キサナドゥの伝説 | コラム・インテリジェンス

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透き通るような…心が…ほしい

一回り以上も年齢差のある女性とお付き合いしていた。
カラオケで僕の世代の歌を彼女が知っていて、いつの間にか
僕の持ち歌が彼女の持ち歌になっていった。

この恋こそが最後にしてホンモノ、生涯たった一つの運命の恋だと確信した。

やがて僕の持ち歌はすべて彼女の持ち歌となり、彼女の猫は僕の猫になった。

思えばはじめから実るはずのない恋ではあった。
知り合った当初から、妻子のあることを承知で突き進んだ彼女の覚悟は
彼女自身も予期せぬ形で崩れていった。

妊娠、出産、育児に対する渇望が、彼女の彼女らしさを失わせていった。
子供が嫌いで、家庭というものに否定的な論理を振りかざしていた彼女にとっては
まさに彼女の内部で起こった予想もしない大異変であったのだ。

許されることのない見果てぬ夢の終わりは、彼女をストーカーへと変貌させた。

周囲でははじめから
師弟関係の勘違い、ファザコンなどという無責任な酷評がなされていて
そら見たことかの噂が、さらに彼女を追い詰めた。

言葉どおりの命がけの話し合いと、
愛に対する二人だけの共通認識を確立することで、
二人の仲は元の師弟関係、親子のような、兄弟のようなマブダチ関係に落ち着いた。

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最近の彼女はあっけらかんと、僕のことを二人目のパパと紹介できるまでになった。
やっぱりオジンはオジサンかお父さんがお似合いのようです。

彼女が最初に盗んだ僕の持ち歌は、
「キサナドゥの伝説」