人生の本質を、自己の実人生から汲み出し、これを普遍的真理として昇華して作品へと成してゆくことが、哲学者の仕事である。


 悲劇というものが、これだけ一大芸術作品として昇華されることを考えてみても、人生の様々な悲しみや苦しみであっても、それを昇華する道は必ずあると言えるし、その中にこそ、哲学的真実が深くあるとも言える。


 吾々は自らの実人生を生きているのであるが、哲学的に善く生きることによって、哲学的瞑想の中に、深い高い幸福感を抱きながら生きてゆくことが出来ると言えるのである。


 ショーペンハウアー哲学を深く洞察して味わう時に、静かな鋭い崇高な幸福感を実感することが出来る。これも一つの哲学的解脱体験であり、また哲学的涅槃体験であるとも言えるであろう。


 理念を観照することによって、哲学者は自らの法灯を継いでゆく。ソクラテス、プラトンが見性したイデアを、ルソー、カント、ショーペンハウアー、ヘーゲル、エマソンが、理念の哲学として継承してゆく。それぞれ表現は異なっても、同種の真理が語られている。それも、時代と地域を超えてである。


 この理念(イデア)哲学は、その時代その地域の一握りの哲学者思想家によって認識されて、理念哲学として表現される。それを同時代同地域の少数の人々が認識して、それを、後世の人々へと、その法灯を継いでゆくのである。


 その中の後世の一人の見性体験のためにであっても、理念の哲学・思想を遺してゆく価値と使命が、真なる哲学者にはあるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    天川貴之

(JDR総合研究所・代表)

 

 

 


 


「謙虚さ」ということも、様々な真理を綴り、実践し、発表して世に問うてゆく上で、最高の武器である。


 何故なら、「自ら低くする者は高められ、自ら高くする者は低められる」(聖書)ということは、永遠普遍の真理であるからである。


 さらに、己心の魔と闘ってゆく上でも、この謙虚さを常に持っているということが、自らの心身を守ることになるのである。


 また、謙虚な姿勢を持っている方が綴ったものの方が、それらを読んでいる人々からも受け入れられやすいのである。


 真理を真摯に学んでいるような人は、増長慢に見えるような人が綴ったものを警戒するし、その方が天狗になっているように見える人のことを信用しないものである。


 故に、より謙虚な心を以って言葉を紡いでゆくことは、結果的に、人々の信用を得ることになるのである。


 また、謙虚な言葉や思想は、人々の心に素直に響きやすく、それは、あたかも、読む人の心を温かく包み込むようである。


 このように、常に謙虚さがあり、柔和であるということはまた、その方が人格的に練れていることの証でもあるのである。

 

 老子が説くように、あえて光を落とす(和光同塵)ということも、大切な徳なのである。また、謙虚であるからこそ、その方は、無限に精進して向上してゆけるのである。


 同じく、「柔よく剛を制す」と老子にあるように、柔やかなメッセージの方が、一見、剛そうに見えるメッセージよりも、逆説的に、優れているということもあるのである。


 このように、柔やかで優しく包み込むような知恵は、結果的に多くの人々に愛されてゆくのである。

 

 

 

 

 

 

 

  by 天川貴之

(JDR総合研究所・代表)

 

 


 


 短歌の連作というものは、物語を育む原動力となるものである。


 それが恋歌であっても、応援歌であっても、また、多くの人に宛ててであっても、数多く詠んでおけば、それは『源氏物語』のような歌物語にもなってゆくのである。


 内なる心の機微というものを観察するということは大切であって、たとえ恋歌一つであっても、自分自身の心の動きを面白がって注視し、客観し、何故、こういう心が生じてくるのかを分析して、それを描写してゆくだけでも、その過程で、素晴らしい芸術作品が生まれてゆくのである。


 恋歌というものも、決して偶然に生まれるものでもない。恋歌が生まれる相手というのは、人生でごく少人数なのである。

 

 故に、最高の芸術創造の機会だと憶って、恋歌が出来る時には、恋歌を数多く創ってゆくべきなのである。


 J・J・ルソーの『新エロイーズ』であっても、何度読み返しても尽きない深さというものを持っており、文学哲学としての普遍性、理念(イデア)性というものを持っている。

 

 そして、一度読んだ時よりも、くり返し読んだ時の方が、思想や言葉が煌めいて観えるのである。


 このJ・J・ルソーの『新エロイーズ』が、数多くの英雄を育み、紳士淑女を育んだということは、注目に値する。

 

 確かに、この『新エロイーズ』と共に、さらにプルタルコスの『英雄伝』や『愛をめぐる対話』も併せて読めば、そこからより良きものが生み出されていくことも多いであろう。

 

 

 

 

 

 

 

  by 天川貴之

(JDR総合研究所・代表)