コマオは政治が分からない。
コマオは道路族ではない。
むしろ非道路族である。
年度末の掘ったり埋めたりする道路には不便を感じている。
仮に年度末の道路工事について正しい知識を手に入れたとして、コマオの心境に変化はあるだろうか?
いいや、あり得ない。
やっぱり、工事に伴う車線減少は不便以外の何物でもない。
コマオは高速道路の整備に感心した。
コマオの現在の寝床から実家まで、高速道路が届いていないと思っていたがそんなことはなく、ちゃんと作られ、しかももうずっと前に開通していたらしい。
「1時間で帰ってこれた。便利だ」
コマオは年に2,3回しか実家に帰らない。
これからは2,3回を5,6回くらいに増やそうと思う。
昨日、コマオは相方を連れて実の両親のもとへプチ帰省した。
相方を紹介する目的だったが、家には両親しかおらず、あと3人いるはずの姉弟の姿は見れなかった。
他には家族として犬が一匹、猫が三匹に加えもう一匹増えていた。
庭にはメジロのカップルがみかんをついばみに来る。
父親が設置したであろうみかんをメジロは喜んでついばんでいたが、同時にでかいモズも来てみかんを横取りしていた。
相方は少し緊張した様子であまり言葉を発しない。
コマオは彼なりにフォローに努め、ついつい身内ネタに走ってしまう談話を相方の地元に置き換えたりした。
コマオの家に人間の女性は母親と姉しかいない。
義理でも娘になる予定の女性を目の当たりにし、母親は少し嬉しそうだった。
しかし、問題は父親である。
果たしてこの男性の情けない時代、こういう場面で父親はどういう立ち振る舞いをすべきか。
あの空間にいた人間の中で、父親が一番緊張していたように思う。
コマオは男性に厳しいため、父親であってもフォローはしない。
2,3時間の滞在の後、コマオらは実家を後にした。
次の目的地は同じ市内の祖父母の家である。
両親に対するご挨拶と異なり、祖父母の家では相方も若干リラックスしていたように思う。
コマオの祖父母はどちらも大正の初めに生まれた人たちである。
もう90も半ばにさしかかる年頃だ。
祖父母のうち、どちらかが口を開けば、もう一人も必ず口を開く。
そして、互いに別々の話をする。
しかも、話が終わるタイミングはほとんど同時である。
コマオと相方は極限に集中して話を聴くが、全てを理解するには力が及ばなかった。
帰宅後、母親からメールが届く。
簡単に言えば、今日出会った人たちは皆楽しかったらしい。
嫁になる予定の女性を紹介する。
コマオが思う以上に両親は嬉しいのであろう。
コマオは長男として少し親孝行、祖父母孝行ができたと思い満足している。