だから、慌てず、確実に到着できるよう酒場へ向かって電車を乗り換えた。
最寄り駅には19時を少し過ぎた頃に着いた。
ここでもコマオは慌てず、いったんトイレで用を足し、改札を抜けた。
横断歩道を渡るとすぐに酒場が見える。
なぜ、2回も前の職場の送別会にノコノコと参加するのか。
それは他でもない、Hが退職するからだ。
コマオとHの接点は遡ること11年と少し前、コマオらが大卒新採で入社した時である。
研修の地、淡路島でコマオとHは出会ってしまった。
お互い他都市に実家があり、部屋が隣の寮生活だった。
また、始めに同じ部署を担当したことも絆を深める大きな要因であったと思う。
研修後も同じ職場に配属され、良くも悪くも切磋琢磨できる存在だった。
残念ながら、コマオが先に転職し、連絡は全く取らなくなったが、Hの送別会をすると周囲の人たちが親切に教えてくれたので、迷わず出席した次第である。
楽しかった。
H以外にもお世話になった医師や部長、各職員と近況を報告し合えただけでコマオは楽しかった。
何より皆の温もりは素直に嬉しかった。
Hお疲れさん。
次の仕事も頑張れ。
言わなくても分かってるだろうが、お前は自己中だから、自分を見失わずに成功を掴み取るんだろう。
普段のユーモアで、関わった人全てを笑顔にさせてくれ。
本当にお疲れさん。