コマオは凍てつく早朝の空気の中を耐えて電車に乗り込み、大阪の街を目指した。
正確に言うと北新地だ。
コマオはそこで待ち合わせをする。
相手は実の母親だ。
母は少々遅刻気味に現れた。
コマオはわざわざ来てもらったので遅刻に文句は言わなかった。
コマオらは大阪の某ビルディングで某講座をご清聴した。
まぁ適当に聞いて、お昼何食べたいか考えといて。
あっ、眠かったら寝ていいよ。
そんな冗談を言いながら偉い人の開会の挨拶を聞いていたが、母は初っ端からウトウトしていた。
コマオはウトウトする母を横目に、朝早くから呼び出してすまんねと思い、そっとしておいた。
それでも二人目の講演が始まると母はシャキッとし、話に耳を傾けていた。
その医師の話はけっこう重たいテーマだがコミカルに話されるので本当に聞いていて面白かった。
影響を受けやすいコマオはさっそくブログを閲覧したり、著書を購入してみようと思った。
お昼休みに入り、母と大阪駅へ昼食に出かけた。
今思うと、ああやって母と大阪の街を二人で歩くのはひょっとしたら人生で初めてかもしれない。
コマオは親不孝者であるから、きっとそうに違いない。
母の希望でルクアに行き、20分ほど行列に並んでパスタを食べた。
母と二人で食事をするなんて20代の頃には想像もできなかった事だ。
改めて家族愛の薄い男だなぁと実感した。
母はあやこに絵本を買ってきたと言い、2冊の本を手渡してくれた。
地域のボランティアで絵本の読み聞かせをやっているので、もう何冊も絵本をプレゼントしてくれている。
60手前でも元気な人やでと思っていると、今はボイストレーニングに通い、コーラスもしているという。
先日は団体でコンサートをしたと言っていた。
母の行動力は見習わなければならない。
昼食後、帰宅する母を大阪駅で見送った。
今日は孫を見せる事ができず、まだまだ半人前の息子に付き合ってくれた母に申し訳ない気持ちと感謝をした。
来月はあやこに会ってもらおう。
コマオは帰りの電車で一人、考え事をする。