『百姓レボリューション』の短縮版がいよいよ完成。現在サンプルコピーをつくってもらっていて、それを見て最終確認する。12月の中旬から末までには出版できると思う。

 

『百姓レボリューション』が405ページあるのに対して短縮版は341ページなので、64ページ短縮できたことになる。

 

改訂版を出すことになったきっかけは、11月から印刷代が上がり、値上げを余儀なくされたこと。ところが、『百姓レボリューション』はすでに2750円(税込み)とそこそこの値段になっている。せっかく今注目が集まっていて一番売れている本だけにこれ以上上げるのは極力避けたい。そこで11月になっても値上げしていないのだが、ほぼ利益なしの状態だ。

 

プリント・オン・デマンドの問題のひとつが、印刷製本費が通常の大量印刷本に比べると割高になってしまうということ。

 

それでも注文があった時点で1冊ずつ印刷していくので、紙やインク代の無駄にならないという利点がある。大量印刷の場合、1冊、1冊の価格が低いので安くなっているように感じるが、売れ残りは断裁され破棄されるので大量の無駄が生じる。

 

つまり、売れ続け、増刷が重ねられているような本なら問題ないが、売れない本ほどそうした事態になりやすい。

 

そうなると、売れる本しか出版しないという流れができ、本としての価値はあっても大量の読者がつかないような本は、なかなか出版されない風潮ができる。

 

そこで、そうした本への受け皿として、プリント・オン・デマンドによる個人出版というスタイルができた。

 

プリント・オン・デマンドで成功する鍵のひとつが、いかにページ数を下げるかだ。その計算でできあがったのが『生きがいダイエット』。120ページに抑えた結果、大量印刷版書籍と同じぐらいの価格帯で出版することができた。

 

ところが、『百姓レボリューション』はもともとプリント・オン・デマンドを想定せずに書いたので、ものすごく長くなっている。僕の出版物の中で一番長い本だ。

 

『百姓レボリューション2』と『百姓レボリューション3』は約300ページになっているので、それに合わせる意味でも、短縮できないかと考えたわけだ。

 

で、しばらくぶりに読んでみた。しばらくぶりというのは、プリント・オン・デマンド版を出した2017年以来だと思うので6年ぶりだ。書いたのは2010年なので気持ち的には13年ぶりだ。

 

読んでみての結論は、カットできるシーンがないということ。

 

絶対どこかに不必要なシーンがあるはずだと思っていたのだが、どこもそれぞれ別のシーンへの伏線だったりしてつながっている。僕なりに当時細かく計算して入れているので、そのはずなのだ。

 

どうしよう。

 

かといって値上げは避けたいし。

 

文章を削るしかないか。

 

これは昔よく編集者に言われたこと。

 

削る、削る、削る。これこそが編集作業だと。

 

まるで、「むしる、むしる、むしる。百姓とは草との戦いだ」というに新村ケンが親父さんから言われた言葉のようだ。

 

ところがこれ、著者には難しいのだ。付け足すことはいくらでもできるのだが。

 

とにかく頑張った。

 

64ページも削った。我ながら感心している。よくぞここまでカットしたものだ。シーンとしてカットしたのは1、2シーンで、内容的にはほとんど差がない。ほとんどが台詞や描写の文章を短くしただけ。

 

僕としては、こちらのほうが完成版だ。

 

ほぼ同じ内容をより短いページ数で集約できたことで、第2巻、第3巻とのマッチ感が高まり、より3部作の第1巻らしくなった。読み終わった人はより高い確率で第2巻、第3巻を読みたくなるはず。

 

今までは第1巻が長すぎて、そこで力尽きて続きを読むところまで行かなかった読者も多いことだと思う。

 

それに決定的な違いは、エンディングで第2巻への伏線が挿入されていることだ。

 

2010年に『百姓レボリューション』を書いた時は、続編のことは念頭にあったが、いつ書くかも未定だったので、1話完結版として仕上げたのだ。

 

ところが、現時点ではすでに第2巻、第3巻が仕上がっているので、『バック・トゥー・ザ・ヒューチャー』のような終わり方でもいいと。もっとも、それではオリジナルにあった完了感がなくなってしまうので、そこまでわざとらしくなく、微妙に。

 

こんなこと言うとみんな読みたくなっちゃうかもしれないね。

 

いやいや、もちろんそんなことは考えていないですよ。オリジナルを読んだ人は短縮版を読む必要はないです。

 

短縮版はあくまでもこれから読む人用で、より低価格で短く読めるものとして作りました。

 

オリジナルはオリジナルで販売を続けます。価格のほうは申し訳ないけれど12月から上げさせていただきます。

 

これから読む人にはまず短縮版をお勧めください。

 

オリジナル版は、2011年に出版されたあのオリジナル感を味わいたいという人のみ。

 

オリジナルはもちろん全シーンを含むのでそういう意味での完成度は高いのだけれど、僕としては、オリジナルを読んで、第2巻、第3巻を読まないくらいなら、短縮版、第2巻、第3巻のセットで読んでもらいたいです。

 

そんなこと言われると、短縮版も読んでおかないと、どこがどう変わったのかわからず人に勧めにくくなりますね。

 

つまり、読めってこと。

 

まあ、そこはお任せします。(笑)

 

 

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