70を少し過ぎて、今の住まいに転居した。


子供達や、職人達や、近所のおばちゃん友達が(お茶飲み)


始終出入りして、


にぎやかに暮らしていた前の住まいだったが、


子供達もそれぞれ自立して、


それでも相変わらず家具や荷物が減らない我が家を、


すっきりと、捨てる物(ばかりだった)を捨て


車で15分くらいの場所に引っ越してから


夏になれば2年が経つ。


前の住まいも、少し歩けば川の土手には桜が咲き乱れ


景色は良かったが、


今は、それよりもう少しのどかな場所だ。


ジジババ2人の生活は、それでも指圧の先生に出張してもらったり、


肩凝りや腰痛の人が集まって、お喋りしながら順番を待ったり、、と、


相変わらず、人の出入りは多いが、


家のベランダから桜を観ることができるので、


昨年から「桜見においで!」と、


友人達には言っていた。


先日、、なかなかスケジュール調整が難しく、、


、、やっとのことで、昔からの友人2人が


ランチを兼ねて、(ワタシの粗末な手作りで、、)


来てくれたが、もう桜は「葉桜」になっていた。


「ま、いいわね!アタシ達が『花桜』ということで、、」と言いながら、集まった。


「子育て支援金なんて、もらわなかったよねー」


「出産だって、国民健康保険じゃ、そんなにもらわなかったわよ」


「よくやってきたよね!アタシ達」


「子供なんて、自分の責任で産んで育てたよね」


「親がワタシ達にしてくれたようにね」


とか、


世間の「少子化対策」に関する甘い支援やら、


「イクメン」ってなにさ!といったり


「男は居なくてもいいから、お金稼いでくればいいのよね」とか、


婆達の、独断と偏見の意見で盛り上がった。


そして、今まで詳しく聞いたことのなかった来客のうち1人の、


一度も抱いてやることもできずに亡くした子供の話を聞いて


しんみり涙を流したりした。


もう、40年以上も前のことだが、


こちらも、やっとその話ができる(訊ける)ようになったし、


彼女も、「あの頃は泣いてばかりいた」と言いながら、


詳しく聞かせてくれた。


「抱かないほうがいい、写真は撮らないほうがいい」と


当時医者に言われたそうで、(未練が残ると、、)


今や、子供を持たないその夫婦には、


子供は最初からいなかったように、側(はた)から見えるが


心には、ずっとその子が赤ちゃんのままで生きているのだろう。


私達も、くだらない話をして大笑いしながらも、


そんなことを聞いて、その赤ちゃんを思って泣いた、、


、、少しは供養になったのかなとも思う。


給料も少ない時代だったし、支援金なんかもらわなかったけれど、


一生懸命に子を産み、必死で育てた時代の話だった。


友人からのお土産↓

手作りの「練り切り」、美味しかった!