Macの先進性とジョブスの天才の意味 | こむぎブログ~猫とコンピュータ~

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3匹のお姉ちゃん猫と3匹の弟分猫たちの日常と6匹の猫たちが登場する変な猫マンガ。
そして昔のパソコンあれこれ。

スティーブ・ジョブズの遺したものの一つ、Macintosh(以下Mac)は従来のパソコンにはない魅力が数多くありました。
私が関心を持ったものは、MPU68000の採用、toolbox(後にMacOSに統合されるAPI群)、ビットマップディスプレイによるWYSIWIG(画面上でみたままのイメージがプリントできる)などでした。

あとの2つはシステムソフトの部分ですね。ソフトウェアの秀逸さがMacの特徴だったと思います。
Macの画面はモノクロ2階調で、当時の日本製パソコンがすでに4096色や26万色同時表示を実現していたため、この部分は非常に見劣りがしました。
しかし、ビジネス文書はモノクロで十分で、パーソナルワークもモノクロで事足りる事がほとんどでしたので、見劣りすると感じたのはゲーマーやPCでヲタ絵を描きたいユーザーだったと思います。

toolboxを介してのプログラミングはプログラムの自由度を失うかわりに、作られたアプリは統一された操作性を持つというメリットがありました。
のちにMacOSとなるtoolboxは、実用に耐える初のパソコン用ウィンドウシステムでもありました。

MacのWYSIWIGは徹底していて、画面に表示された用紙に印刷された用紙を重ねると見事にぴったり重なります。Macのデビュー当時は日本語入出力環境が貧弱でしたが、これも改善されていくと、印刷やデザインの業界でMacブームが起こるようになりました。

いかにも画期的なMacですが、実はMacの前機種のLisaで実現していた事をリファインしたもので、さらに言えば、これらコンセプトの大元はアメリカのゼロックス社が開発したワークステーションAlto(アルト)やその原型機Dolphin(ドルフィン)に端を発します。
Macはジョブスが高価でデリケートなワークステーションでしか動かなかったウィンドウシステムをtoolboxとしてパソコンレベルで利用できるようにしたこと、その利用方法を提案したことに価値があったと思います。

思えばiPod以前にもMP3プレイヤーは韓国が発売しており、一部マニアはiPod以前より楽しんでいたのですが、iPodは音楽業界を巻き込み、それまでは著作権の絡みでその存在がグレーな印象があったMP3プレイヤーに市民権を与えたことが、その価値の大きさだったと思います。

ジョブスの天才は、ゼロからなにか新しいものを生み出すという発明家というよりも、すでにあった技術や商品により高い価値を与えるクリエイター的な天才だったのかな、と思います。

Macブームで沸き立つ世間をよそ目に、私は泥臭くドメスティックなPC-9801(の互換機)とX68000を使っていました。

【X68000(無印)】
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「ジャパニーズMac」の異名を持つシャープの16ビットパソコンです。
斬新なデザインとそれまでのパソコンとは一線を画す性能で注目を集めました。
MPU68000の採用、65536色ビットマップディスプレイ、BIOS-ROM(Macのtoolboxとコンセプトは似ていますが機能的にはずっと低いものでした)の搭載など、一部コンセプトは似ていますが、基本的にはそれまでのDOSマシンにマルチメディア機能を強化したものでした。

【私のX68000PRO2】
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今やオブジェです。残念ながら電源が故障しています。
より一般的なパソコンに近い横型のデザインになっています。
以前にも載せた写真ですが、上に楓が、横にきなこがいます。

X68000はアメリカのパソコンマニアも注目していたのですが、当時のスーパー301条(アメリカの市場を脅かす製品群には高い課税をするからなオイ!!という一方的にアメリカからつきつけられた条約)により、200%の関税がかかることとなり輸出がされなかったといういきさつがあります。
当時スーパー301上に抵触する日本製パソコンは、このX68000とNECのハイパー98シリーズでした。
もし、アメリカにX68000が輸出されていればX68000シリーズの将来は全然違っていたものになっていたはずです。

で、実はこのX68000でも独自のウィンドウシステムがありました。

【SX-Window】
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当時としてはなかなかカッコいいデザインのウィンドウシステムでしたが、いかんせん日本ローカルなパソコンでしたのでアプリが全然ありませんでした。

結局私がまともなウィンドウシステムを使うようになるのはMicrosoft Windows3.1からでした。

思うにMacを早くから使っていた人は、いち早く未来を体感していたわけで、とてもうらやましく思います。
昔からMacを使っていた人は、その点を誇りに思ってもいいと思います(^-^)b

…昔はごく一部のMacユーザの「俺ってクールっしょ」という感じが鼻について、Macが好きじゃなくなったということがあったのですけどね(;^_^A