コマオは夜勤明けの重たい身体を布団に沈めた。
朝晩の気温が低下しており、コマオはやはり風邪気味だ。
昨晩は仕事に励む傍ら、イタリアに想いを馳せていた。
22日の昼間に後輩のY岩夫妻がイタリアへと旅立った。
遅れながら、ハニームーンに出掛けたようである。
ここ数日のY岩は少し興奮状態にあった。
現在、コマオとY岩夫妻は7時間差で1日を過ごしている。
コマオの仮眠中にY岩夫妻はディナーを楽しみ、コマオの帰宅中にY岩夫妻は熟睡し、コマオが夕食の買い付けに出かける中、Y岩夫妻は朝食をついばんでいたはずだ。
今回のY岩夫妻の旅行にて、コマオは彼らを羨む。
お子様の頃、コマオがフットボールを始めて間もなくロベルト・バッジオさんに憧れた。
以来、コマオはロベルト・バッジオさんに会いたくてイタリアに行こうと心に決めた。
しかし、今のところ実施してはいない。
そんなコマオにY岩は追い討ちをかける。
「日程的に余裕があれば、ローマでローマ-インテルが観れるんですよ」
Y岩はさらに続ける。
「ま、欧州チャンピオンズリーグは確実に観れそうですけどね」
コマオも一度でいいから欧州でフットボールを観戦したい。
しかしながら、そんな夫の趣味に付き合う嫁は一番偉い。
欧州なんて贅沢は言わず、今後、愛すべきクラブの応援に赴く際には嫁にサービスを欠かしてはならない。
帰ってきたらY岩に言ってやろうとコマオは思う。