ボラティウス10 | コラム・インテリジェンス

コラム・インテリジェンス

透き通るような…心が…ほしい

善く生きようとする人のなかには、

無を重んじ自ら無を体現しようと、

善だとかヨガだとか呼吸法をとりいれる人も、

少なくはないようです。

 

が、しかしながら、

無と虚無、空即是色は受け入れても、

究極の無、つまりは死について、

すんなりと受け入れられるという人は、

少ないとも聞いています。

 

究極の無、死を受け入れる覚悟、

いつでも死を受け入れてやるという性根を、

常日頃、磨き続けることで、

究極の生、至福へと導かれるとも、

考えられなくもないような気も

しないでもないのです。

 

「人間たちには幸運よりも不運のほうが益になる。」

(「哲学のなぐさめ」ボエティウス/京都大学学術出版会)

 

幸運のなかにあっては思考が停滞し、

幸福が離れていくのを恐れ、

そのなかで負のスパイラルから

抜け出すことができなくなるというケースも

ありうるようにも考えられます。

 

「幸運は、へつらっているように見えるとき、幸いという美しい見た目でいつも嘘をつくが、不運は、変わりやすい自分を変化によって示すとき、いつも真実である。」

(「哲学のなぐさめ」ボエティウス/京都大学学術出版会)

 

幸運は嘘っぽい。

幸せには不安と懐疑を感じるけど、

 

不運はこのうえない実感を

味わえるようにも思われます。

 

「幸運は欺き、不運は教えてくれる。」

(「哲学のなぐさめ」ボエティウス/京都大学学術出版会)

 

幸運は虚像のようで、

欺瞞をおぼえるけど、

 

不運は自分と社会を

見つめ直させてくれて、

そこに何らかの学びがあるようです。

 

「幸運は、それらを享受している人たちの精神を縛るが、不運は、壊れやすい幸いを認識させて精神を解き放つ。」

(「哲学のなぐさめ」ボエティウス/京都大学学術出版会)

 

幸運は、

それを手放したくないという精神で、

自らを縛り付けるけど、

 

不運は、

幸せとは何かということを

再認識させてくれて、

精神を浄化してくれるのかも知れません。

 

「保身を優先する者は、常に不安に苛まれ、ために却って権限に固執する。」

(「哲学のなぐさめ」ボエティウス/京都大学学術出版会)

 

自分に自信の持てぬ人ほど保身に固執し、

立場とか周囲との関係性に

過敏に反応してしまうようです。

 

カスハラなども双方が保身と不安に苛まれ、

ためにかえって感情的に

なってしまっているようにも思われます。

 

「智者は自らの善を、民衆の評判ではなく、良心の真理によって測る。」

(「哲学のなぐさめ」ボエティウス/京都大学学術出版会)