コマオはどきどきしている。
そして、そわそわしている。
今が15時半だとして、あと4時間ほどで愛すべきクラブの挑戦が今年も始まる。
コマオは可能であれば本日、韓国へと発ちたかった。
愛すべきクラブの初戦をこの目で拝みたかったし、何より、外国なのに飛行機ですぐの距離にある。
来年こそはと毎年思い、未だに実行できずにいるコマオは愛すべきクラブに合わせる顔がない。
「・・・次こそは!」
コマオは毎年そう思わせてくれる愛すべきクラブを本当に愛している。
夜勤明けにもかかわらず、コマオは元気だ。
最近はめっきり効かなくなった眠気覚ましのコーヒーも、コマオの体内から分泌されるアドレナリンと意気投合し、コマオを冴えさせる。
全て愛すべきクラブのおかげと言いたいところだが、それだけではない。
コマオの所属するオフィスは来月の中旬に情報公開を実施する。
昨年の異動から1年と少し、さぼりにさぼりまくった資料の整理はこのひと月で何とか目処が立った。
焦りの原因が解消されつつある今、コマオに恐怖も不安も敵もいない。
何なら6月に行われる研究発表を本来なら落選上等で中途半端に一応やりましたよと仕上げるつもりであったが、採用を目指し本気で取り組もうかという勢いがある。
しかし、ここで突っ走らないのがコマオの長所である。
この勢いはかならず失速すると読んでいる。
だから、コマオは決して本気で取り組もうとはしない。
「何が【視覚と身体のコントロールによる転倒予防】だ!」
コマオは自らがつけた演題につばを吐き、何でもかんでも予防しようとする人類にそっぽ向く。