アップル前CEOのスティーブ・ジョブズ氏が亡くなりました。56歳の若さでした。
私は実はアップル社の製品は買ったことも使ったこともありません。
なぜか縁がなかったのです。
1980年からマイコンを使い始めたのですが、当時は完成品としてのパソコンメーカーはまだ少なく、アメリカではアップル、コモドール(倒産)、タンディ・ラジオシャック(本業は家電量販店)の3社がパソコンメーカーの御三家と言われていました。
ちなみに日本の御三家はNEC、シャープ、日立でした。
当時アップルが販売していたパソコン、AppleⅡ(アップルツー)はカラーグラフィック(256×192ドット、4色または16色)が使用できる数少ないパソコンで、比較的安価(とはいえ50万円程度の価格、これは当時の円ドルレートの関係もあります)だったこと、そして外部記憶装置としてフロッピーディスクドライブを安価に提供していたため、日本でも人気の高いパソコンでした。
AppleⅡはデザインも優れていて、私も興味を惹かれたマシンでしたが、なにせ高価過ぎて雲の上のコンピュータでした。
そのAppleⅡを創った会社、アップル社の創業者の一人がスティーブ・ジョブズ氏でした。
パソコンを計算機ではなくクリエイターのためのツールとしてリリースしたのもアップル社でした。
その後、アップル社はAppleⅢ(8ビットパソコン。グラフィック機能の強化とFDD内蔵。デザインがカッコいい)、Lisa(16ビットパソコン。Macintoshの先祖。HDD内蔵。モノクロ画面で初のウィンドウシステム搭載)をリリースし、Macintoshの登場となります。
初代Macは16ビットMPU68000を搭載し、HDD内蔵、モノクロビットマップディスプレイを搭載したパソコンでしたが、これもまた計算機というよりもクリエイターのためのツールというマシンでした。
初代Macは非常に高価でした。円ドルレートの関係もありましたが、日本語の使えるMacは当時100万円くらいしたのではないでしょうか。そのためリッチな好事家、あるいは相当なパソコンマニアが購入したくらいで、それほど日本では売れなかったと思います。
私も当時パソコン専門店で見せてもらいましたが、ちょっと恐くて少ししか触れなかったです。OSクラッシュが頻繁にあったので、それが怖かったのですが。
当時は確かキヤノンが日本での独占販売をしていた覚えがあります。今のように家電量販店でMacを見ることはありませんでした。
しかし、このようなマシンが登場したというインパクトは大きく、売れなかった割りに誰もが知っている名機となりました。
その後Macもシリーズ化されるとともに日本での販売価格がどんどん下がり、一時は日本の国民機と言われたPC-9801シリーズ(NEC)よりも安価なMacも出現しました。1990年前半の頃です。
DOSベースのアプリがメインだったPC-9801やIBM-PCよりはるかに先進的なウィンドウシステム(MacOS)を搭載し、洗練されたアプリが走るMacは、それまでも主なユーザーであったデザイン業、印刷業、グラフィックアーティストの間でますます広がりを見せていました。
しかし、私はずっとX68000(シャープ)とPC-386カラーノート(エプソンのPC-9801互換機で会社からの貸与)を使っていました。計算機としてのパソコンが好きだったんです。
あと、ダサい私には洗練されすぎたMacはどうしても似合わないという気がしていました。
実は初代Mac発売後にスティーブ・ジョブズはアップル社を追放されています。
初代Macに自信のあったジョブズは初代Macを大量に生産したものの、思ったほどに売れず、
初の赤字を計上したその責任を取らされたわけです、
ジョブズのいなくなったアップル社は、その後Macの売上も順調で、業績を伸ばしていきました。しかし、これはジョブズの創り上げたMacの先進性がようやく世間に認められてきたことと、量産による低価格化が功を奏したというだけでした。
今では当たり前になったウィンドウシステムですが、当時のパソコンは1つのプログラムだけを実行するのが普通で、ワープロソフトで作っている原稿に、同時に立ち上げたグラフィックツール上の画像を貼り付けるということはできなくて当たり前でした。
不便さを知るのは新しいものが出てきてからのことで、私もウィンドウシステムのありがたさを知るのはMicrosoft Windows3.1にを使うようになってからのことです。
ジョブズがアップル社に戻る事になったのは、アップル社が再び天才を必要とする危機に
陥ったからです。
先進的なウィンドウシステムを搭載したMacOSの前に強敵Microsoft Windows95が登場しました。
このWindows95は、新製品に飛びつくのが遅い私も「まともに仕事に使えるAT互換機(IBM-PCの系統機種)用のウィンドウシステムが出た!!」とすぐに飛びついたくらいです。
ジョブズが復帰してからのアップル社の画期的な製品群は、ここ15年くらいの話なので皆さんも御存知だと思います。
ブームにまでなったiMacや、音楽・ビデオの流通形態を変えたiTunesサービスとiPod。
その発展型であるiPhoneやiPadなど続々とヒット商品を創りだしていきました。
天才スティーブ・ジョブズを失ったアップル社ですが、この先はどうなるのでしょうか。
次なる天才を実は隠し持っているのかも知れません。
アップル社製品とは縁のなかった私ですが、スティーブ・ジョブズというパソコン創世記の天才には非常に興味があっただけに、何か一つの時代が終わってしまったさびしさを感じています。
※記述内容は記憶だけで書いていますので誤りも多いかも知れません。間違いがありましたら笑って許してくださいね。