5年前の思い出とか、3年前にこんなことがあってさ、なんて言うんだったら


可愛いもんなんだけど、


なんたって、こんな歳まで生きて来ちゃったもんで、


あれは、、確か21歳の夏だったわー、、なんて思い出しても、


もう53年も前のことになるわけで、、。


あ、ちょっと!計算しないでいいよ!


隠しても隠しようのない婆さんだから


別に計算してもオッケーだけどね。笑


なにがあったかと言うと、、


実は、私は長いこと「それ」を忘れていた、、という罰当たり者なのだが、


確か伊豆の海だった、


溺れて死ぬところを、一人の男の子に助けられたのだ。


大体、あまり戸外で動き回ることは好きじゃない子だったのだが、


今でも(この歳になっても)「遊ぼう!」という友達のおかげで、


冬はスキー、夏は海へと、


毎週のように遊びに行っていた。


その年頃の女子が3〜4人でいつも遊ぶのだが、


その時代にだって、「ナンパ」しようという男の子達も周りをうろついていたし、


アタシ達も、その年頃には「ちっとは」キレイだった(はず)だから、


何度もナンパされそうになったり、少しアブナイ目に遭いそうになったこともあった。


でも、こっちは、男の子にナンパされたいとは決して思っていなかった。


今、婆さんになってもその仲間は


いつも集い、面白いことを言って笑いこけるのだが、


当時は(今なんかもっとだよ!笑)


オトコの目をひくように、、なんて考えもせず、


とにかく、女子同士、集まっているだけで楽しかった。


海の話に戻る。


その日、あまり泳げないワタシなのに、


急に「あー、あの小さい岩場まで泳いでみよう」と思い立ったのだ。


いくら考えても、どうしてそんなことを思いついたかわからないのだが、


「平気、平気、あのくらい泳げる!」と思ってしまったのだ。


一緒にいた女子は、確か2人。


2人とも泳ぎは達者だし、ワタシだって全然泳げないわけではなかった。


1人で、ズンズン泳いだ。


だいぶ泳いだ。


すると、だんだん沖に来たのでモーターボートがスピードを上げて、


ワタシのすぐ横を通り抜けた。


波の煽りがすごかった。


ちょうど顔を上げて息をしようとしたら、


波が襲って来た。


息も上がっていたところで、息つぎができず、


おまけに、波にのまれた。


ガブガブと水を飲み、、あとで思い出したが、


その姿は、海難事故そのものだったはずだ。


しかし、海は広い。


そんなところに、若い女の子が1人で泳いできて


モーターボートの波で溺れていることなど、


誰も知らない。


多分ワタシは、死ぬとも思わず


ただ、ただ、アップアップしていただけだった。


そんなアップアップ女の、お腹が


誰かに「グッと」つかまれた。


当時のワタシは40キロそこそこで、痩せてはいた。


しかし、溺れている人を助けるのは相当難しいはずだ。


その「手」の主は、若い男の子で、


海岸で、ナンパしようとしていた子だった、、ようだ。


ワタシが海へ入るのを見て、岸からずっと追いかけて泳いできたらしかった。


その「手」は、そのまま、ワタシのお腹(胴)を片腕で抱え、


ワタシを連れて泳いだ。


今考えると、相当泳ぎの達者な子だったに違いない。


黙って、泳いで(ワタシは水を飲んでゲホゲホしていた)


ゴムボートに乗っている人のところまで連れて行った。


そして「これにつかまって!」と言い、


岸まで無事に帰ってこられたのだった。


その男の子は、岸にいたワタシの友人達に


「びっくりした!急に溺れちゃうんだもん」と言ったらしい。


それだけ言って、どこかへ立ち去った。


その子にしてみれば、こんなはずじゃなかっただろうし、、。


岸にいた2人は、多分「あらそう!」くらいで、


今はもう、そんなことひとつも憶えていないだろう。


いや、それどころか、


命を助けてもらった私自身、


しばらくの間、そんなことがあったのを忘れていた。


しかし、その後海水浴に行ったとしても


波打ち際にいるくらいしかしていない。


水は怖い。


それ以上に「命の恩人」を忘れる自分の薄情さが怖い。


確実に、あの男の子に命を救ってもらったのに、


その子の名前を聞くどころか、顔さえ憶えていない。


「伊豆の海でさ、ナンパしようとしたら


突然女の子が溺れてさ、助けたけど、


なんかさ、しらけて、帰って来ちゃったよ!」って


誰か言ってたら、それ、


アタシのことですから!


その人にお礼を言わなきゃ、、


その人のおかげで、21歳の夏以降、


この歳になるまで、生きていられているのに。


今日(昨日)は、ジャッキー・ロビンソンデーだった。


大谷さん、ドジャースに入って、ドジャースの歴史の人42番つけて、、。


以前のブログです↓









散った桜の花びらが、風で寄せられていた。


桜だけじゃなくて、道には次々にお花が咲き出している。