やり手 | コラム・インテリジェンス

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透き通るような…心が…ほしい

37歳になったと言う。僕とのお付き合いも12年になるらしい。
肉体関係はない。彼とは仕事仲間が個人的お付き合いに発展しただけである。

A君は大手企業のやり手といわれているナイスガイだ。
三日三晩泊り込みの半徹夜状態が続いたあとなど、
仕事完了の朝を共に迎える。そのままスタッフと連れ立って飲み会になる。

「夜明けのコーヒーもいいけど、
 こうして二人で朝っぱらからのビールもいい感じですね♪」
二人だけではない。みんな一緒にいる。

仕事が順調に運んで、飲み屋さんに入る時の彼の口癖は
「おねえさん♪酒だい酒だい!○○だーい!」と酒の銘柄を言う。
「お客さん、お酒ですか?」おねえさんは確認する。
「生ね!大生!」かならずビールを注文するのだ。

A君が僕に電話をしてくる。電話に出たスタッフにはかならず
「俺!俺だけど、いる?話せる?オッケー?」
「私Aと申しますが、○○さんいらっしゃいますか?今お話できるでしょうか?」の
つもりらしい。スタッフもそのあとでかならず
「あいつおかしいよ!○○の身内かなんかのつもりでいるよ!
 そのくせ小心者だからかならず○○のご機嫌状態を聞くんだよ!」

それでもA君はうちのスタッフの人気者である。Aの不思議と呼んでいる。
かなり以前からA君は僕に似てきていると言われている。
「そりゃ逆でしょ♪○○さんが俺に似てきているとは俺も感じている。
 だって二人は兄弟だもの♪そりゃ似てくるよね!」
兄弟ではない。血のつながりもない。だいいち姿かたちがまるっきり違う。
A君は長身、ハンサムでガッチリしっかり体育会まるだし。

A君はめちゃめちゃモテる。最初は。見てくれがいい。お話が上手い。
が、最後はほとんどふられる。原因も同じパターン。
少し仲良くなるとかならずA君は突然に切り出すのだ。「ホテル行こう♪」

どうしてそういうことを言うのだと問い正したことがある。
「じゃあ、伺いますけど、どうして○○さんは“ホテル行こう”って言わないの?
 なのにどうしてホテル行っちゃうわけ?」
行ってない。ホテル行ってない。だから言う必要もない。

A君は最近真剣に結婚を考えているという。そう考えた原因はなんなのか。
「彼女には“ホテル行こう”って言う気にならないんですよね。
 なので結婚しちゃう以外に手がないと思って。。。なんか他に戦略あります?」
A君はいつも真剣勝負。僕はA君が大好物です。