婚儀前日。

ヨンとウンスは王様の元に挨拶に訪れていた。

 

「ついに明日だな。二人が夫婦になるのは」

「はい」

「なんとも感慨深いことよ。そなたたち二人がいなかったら、余は今頃こうしてここには居れなかったかもしれぬ。チェ・ヨン」

「は」
「そなたがいたから余はここまで戦ってこられた。医仙」

「はい」

「そなたは世に教えてくれたな。天の歴史書に、余は元に対抗する有名な王として記されていると。即位したばかりで何の力もなかった余は、医仙の言葉に希望が芽生えたのだ。感謝しておる」
「そんな……王様のお力です」
「そんな二人夫婦になる。実にめでたい」
「王様、覚えてますか?あの時、王様と王妃様は天界では有名なご夫婦だっておっしゃったこと。私たちも王様と王妃様のように歴史に残るくらい仲睦まじい夫婦になりますね」

「それは……負けておれぬな」

 

王の言葉に3人は笑った。

 

「そうそう、お二人が出会った時のこと王妃様から伺いましたよ」

「イムジャ」

 

窘める口調のヨンに、ウンスはいいじゃないと話しを続けた。

 

「王妃様が攫われたところを助けにきたってまるで運命ですよ!王妃様にとって王様は本物の運命の王子様だったんですね」

「王妃が攫われた?」
「はい、そう聞きましたよ。誘拐されたところを王様に助けてもらったって」

 

お会いになったことは?
一度も……ないのですか?

元の皇宮で初めて会った日。
あの時の王妃の言葉が王の脳裏によみがえる。


あの日が初めてではなかったのか?
それよりも前から王妃は余のことを知っていた?

確かに昔、元の貴族の娘を助けたことがあったが、まさかそれが……?
あの時から王妃は余のことを?

 

「王様……?」

 

急に黙り込んでしまった王をヨンとウンスは不思議に思い、顔を見合わせる。

 

「どこか具合でも?」

「いや……、何ともない」

「あ、わかった!王妃様に会いたくなったんじゃないんですか?」

「イムジャ」

「そうだな」

「やっぱり!ふふ、それじゃ、お邪魔虫は退散しますね」

「では、王様。また明日婚儀を終えた後に伺います」

「ああ、楽しみにしておるぞ」

「では」

 

二人が部屋を出て行くのを見送ったあと、王は王妃の元へ向かった。

 

 

 

 

前触れもなくいきなり訪れた王に、王妃は何事かと思った。

その表情はどこか切羽詰まったような様子で、何か悪い知らせかと身構えた王妃だったが、王の口から発せられた言葉は全く違ったものだった。


「余とそなたが出会うたのは、元の宮殿でのあの時が初めてではなかったのだな。それ以前前に、幼き頃に出会うておったのだな」
「どうして、それを?」
「医仙が教えてくれたのだ。どうしてあの時言わなかったのだ?」
「……王様は元をよく思うておりませんでした。魏王の娘だと知ったら王様に嫌われるのではないかと、怖かったのです」
「……。医仙の話しでは、幼き頃から余のことを想うていたと。まことか?」
「……はい」
「すまなかった」
「え?」
「あの時だけではない。婚儀の折も、その後も、高麗に来てからも余のつまらぬ矜持のせいでそなたを傷つけた。そなたは余をずっと想うてくれていたというのに」

 

胸のうちから熱いものが込み上げてきて王妃は言葉に詰まった。

 

「王様のせいでは、ありませぬ。私もいけなかったのです。己の気持ちを抑えてきた時が長すぎて、それを伝える術も言葉もわからなかったのです。王様のお役に立ちたいと思うても空回りするばかりで、それでもおそばにいられることが何よりも嬉しかったのでございます」
「王妃……」
「ずっとお慕いしておりました。初めて会うた日から」

あの時と同じように、王妃の大きな瞳から涙が溢れた。
美しい涙。
王はそっと王妃に近づくとゆっくりとその身を抱き寄せた。
 

「余もそなたを慕うておる。元の宮殿でそなたを見た日から忘れることはなかった」

 

大きく済んだ瞳は息を呑むほど美しく、握った手は温かく柔らかかった。

「あの時も今も余の気持ちはひとつも変わっておらぬ。これからも、そなたに側にいて欲しい。その目で、常に私を見守っていて欲しい。私の愚痴を開き、己を見失わないよう手を握っていて欲しい。そうしてくれるか?」
「はい」
「そして生涯、心からそなたを思い続ける」
「王様」

王妃は濡れた瞳で王の瞳をしっかりと見つめ、口を開いた。

「愛しております」
「あい?」
「ええ、医仙から教わった天界語です。言葉にならぬほど深く相手を想い、そばにいてもなお恋しく想うそれが愛だと」
「愛、か」

「はい」

「ならば、余もそなたを愛している」
「王様」

 

二人は抱き合ったままうっとりと見つめ合い、どちらからともなく唇を重ね合わせた。

 

 

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***

 

ドラマの中でも王妃様が慶事があった折(双城総管府を廃し、北方を奪還した折)にお伝えする、と言ってましたからね。

北方の地はヨンが奪還したので、このタイミングでお伝えすることに꒰* ॢꈍ◡ꈍ ॢ꒱.*˚‧

ヨンとウンスだけじゃなく、王様と王妃様のにも幸せを……♡