私たち夫婦は敬老の日ではなく、母の日と父の日に両親へプレゼントを贈る。
その辺は孫が出来たからと言っても変更しない。
さて、今年は何を贈ろうか。
母の日は特に悩まないが、父の日は毎年悩む。
父が何を考えているか、それは誰も知らない。
昨日もエキスポシティまでお出掛けしたが、収穫はなかった。
いや、自分らの服とか買った。
今日はどうする。
妻は朝からスマホをいじり、義父に地元の超有名洋菓子店のスイーツを贈ると決めたので、私もそれに準じて父親にスイーツを贈ることにした。
10時開店のその店は超有名なので、遠く他府県からも来客がある。
中でもロールケーキは絶品で、職場でもよく味とかを尋ねられる。
私は食べ物に興味がないので、めっちゃ美味しいッスよ、と大げさに返事する。
とにかく、行列ができるので、私と長男、次女が列に並び、妻と長女は別棟のパン屋さんや工房を見て回っていた。
開店しても列はゆっくり進む。
皆、ロールケーキを買うと心に決めていても、ショーケースを覗くと決心が揺らぐからだ。
生菓子でお悩みになる軟弱者たちを横目に私たち家族は焼き菓子専用の入り口からさっさと入店する。
そして、自分たち用にバウムクーヘンを買い、ギフト用の窓口を訪ね、テキパキと住所氏名電話番号を書き込んだ。
会計を待つ間、妻は子ども達を連れて外に出る。
別棟に大人は決して入れない、子ども専用の店舗がある。
今日は長女と長男に、生まれて初めて二人だけでお菓子を買って来てもらうつもりだった。
私は会計を待つ間もドキドキソワソワしていた。
ようやく会計が終わり、すぐに別棟に移動する。
妻が次女を抱きながら出入り口に立ち、子ども達の帰りを待っていた。
窓も無いので決して中の様子を見ることができない。
ここを訪れる全ての親御さんは、ドキドキしている。
しばらくして長女、長男が笑顔で出てきた。
手にはしっかりと袋を握っていた。
長女は買ったよーっと得意になり、長男はお店でもらったご褒美シールを高々と掲げていた。
ただ、袋の中にはお菓子が3つしかなかった。
どうやら、親の分は買わなかったらしい。
よく頑張ったと言いたいところだが、ここははじめてのおつかい。
妻は長女に、もう一回行ってお父さんとお母さんのお菓子も買って来て、と容赦なく言った。
長女は疲れたと言って嫌がっていたが、私もお願いすると、勇気を出して再入店してくれた。
長男はそんな姉を手伝わず、私にご褒美シールを自慢していた。
妻は本当に容赦なく、ちょっとパン屋行ってくると言い残して道路を横断した。
後から入ったよその子が買い物を終えて出てくる中、私は長女の様子が気になって仕方がなかった。
そして、ようやく出てきた長女は二つのお菓子を持っていた。
お店のお姉さんが人気商品を色々と教えてくれたらしい。
娘が泣いてなくて良かった。
そう思ったと同時に、自分は娘のことではなく、他人の目を気にしている親なのかと、恥ずかしくなった。
家に帰ってから食べたプリンは最高の味だった。
今までで一番美味しかった。
夜、寝かしつけの時に長女と今日を振り返った。
長女は、一人でお店に入って泣きそうやってん、と言っていた。
私は同じくらい勇気を持って明日のお仕事を頑張るよ、と長女に感謝して寝かしつけた。