまして、彼女はガンで一年の闘病の末、緩和ケア病棟で逝きました。

それもあって、この映画はしょっぱなから泣きっぱなしです。

あのね、見送るものにとって、残された時間はホラーなんですね。

いつ何が起きてもおかしくない。自分の足元にでっかい大穴が開いていて、いつどこでその穴に落ちるかわからない。

でも、その穴に落ちるのは自分ではなく最愛の娘です。

それほど怖いことってないんですよね。

なので、ホラー映画の中を生きているような一年でした。

だからね、死に向かって自転車旅行を続ける主人公の周囲の友人たちが、どんな気持ちで彼を見守っているかが痛いほどわかるんです。

だから、ピリピリハラハラしながら主人公を見守る友人たちに、普段通りでいてくれなんて、言ってくれるなよと思いました。

そんなの無理に決まってんだろバカと。

ちなみに、私の娘はその辺りよくわかっていて、大いに特別扱い苦しゅうないって感じでしたw

実際、体力的にも無理がありましたしね。

それが、筋萎縮性側索硬化症患者が長距離移動の自転車ですもん。

友人たちの思いはいかばかりか、ですよ。

私の娘はね「私、みんな(家族)の立場じゃなくてよかったー」って言う子でした。

私たちの痛みをよくわかっていたんだと思います。

これ聞いた時は家族全員で笑いましたけどね。

あー、言ってるだけで涙出てきますね。

あ、そうそう、人間、どんな時でもおかしいことがあれば笑えます。

娘がいよいよ最期の瞬間に、三女妹がたまたまトイレに入っていて、私が

「まだダメ!! まだ止めちゃダメ!! 三女がトイレ入ってるよ!!」

って言ったら、あの子、妹がトイレから飛び出してくるまでもう一息待ってくれたんですよ。

その時もやっぱり、家族みんなで笑ってしまいました。

さすがお姉ちゃんだって。

そして、最期の息が止まった瞬間、ホッとしたんです。

ああこれでこの子は、もうこれ以上苦しむことがないんだって。

 

緩和ケア病棟と普通病棟の敷居をガタンと越えた時、車椅子に座っていたあの子の首がぐらっと揺れるのを見て、死刑囚が階段を上がる時ってこんな気持ちなのかなって思いました。

目の前が真っ暗になるほどの絶望を味わいました。

 

そんな私が、映画の主人公の周囲の人々の気持ちに共感しまくりの映画でした。

そして、今も思うのは、あの子は自分の死をどう見ていたんだろうと。

見送る側が見ている死と、当人が見ている死は絶対に違うと思うんですね。

今にして思っても、同じ川で泳いでいるように見えて、実は全く違う流れの中で泳いでいたんだろうなと思います。

この映画でも、そこを描ききれていたかどうかはわからないです。

結局は死んだ人の口からそれが語られることはないからです。

そして、私はそのことを娘に聞けなかったです。

受け止めることができなかったと言うより、あの子が口にしなかったからです。

お互いに、言ってもせんないことだということを、痛いほどわかっていて、でも、一旦口にしたら、止まらないんじゃないかと思うと口にできなかったんじゃないでしょうか。お互いに苦しめるだけだと。

 

この映画、とてもリアルです。

そんなお互いの痛みを描き分けられていたのではないかと思います。

ラスト間際で、さあ、明日はいよいよ安楽死の日だと言う時に、ちょっと意表を突かれる出来事が起きるんですね。

これは映画見てのお楽しみです。

この演出が物凄く良かったです。

 

さて、いよいよ当日です。

さぞやでかい病院かと思ったんですけど、スウェーデンの安楽死って医師の個人医院で静かに行われるんですね。

確かにそりゃそうかと思いました。

注射器一本で済むんですもんね。

ちょっと新鮮でした。

 

ちなみに、日本の緩和ケア病棟は立派です。

がんセンターだったからですかね。

 

ただね、これから尊厳死を迎える主人公を、妻や友人の他に親兄弟も見守るんですね。

主人公の腕に医師が注射するその瞬間、私は耐えられないと思いました。

たぶん、医師に「この人殺しー!」って大暴れすると思う。

理屈じゃないんです。

そういえば、長女の遺体を火葬場に入れる時、

次女が「やめてー!!」って大暴れしたんですよ。

「お母さん、あのおじさん止めてええ!!」って。

そこでこの騒ぎですから、まだ生きているあの子の体に注射は見ていられなかったと思います。

この先何が待っているかわかっていても、です。

映画見ててもえぐられるような気持ちになりました。

このシーンだけは身体が震えました。

このお母さん、よく冷静でいられるなと思いました。

でも、それも人ぞれぞれではあると思う。

だからやっぱり、

尊厳死の道は遠いなぁ……。

と思いました。