それは偶然だった。
コマオは神戸三宮でバーゲンに鉢合わせた。
せっかくの平日休暇である。
人混みにわざわざ赴くことは、コマオの趣味ではない。
観たい観たいとかねてから熱望していた映画が、神戸のシネ・リーブルにて上映されていたのである。
上映時間までの暇つぶしに相方とセール中の店舗をハシゴして疲れたらしい。
全くお買い求め易くなかった。
人混みは嫌いだ。
コマオは16時前からシネ・リーブルで上映された映画『ぐるりのこと。』を観た。
ただ、本当に良い映画を観ることができたとしか言いようがない。
コマオには他に言葉がない。
感動して何度も何度も観たい映画はたくさんある。
しかし、コマオにとってこの映画は決して繰り返し観たくなるような物ではない。
深く心に刻み、自分の人生に繋げていこうと決めた映画であった。
現代人は自分勝手に神経質でたちの悪い生き物たちである。
きっと他の現代人から見れば、コマオもいち自分勝手に神経質な現代人だろう。
“人はタフでなければ生きられない。しかし、優しくなければ生きる資格はない。”
映画には関係のない格言である。