「アン・ジェになら俺から渡しておきます。イムジャが行かずとも」

「だってせっかくだし、禁軍の兵営は行ったことないからどんなところか見てみたの」

「ですが……」

 

迂達赤は仕方ないにしても男ばかりの禁軍のところへ連れていくのは些か気が進まない。

他の男の目に触れさせたくない、という独占欲がヨンの胸を占めるが、次のウンスの一言にヨンは何も言えなくなる。

 

「一緒に行った方が……それだけ一緒にいられるでしょ?」

 

チャン先生もそんなに急がなくていいって言ってたし、とウンスはヨンの腕に自分の腕を絡めた。

 

「こんなことしたら貴方の体面にかかわるかしら?」

 

はにかむような笑みに、上目遣いで言われてしまっては抗うこともできない。

 

皇宮というのはどこにでも人の目がある。本来であれば未婚の男女がこのようなことをするのは憚れるが、王様にも婚姻の許可を貰っている。

これくらい良かろうと、ヨンは頭のなかで御託を並べた。

 

「ふふ、こういうのが職場恋愛の醍醐味なのかしら?」

 

人目を憚り仕事場である皇宮での密やかな触れ合い。

確かにちょっとドキドキ感は増すわね、とウンスは小さく呟いた。

 

言葉の意味は良くわからなかったがウンスがご機嫌なので、ヨンは特に気にすることもなく、そのまま二人は禁軍の兵舎へと向かった。

 

「アン・ジェはおるか」

「大護軍!護軍はただいま執務室におります。ご案内します」

「へ~ここが禁軍の兵営なのね」

 

迂達赤の兵営と同じで、その場にいる者たちは突然の大護軍と医仙の訪れに何事かとざわついた。

中には今宮中で噂になっている二人を一目見ようと集まってくる者もいて、その場は一時騒然となった。

 

「チェ・ヨン、医仙、どうしたのだ?このようなむさ苦しいところに」

「こんにちは、アン・ジェさん。この前話した、婚儀の後の祝宴の招待状を持ってきたのよ」

「それはご足労をおかけした」

「いいんです、この人と一緒にいられるから」

 

言いながら、ウンスは招待状をアン・ジェに手渡した。

 

「都合がついたらぜひ来てちょうだい。途中参加でも大丈夫だから」

「必ずや伺わせていただきます」

「皇宮の守りは抜かりなくな」

「言われるまでもないわ」

 

禁軍の兵舎を後にした二人。

あとは武閣氏たちに配れば宮中での招待状の配布は終了だ。

武閣氏の兵営は男子禁制でヨンは入れないためウンスのみで配ることになるが、坤成殿近くにある武閣氏の営舎までは共に向かう。

 

季節は秋。

道端には秋桜や菊、撫子などの花が咲き誇り、心地良い秋風が金木犀の香りを運ぶ。

ウンスとヨンは手を繋ぎ、周りの景色を楽しみながらゆっくりと歩みを進め穏やかな時間を過ごす。

 

「武閣氏に招待状を渡したら私は典医寺に戻るわね。マンボさんたちのところには帰り寄るのよね?」

「ええ、そのつもりです」

「それじゃあ、また後でね」

「はい」

 

繋いでいた手を離すと、ウンスは途端に寂しくなり、ウンスは周りを見回して誰もいないことを確認すると、ヨンにぎゅっと抱き着いた。

 

「イムジャ?」

「少しだけ」

 

ヨンもウンスを抱きしめ返し、ウンスの頭の天辺に口づけを落とした。

 そうしてしばらく抱き合った後、身体を離した。

 

「充電完了!お役目頑張ってね」

「はい」

 

その後、「いつも護衛ありがとう」という言葉と共にウンスから招待状を受け取った武閣氏たちには「一生お守りします」と決意を新たにされた。
 

 

 

 

お役目が終わり、帰りにマンボのところに立ち寄る二人。

 

「師叔さん、マンボ姐さん、こんばんは~」

「おやおや二人ともよく来たね!クッパ食うかい?」

「クッパいただきます!今日は婚儀の後の祝宴の招待状を持ってきたんです。手裏房のみんなにもたくさんたくさんお世話になってるから、ぜひ婚儀を祝ってほしくて」

 

もらった招待状の日付を見てマンボ妹は笑った。

 

「随分と急いだもんだねえ」

 

通常、婚姻が決まっても婚儀までは数ヶ月を要するものだが、記載されている日付はひと月と少し先。

 

 「私からもお願いしたんです。なるべく早く一緒になりたいって」

「あ~あ、まったくやってらんないねぇ、熱いのはクッパだけで充分だ。祝宴にはもちろん参加させてもらうよ。ねえ?」

「そうだな、酒はたんまりあるんだろうな?ヨン」

「そのことで頼みがある」
「わかってるよ。料理と酒だろ~任せときなって」
「ありがとうございます!助かります」

 

「さあ~クッパができたよ」

 

二人の目の前に熱々のクッパが並ぶ。

 

「ん~美味しい!!」

「そうだろ、そうだろ」

「みんな出払ってるんですか?」

「ああ、商売に出てるけどそのうち帰ってくるだろ」

 

と、言ってるそばから、外からただいまやら疲れたやらの声が聞こえてきて、いつもの3人が戻ってきた。

 

「チェ・ヨンの旦那、天女も!」

「今日はどうしたんだよ?」

「こんばんは。婚儀の祝宴のお誘いで来たのよ」

「祝宴!?」

「そうよ。たくさんお料理も出すからぜひ来てちょうだい」

 

ウンスの言葉にチホもシウルも行く気満々。だがその中で一人不機嫌そうな顔をする者が。

 

「白い……お姉さんも、よければ来てね!」
「誰が行くもんですか!!」

 

 

 

 

 

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取り急ぎ更新。

ハワイ中に更新した分は、帰国してからちょこちょこ修正するかと思います💦