【日本で唯一運行されている双胴高速カーフェリー[あかね]】
佐渡汽船が運航している双胴高速カーフェリー[あかね]が、今日、最後の航海の日になりました。
2015年4月から就航した最新鋭カーフェリーだったのですが、運用コストが高くつくこと、荒天時には揺れが大きく船酔いしやすいこと、船の後部からしか車両が出入りできないため、トレーラーなどの大型車両の乗り入れができないなどの問題を抱えていました。
さらに佐渡観光の低迷と昨年からのコロナ禍で利用客が大幅に減少したことが追い打ちをかけ、あかねはわずか6年で佐渡航路から離れることとなりました。
【画期的な高速性が誇りだったのですが…】
あかねはオーストラリアのインキャット社で造られたカーフェリーです。
ウエーブ・ピアサーという日本ではあまり見られない形式のこの船は、双胴船と呼ばれる細長い二つの船の上に幅の広い床板を張った構造の船で、海面に接する船体は細く鋭い形状をしているため、造波抵抗(波を立てながら進むことで船体にかかる抵抗力)が少なく、高速で航行することができる画期的な船舶です。
かつて、青函航路でもこのインキャット製のウエーブ・ピアサー船のナッチャンRera号が航行していましたが、佐渡航路と同様に冬場は荒れることの多い海での運用には不向きだったことと、運用していた東日本フェリーの海運事業撤退により、ナッチャンRera号も日本の航路からは離れていきました。
【あかねを見送る人々】
佐渡汽船は日本で初めてガスタービンウォータージェット推進の高速水中翼船ボーイング929[ジェットフォイル]を就航させ、離島航路では最大級の大型カーフェリーを投入してきた業界の雄だったのですが、離島ブームのピークには年間120万人(1991年)の来島者があった佐渡観光も、現在では来島者も半分以下となり、厳しい経営状況が続いています。
それでも佐渡航路の船は島民には愛されていて、あかねの最後の航海を見送ろうと大勢の人たちが岸壁にやってきました。
【港を離れるあかね】
この後の夜の便があかねの佐渡航路での最後の航海になるのですが、日中の姿を見るのはこれが最後になります。
【水しぶきをあげてスピードを上げていくあかね】
私はその後の最終便の夜のあかねも見てきました。
まだまだ若い船ですので、新しい嫁ぎ先が見つかればそこでみんなに愛される船になることだと思います。
【高速カーフェリー[あかね]】
あかねの3Dモデルです。
船体の下にツノのように伸びているのが海面に接する船体で、左右に2本取り付けられています。
よく見かける船と比べて幅が広いのがわかるかと思います。
次回も船ネタです(^-^)b