嫁とあやこがご実家にて過ごす中、コマオは一人、仕事と向き合っていた。
仕事が終わると寝床で夕食をとり、風呂に入り、寝る。
翌朝は目覚ましに起こされ、朝食をとり、仕事へ出掛ける。
嫁とあやこがいないとコマオはとたんにつまらない人間になる。
遊び方をすっかり忘れてしまっている。
あやこが生まれてからPCを開く時間も回数も減少した。
しかし、毎日のように嫁からメールで送られてくるあやこの画像を同期したスマートフォンで確認し、ちゃんと届いていればPCのあやこ専用フォルダに保管する作業をポチポチと行う。
傍から見れば何ともつまらない。
妻子が不在ならチャンスじゃないか、そんな怒号が聞こえてきそうだが、寝床周辺に夜の街はない。
コマオは専ら文庫本を開くかPCを開くかしかない。
そんなコマオに一件の耳寄りなニュースがPCの画面にあった。
米国の学者のマウス実験により、癌治療に使用されるベキサロテンという薬がアルツハイマー型認知症に効果的であるとの結果を得た。
しかも、偶然の産物らしい。
コマオは常々、同僚やその後輩たちに特にない知識で偉そうに認知症は治るよと語ってきた。
そこに根拠は全くなく、主にコマオの願望が含まれている。
きっと将来、どこかの誰かが、何か解らんが良いお薬を発見するだろう、と。
コマオはお仕事の関係で、認知症に悩むたくさんの人たちをみている。
これは朗報だ。
なるべく早く、なるべく副作用のないように製品化してもらいたい。