裏を川が流れる長屋へ引っ越した。
狭いので大きな荷物は社宅に置いたまま。
天井がつながったお隣は、お菓子屋さんの夫婦が住んでいた。
Banh boバインボ―という、ういろうを膨らし粉で膨らませたような、もちもちのおやつ。
それを作る機械が置いてあるらしく、夜でもお構いなしにゴーゴー音が鳴り、
熱がトタンに反射して熱い空気が流れ込んでくる。
さて、水は大きなポリバケツに確保したが、次はご飯をつくる場がほしい。
ベトナムの人々は皆しゃがんで生活をしている、というのが第一印象だった。
台所にも台はなく、皆しゃがんで床で調理する。
いろいろなお宅にお邪魔したが、水道の蛇口が床から20センチくらいのところについていて、
水はそのまま床に流れていく。
シンクというものも存在しない。
まな板もほとんど使わず、空中切りではさみもよく使う。
戦争が多い土地だったことが、ゆっくり料理する余裕がなかったり、
どんな場所でも料理ができるというようなスタイルに影響したのではと、誰かが言っていた。
私も、洗ったり切ったりは床でやった。
でも調理は立ってしたいので、台をつくって、その上にコンロを置いた。
このコンロがなかなか素敵で、アルコールランプを進化させたようなもの。
(実物!ここは2回引っ越した後の台所)
直径20センチ、高さ30センチ位の物体で、下は灯油を入れる場所、
そこに6本か8本の芯が浸っており、つまみを回してその芯を上部に出し点火、
芯を上下させることにより火力を調節する仕組みだ。
何度かボンッ!っと爆発したが、けがをするほどでもなく。
滞在中4回引っ越したが、このアナログコンロは帰国するまでずっと使った。