哀しみの向こう側 |  とある尼さんの誰にも言わないお話
檀家さんの
若いご夫婦が
かわいい赤ちゃんを
連れていらっしゃいました。



生後半年の赤ちゃんは
男の子

まるまるとして
身体も大きく
大変健康に育っている様子


お父さんも
お母さんも
ニコニコして
我が子の順調な成長ぶりを
語っていかれました



幸せを絵に描いた様な
親子三人の姿に
私もふんわり幸せ気分

幸せのおすそ分けを
頂きました***







このご夫婦が
寺に赤ちゃんを連れていらしたのは
これが初めてではありません。


三年前の今月
生まれおちたばかりの
男の子の赤ん坊が
本堂におりました


赤ん坊は
綺麗な顔で
眠っておりましたが

お母さんのお腹から
出てきた時には
既に息をしていませんでした


産後直後にも関わらず
気丈にも
我が子の葬儀に立ち会ったお母さん

懸命に
赤ちゃんのお父さんである旦那様と一緒に
お地蔵様に亡き我が子の
後生を
お願いしておりました



七日七日
寒い本堂で祈りつづけた
父と母


命日・お盆・彼岸と
子の名を呼び
供養なさっていました

寺にいらして
お地蔵様に手を合わせる
その二つの背中は
今でも忘れられません。







そして
今年の年明け
先日の親子三人の姿


弟一子の命日に
父と母は
その子の弟を連れて
寺に訪れました



目の前で笑っている赤ちゃんと

お地蔵さまの前で
お兄ちゃんの名前を呼びかけながら




『いつまでも忘れないよ』



と…







哀しみの向こう側に


人は

真実を見つけだします。







南無地蔵願王尊