伝説の8ビットPC[MZ-700] | こむぎブログ~猫とコンピュータ~

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3匹のお姉ちゃん猫と3匹の弟分猫たちの日常と6匹の猫たちが登場する変な猫マンガ。
そして昔のパソコンあれこれ。

【伝説の8ビットパソコン】

麦ちゃん  「あら、小田川先生に修理を頼まれたパソコンが直ってきたのね」

びわ    「うん、モンフチ電機の乾さんが直してくれて、ここに置いて行ったの」

やまはちゃん「麦ちゃん、おじゃましてますー」

麦ちゃん  「あ、これってスペースハリアーじゃないの」

 

パソコン博物館を開こうと、昔のPCを集めている小田川先生は、今回も古いパソコンをきなこのツテでモンフチ電機に修理してもらうために預けていきました。

 

 

【伝説のパソコン シャープMZ-700】

1982年に発売されたシャープの8ビットPC[MZ-700]です。

 

それまでは本体価格が15万円から30万円ほどしていたパソコンが、この頃になると10万円を割る低価格機も登場してきました。

MZ-700シリーズは最小構成のMZ-711が79,800円、データレコーダを内蔵した標準機のMZ-721が89,800円、4色カラープロッタプリンタ内蔵のMZ-731が128,000円で発売されました。

 

家庭用低価格PCの先鞭を切ったのはNECのPC-6001(1981年発売89,800円)で、PC-6001の成功で、他社も次々と家庭用低価格PCを発売しました。

 

MZ-700は日本で最初期に発売されたパソコン[MZ-80K/C]シリーズの後継機で、グリーンモニタ一体型からモニタ分離型とし、専用ディスプレイまたはカラーテレビに接続しカラー表示ができるようになりました。

 

しかし、メモリ容量こそ64KBと他社製品よりは大きかったものの、表示できるのはキャラクタ(文字や記号)のみで、グラフィック表示はできないものでした。

また、他社製品は三重和音のサウンド機能を持っていたのに対し、MZ-700は音階付きとは言え、単音の寂しいサウンド機能しか持っていませんでした。

正直言って、非常に魅力に乏しい8ビットPCと言わざるを得ないハードウェアでした。

 

 

【特筆すべきものは何もなかったMZ-700ですが…】

当時、一般の方、特に学生がパソコンを買う動機として最も大きかったのは、ゲームで遊びたい、ゲームソフトを作りたいということだったと思います。

 

8ビット中級機のPC-8801(NEC)や、X1(シャープ)、FM-7(富士通)は、カラーグラフィックとサウンド機能が充実していて、ゲームセンターのゲームもリアルに再現できたのですが、MZ-700を購入された方は、四角形や三角形などの記号で作られた見た目も粗く、ショボいキャラクターしか表示されないゲームを見て落胆したことだと思います。

 

もちろんPCはゲーム用途だけではなく、本来は計算機として使われ、また機械制御やデータ処理に使われるものであって、そのような用途ではMZ-700でも全く問題はないのですが、多数のホビーユーザーに対しての訴求力はMZ-700にはありませんでした。

 

PCユーザーの間でも特に注目されることもなく、ひっそりと姿を消していくはずのMZ-700でしたが…。

 

 

【いきなり伝説のPCになったMZ-700】
※画像はMZ-700版スペースハリアー (C)SEGA / (C)古旗一浩

 

シャープ系パソコン誌Oh!MZ(発行:日本ソフトバンク)1986年11月号に、当時高校生だった古旗一浩さんが投稿した、ナムコの縦スクロールシューティングゲーム[ゼビウス]の移植版、MZ-700版タイニーゼビウスが話題になりました。

 

グラフィック機能のないMZ-700で、キャラクタだけで再現した疑似グラフィックの美しさと、原作に忠実なゲーム性は、ハードウェアの限界ギリギリのものでした。

 

さらに1988年10月に発表されたMZ-700版スペースハリアーは、原作が16ビットCPUを搭載した業務用ゲーム機の疑似3Dシューティングゲームでありながら、8ビットCPUの中でも決して高性能とは言えないZ80を搭載したMZ-700で、しかもわずか64KBのメモリで全ステージのプログラムとデータを格納するという凄まじいものでした。

これには開発元のセガさんも驚いたことでしょう。正式にセガから許諾が下りて公開されたユーザープログラムです。

 

このMZ-700版スペースハリアーは大きな話題になりました。

画像は上の通り、解像度の粗さからモザイク様になっていますが、これを動画で見ると、まさにスペースハリアーそのものです。

8ビット中級機のPC-8801やX1にもスペースハリアーは移植されましたが、私はX1版をプレイしたのですが、サウンドは素晴らしいのですが、グラフィックは残念ながらこのMZ-700版には遠く及びません。

 

ハードウェアの限界をソフトウェアが超えたことでMZ-700は後々にまで名前が残る伝説のPCになりました。

素晴らしいのは、そのソフトを大手ソフトハウスが作成したのではなく、いちホビーユーザーが作成したということでしょう。

 

MZ-700版スペースハリアー開発に関しての古旗一浩さんへのインタビュー記事はこちら

・古旗一浩氏の昔話【前編】 ~MZ-700版タイニーゼビウスの開発話

・古旗一浩氏の昔話【後編】 ~MZ-700版スペースハリアーの開発話

togetterの記事へのリンクです

 

当時のソフト開発環境や、プログラミングへの情熱がうかがえて興味深いです(^-^)

 

シャープのMZシリーズは同社のXシリーズや、NECのPC-8801・9801シリーズ、富士通のFMシリーズに比べて、ソフトには恵まれませんでしたが、それだけに自分でプログラムを組むユーザーが多くて、MZに育てられたIT系技術者は多いと思います。

 

私もMZ-2000でZ80の機械語を覚えましたし、情報処理系の資格をいくつか取得することができましたが、IT系の仕事には就かなかったんですよねー…でも土木・建築でもそのスキルは役立ちましたからまあいいか…な(^◇^;)

 

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