先夜、NHK「ETV特集」『漁師と妻とピアノ』を観た。
番組初頭から、流麗なピアノの音色。
日本とは思えぬ、夕焼けか、朝焼けの海。
流れるピアノは「ラカンパネラ」。
タイトルは「漁師と妻とピアノ」。
私は、美しい景色とピアノの音色と、どうやら漁師がピアノを弾く話らしいなと思い、
フィンランドあたり、北欧かどこかのオシャレな漁師さんのピアノが上手いという話か、、と観ていた。
するとなんと、、こんなことを言ってはナンだが、
ズングリとした、お腹の出っ張った日本人中年のおっさんが弾いている「ラ・カンパネラ」だった。
しかも、そのおっさん、
52才で、「フジ子・ヘミング」のカンパネラを聴いて
「これを弾けるようになりたい!」と一途に思い、
それだけを10年間弾き続けているという。
なんにも弾けなかったのにだ。
私は「歌う」といえばピアノを弾いてくれる専属のピアニストが、(ありがたいことに)いてくれるが
時々「生まれ変わったら、ピアノが弾けるようになりたい」と、
つくづく思う。
音楽が好きで歌ってきたが、気付けば
楽器はなんにもできない。
触るくらいはしたけど、「琴、三味線、ウクレレ、ギター・ヴァイオリン」どれも
歌うほど、簡単にすぐできるものはなかった。
当たり前なんだけど、いと容易く歌う方に走るワタシには、
努力をして、ゼロから弾けるようになるまでの辛抱が
とてもできなかった。
歳をとって、やっておけばよかった!と思っても
時、すでに遅し。
だから、このおっさんにびっくりした。
人生の中で、無駄に費やす時間、、人それぞれ違うけれど、
パチンコばかりしていたおっさんが、一念発起で52才からピアノを、しかも「ラ・カンパネラ」を目指すとは、、。
私なんか、どれだけの無駄な時間を、ダラダラと過ごしてしまったのか、、。
「あー、生まれ変わったらピアノだけは弾けるようになりたい!」というのは
本気の言葉なんだけど、
つい、口に出して言ってしまったことがある。
その時、たまたま居合わせた末息子が
「生まれ変わったらって、、もうすぐじゃん!」と言った。
確かに、、。
ともあれ、このおっさんの「ラ・カンパネラ」に大きな拍手を送りたい!
ワタシから「おっさん」とは言われたくないだろうが。
このEテレの再放送、明日の夜中12時に放送されるみたいです。
元気になる番組です。
是非観てください。