【みどりちゃんの家のピアノ】
童子さん 「みどりちゃん、このパソコンの説明書が手に入ったから何とかなりそうよ」
みどりちゃん「童子ちゃんありがとう。これでお婆さまが弾いていたピアノを再生できるわ」
麦ちゃん 「いつ来てもみどりちゃんちは落ち着けないわねー」
みどりちゃん「ムギムギ何言ってんのよ、自分の家のようにくつろいでいいわよ」
麦ちゃん 「だって置いてあるものみんな高そうなんだもの」
童子さん 「このパソコンだって、発売された当時は100万円以上したはずよ」
みどりちゃんが童子さんに、お婆ちゃんが使っていたパソコンを使えるようにならないかお願いしたところ、再び使えそうだとわかりました。
みどりちゃんのお婆ちゃんはこのパソコンをピアノにつないで、ピアノを弾いて楽譜を書いたりピアノを演奏させていたりしていたようです。
【ヤマハのホームコンピュータ[YIS](ワイズ)】
1982年にヤマハ(当時は日本楽器製造株式会社)が発売したホームコンピュータYIS(ワイズ)です。
キャビネットには天然木も使われている豪華な外観となっています。
YISのメインCPUはアップルⅡや低価格入門機のコモドールVIC-1001などと同じ8ビットCPUのモステクノロジー製6502を使用していましたが、ヤマハ独自の拡張がされていました。
しかし、グラフィックコントローラにザイログの16ビットCPUのZ8000とヤマハ独自設計のカスタムLSIが使われていて、当時の他社の16ビットPCよりもはるかに高速高精細のカラーグラフィックを実現していました。
グラフィック機能にこれだけ力を入れたパソコンは他になく、私は当時「何でメインCPUを16ビットにしないんだろう」と不思議に思いましたが、YISは3Dグラフィック時代を見越した先見の明があったPCだと気づくのはだいぶ後になってからでした。
また楽器のヤマハらしく、自動演奏のできるピアノと接続することで、フロッピーディスクに収められた演奏データでピアノを自動演奏したり、人がピアノを弾いてそれを楽譜にすることができるなど、当時としては群を抜いた音楽機能がオプションとして用意されていました。
さらには監視カメラを接続して外部からの侵入者があったり、火災センサーが煙や炎を感知した際には、契約した警備会社に自動通報するなど、ホームセキュリティ機能もオプションとして用意されていて、まさに未来のホームオートメーションを先取りした画期的なPCでした。
【性能に見合った価格とはいえ…】
ところがYISという未来を先取りしたパソコンがあったことを知らない方が圧倒的に多いです。
当時の私も「これは一度見てみたい」と思いながら、大手家電量販店でもパソコンショップでも見ることはできませんでした。
なぜならYISはバブル前夜の日本とはいえ、おいそれと購入できる価格ではなかったからです。
上のイラストのYIS本体と専用ディスプレイ、キーボードのセットで128万円です。
さらにピアノ演奏ユニットやホームセキュリティシステムを導入すると軽く200万円を超えるものになってしまい、さすがに店頭デモ用にYISを置く店舗は無く、おそらくはヤマハ直営店にしか展示されていなかったのだと思います。
せっかくパソコン史に残るであろうスーパーパソコンを作ったヤマハですが、このままでは「これが我が社の黒歴史」になってしまいます(;´Д`)
実際、YISの開発はヤマハの業績をかなり圧迫したようで、このままでは大変なことになってしまうのですが…。
というところで次回に続く(^-^)