【4人のアルテミス】
コユリさん「見て、地球よ!!今が私たちの人生最高の瞬間に違いないわ!!」
コユリさんはNHKで放送されていた、アメリカのドキュメンタリードラマ「人類、月に立つ」のセリフを叫びました。
童子さんとコユリさんがISS(国際宇宙ステーション)に旅立つ前に、日本の文部科学省からの依頼で、童子さん・コユリさん・麦ちゃん・みどりちゃんの4人で、日本のアルテミス計画への参加のPR用ビデオを撮影していました。
右奥に見えるのは、アルテミス計画で使用される月着陸船です。
【ベンチャー企業が開発する月着陸船】
上の3Dモデルは、アルテミス計画で使用される月着陸船のダイネティクス社(アメリカ)案のものです。
現在、月着陸船はダイネティクス社、スペースX社、ブルー・オリジン社が中心となったナショナルチームの3つのグループがコンペに参加して、いずれかの企業の月着陸船が採用されることになります。
上記3社のうち、昔からの航空宇宙企業はダイネティクス社だけで、ファルコンロケットやクルー・ドラゴン宇宙船の成功で注目を集めたスペースX社とブルー・オリジン社は新興のベンチャー企業です。
ブルー・オリジン社はAmazonの創業者、ジェフ・ペソス氏が興した宇宙開発企業です。
4人のクルーを乗せて月に人を安全に送り届け、地球に帰還させることが条件とされていますが、スペースX社は現在開発中の超大型ロケット[スター・シップ]を転用するようで、数十人から100人のクルーを月に送り届けるという、ちょっと途方もなさすぎる案を出しています。
ですがスペースX社のファルコンロケットは、ボーイングやロッキード・マーチンといった古参の航空宇宙企業ができなかった完全再利用ロケットを実現した技術力を持っているので、何をしでかすかわかりません。
【アポロ11号の月着陸は捏造だと信じる人たち】
上のCGイラストは、NASAが開発中の新型の大型ロケットSLS(スペース・ローンチ・システム)です。
ごくわずかですが、アポロ11号の月着陸は捏造だと信じる人たちが今なおいます。
アポロ11号にまつわる陰謀論者を有名物理学者がツイートで瞬殺…HUFFPOSTの記事です
月旅行の理論はすでに100年以上前に、ロシアのツィオルコフスキー博士(元々は聾唖学校の先生でした)が完成させています。
これに関しては、高校の物理Ⅱ・化学Ⅱ・数学Ⅲを真面目に勉強した人であれば理解でき、なるほど月に行くことは十分に可能なのだなと納得できるはずです。
工学的な問題さえ解決できれば、いつでも人が月に行くことができたのですが、それは第二次世界大戦でのナチスドイツが開発した史上初の弾道ミサイルV2号の完成まで確実なものではありませんでした。
第二次世界大戦が終わり、アメリカとソ連が冷戦状態に入ると、軍拡は宇宙にまで広がり、1957年にソ連が史上初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げたことで、いつ手の届かない宇宙空間から核ミサイルを撃ち込まれるかわからないという緊迫した状態になりました。
アメリカもソ連も当時は「次の戦争は全人類が滅亡に至る終末戦争になる」と考えていて、月面に先にどちらかが軍事基地と地球が核戦争で荒廃したときのための移民都市を作ることを恐れていました。
月旅行はロマンではなく、冷戦が生んだ軍拡競争だったというのが事実です。
技術的な見地で言えば、「アポロの頃はファミコン以下のコンピュータしかなかったから月旅行は捏造だ」と言う方がいますが、確かにアポロ誘導コンピュータはファミコン2台分の能力しかないのですが、それはファミコンで使われた8ビットCPU、モステクノロジー6502をバカにし過ぎというものです。
軌道計算であれば十分な計算能力をアポロ誘導コンピュータは備えていました。
「あと、50年間月に行かなかったのが何よりの証拠だ」とも言いますが、行かなかった一番の理由が「お金ないんだから、旅行はガマンしなさい」と言うことです。
戦争状態であれば、国民が飢えて死んでも、すべての資源を軍に注ぎ込みますが、そうでなければ使うべきお金はあちこちにあるものです。
当時アメリカの敵国だったソ連は、レーダーでアポロ11号が月に降り立ったのを確認しています。
自国で開発中だった月ロケットのN-1は4回連続で大爆発を起こし、多数の死者を出したため、月着陸レースからひっそりと降りました。
やがてアメリカとソ連の関係は良好なものになり、のちにロシアと国名は変わってからは国際宇宙ステーションや今回のアルテミス計画では協力関係を築いています。
アポロ11号で月に降り立ったオルドリン飛行士は、自分をののしった月着陸陰謀論者に怒り、その相手を殴ったという事件がありました。
ネタとしては陰謀論や捏造論は私も面白いと思うのですが、本気でそれを言われると、命がけで月に向かった宇宙飛行士や、月に行きたいという夢を実現するために懸命の努力を続けた科学者や技術者を否定することになってしまいます。
それは私にとってはあまり面白くない、というか不愉快なものに感じてしまいます。
うわー!!長い記事になってしまった。しかも決しておもしろい記事じゃないのにー(ノД`)