★★★☆☆

あらすじ

火事になった自宅の庭に、16年前に殺した娘の遺体を埋めましたと自首してきた夫婦と、ひょんなことからその事件を追うことになったルポライターが事件の真相に迫るミステリー。

あの「模倣犯」から9年後の、前畑滋子の話ですね。

 

このドラマは、まーなにしろ地味で暗い夫婦・小林薫&松田美由紀と金子ノブアキの仕事が本当に良かった。

宮部みゆきの原作「楽園」の深さに比べれば、ドラマ全体の作りとしては、いい意味でごく普通に見応えのあるミステリーであり、人間ドラマになっていたと思います。

金子ノブアキの不気味さったらなかったね。

はまり役だったと思います。

 

ただ私は、原作をずいぶん前に読んでいて、2007年に単行本が発売されているので、もう12年前になりますか——話の内容をほとんど覚えてなかったので、ドラマの謎が普通に気になりましたw

では、この本の何を一番覚えているかといえば、

最初に前畑滋子のところに調査を依頼する、萩谷敏子(西田尚美)の生い立ちをいまだに鮮明に覚えてるんですよねえ。

ドラマでは一切描かれてないし、実際、ドラマにはあまり関係のない話なので。

 

小説の中の敏子は、霊能力を持った占い師をやっている強烈な刀自(とじ)の祖母の元で、祖母や一家のために、ひたすら尽くし続ける生き方をしてきた女なんですね。

社会に出ることも、結婚も許されず、ひたすら大家族の世話だけをし続けてきた女が、ごくごく短い時間だけ恋をして、やっと授かったのが、息子の等で、でも結婚はとうとう許されず、等の父も死んでしまうし、結局はその息子も、祖母から受け継いだらしいその特異な能力故に事故死してしまう、みたいな。

そんなことってある?

それでも、誰を恨むわけでもなく、ただひたすらに善良で身を粉にして働き、誰かの世話をし続ける女。

そんなことってある?

ショックなので二度言いました。

彼女の人生に思いを馳せ続けたがために、肝心の本編をすっかり忘れてしまう。

「楽園」は私にとってそんなお話でした。

ちなみに、小説の中の敏子を演じるには、西田尚美は綺麗すぎますw

そして、なんか生々しすぎます。

西田尚美は悪くありません。

小説の中の敏子が特殊なんだと思います。