久しぶりに韓国映画のことを、、。


少し前にアカデミー賞に輝いた「パラサイト」、

続いて「ミナリ」と言う映画も、確かユン・ヨジョンという老女優が賞をとったはずだが、

この「ミナリ」は、映画の内容より


賞をとったヨジョンさんが、授賞式で英語でスピーチをしたり


ブラピと並んで写真に映っていることのほうが、


「韓国の婆さん(ちなみに爺さんもだが)カッコいいゾ!」という印象を持ったが、



一昨夜観たのは「声もなく」という映画。






いくらなんでも「パラサイト」より面白くはないだろう、、と思いながら観はじめた。


すると、なんと、


こんなに素晴らしい映画を、どうして今まで観なかったんだろう!と思うほど良かった。



韓国映画、ドラマは、


脚本家が本気、監督が真摯、


役者が達者だ。


特に子役は自然な演技で、


目の前に、こんな人達がこんな生活をして


こんな子供を誘拐して、ひっそりと潜んでいるような気さえしてくる。


ここまで、韓国映画やドラマを数多く観てくると、


役者も一人一人、「あー、、あれに出ていた人ね」と言う具合に


よく見知っている人が登場するのだが、


「それ」すら、よく考えないと


別人になりきっているので、同じ役者だとは思わずに観入ってしまう。


主役の「ユ・アイン」は、


この役(最初から最後まで、口をきかない役)を引き受けた時に


「もっと太ったほうが、このキャラクターになりきれる」と


監督に提案して、15kgも太ったらしい。


そう、以前観たドラマではピアニストで、


夫ある女性ピアニストを好きになる役で、


ほっそり精悍で、色っぽかった。


他にも、時代劇にも出たし、声も良かったし、


いつも正義感でキラキラした役だった。


それが、この「声もなく」では、


耳は聞こえるが、喋ることのできない一見愚鈍に見える貧困の落とし子のような青年役だ。


汚い掘立て小屋に、身なりの汚い妹が


昼間から寝ていて、兄の帰りを待つ。


よく考えれば、誘拐された少女は綺麗な制服姿なのに、


この妹役は、口を開けば「お腹すいた!」と言い、


どうやら学校へ行く様子もない。


ネタバレしない方が、あとから観る人には面白く観てもらえるので、


このくらいにするが、ともかく、役者がうまい。


子役の2人も、断然うまい。


「梨泰院クラス」の悪い社長になった役者((秘密の森」とかにも、、)が


見違える汚さで、ユ・アインの育ての親兼仕事の相棒で良い味を出しているが、


この人も、よくよく考えないと「梨泰院」に出ていた人だと思い出すのが難しい。


「パラサイト」でも「ミナリ」でも、同じだったが、


韓国の「格差社会」を(今や韓国のみならず、日本だって同じ気がするが)


ストーリーの中で、「自然に」見せつけて行く。


ちゃんと学校へ行って、塾へ通って、受験を乗り越えて


良い大学に入って、良い会社に入れば「勝ち組」となり、


親が金もなく教育も受けられない子供は


「負けて」、悪いことに巻き込まれて生きていかなければならない。


最後のシーンは、格差の「線びき」を感じさせる泣かせる場面だ。


15kgも体重を増やしたユ・アインが、


線の向こうへ行ってしまった「勝ち組の子女」を目で追い、


子女も、線の中から


「ここからはあなたの世界ではない」とでも言うような目をして


ユ・アインを見る。


撮影後、体重を戻したユ・アインは、


またスリムな身体で微笑んでいる写真がネットに載っていた。


もう一つ、これから封切りになる韓国映画、


「ビニールハウス」、、これも胸が痛くなるほど


韓国の現実を見せつけて行く映画らしく、


若い女性が監督らしい。


格差社会は、韓国の問題だけでなく、


何億と裏金作って「知りませんでした」という日本のキタナイ政治家も


政治家なら、この現実は日本だって同じことだと


気付いて欲しい、、無理だろうが。