コマオは本日、ホームにて天皇杯の4回戦を観戦する。
厳しい寒さが予想される。
嫁はお仕事のため、今日は欠席となる。
こういう場合、コマオは嫁に対して非常に申し訳ない気持ちになるのだが、心を鬼にして一人ホームへと駆けつける。
嫁と観戦するためにもどうか今日を勝利し、クリスマスへとつなげてほしい。
コマオは最近、自身の新たな道を開拓しようと思案している。
知っている人は知っている話だが、コマオはアルコールに弱い。
どれほど弱いかは知っている人が知っている。
先日、コマオは職場の事務長S野さん送別会に出席した。
S野さんはちょうど本日から東京へ栄転される。
ぜひ、東京でもその冷酷かつ打ち解けたら話しやすいお兄さん的存在を発揮してほしい。
その送別会は三宮の地下にある和彩居酒屋で行われた。
幹事は珍しく、施設長のH医師である。
少々お財布に厳しい数字が並ぶようだが、全部奢りだと言うからすごい。
やはり医師はお金持ちである。
もともと予約していたコース料理に加え、コマオら貧乏族のハートを捕らえたお品書きの品々がテーブルへと並べられ、並べられては消えていく、そんな3時間であった。
コマオは乾杯から大好きなウーロン茶を嗜んでいた。
送別会の場にはコマオの飲めなさっぷりを知っている主任相談員Yさん(嫁の親友)がいる。
医師やT主任が飲みなさいとお酒を勧めるなか、「コマオさんは冗談抜きで死にますよ」と厳しく警告を発してくれた。
年下ながら、説得力がある。
コマオは申し訳ないと思いつつも、病院へ運び込まれるほうが申し訳ないと思いながらウーロン茶で耐えた。
しかし、お酒を嗜む人たちを見ているとどうしてもコマオも一口味わってみたくなる。
コップ一杯は到底無理だが、一口なら。
コマオは次々運ばれては干されていくグラスやジョッキを見ながら、一口ずつアルコールをいただいた。
やはり、ビールは駄目であり、焼酎はコマオの理解に及ばない。
梅酒やカクテルは味は何とかわかるが、しかし。
どうしようもないコマオは次に日本酒に手を伸ばした。
するとどうだろう。
香りから味から喉を抜けていく様子から日本酒は美味しいと思えていた。
それを隣に座る医師に伝えたところ、医師はこの店のとっておきの日本酒はなたれを注文した。
はなたれはアルコール度数が半端なく冷凍しても凍らないお酒である。
医師から一口はなたれを頂くと、コマオは喉がじんじんした。
しかし、他者のそれの様に苦々しい表情には決してならず、やはり美味しいとさえ感じることが出来た。
コマオはお酒の席での活路を見出せそうである。