サピエンス 19 | コラム・インテリジェンス

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透き通るような…心が…ほしい

「たとえば紀元前5世紀の民主制のアテネでは、子宮を持っている人は、独立した法的地位を持たず、民衆の議会に参加したり裁判官になったりすることを禁じられていた。」

(ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」)

 

文武両道を貫けぬ男はどこかにコンプレックスを持っているのかも知れません。

その自信のなさが、女性を蔑視したり差別したりすることで誤魔化せると、稚拙にも考えてしまっていたようにも思われなくもないのです。

 

文武両道なき男たちが構築し続ける社会に正義などは期待できそうにもないようです。

 

キャロル・ギリガンは、

男が正義の決断力に優れ、女は道徳観が稀薄であるという結論に異議を唱えました。

 

彼女は正しさの基準を明確に決めつけたがる論理(男性的)と、周囲の人の意見を考慮し曖昧でも正統性は保たれるという論理(女性的)を比較し、勝手な基準で男のほうが道徳的に優れているという元来の定説を覆してしまいました。(キャロル・ギリガン「もう一つの声」)

 

「ジェンダー・マジック/女性のアイデンティティ」

https://blogs.yahoo.co.jp/shigetage/40047952.html

 

人間の価値を男女とかヒエラルキーで測ること自体が、すでに人間的だとはいえないようにも思われます。

 

「ハムラビ法典は、バビロニアの社会秩序が神々によって定められた普遍的で永遠の正義の原理に根差していると主張する。

このヒエラルキーの原理は際立って重要だ。この法典によれば、人々は二つの性と三つ階級(上層自由人、一般自由人、奴隷)に分けられる。

女性の一般人の命は銀30シュケル、女奴隷の命は銀20シュケルに相当するのに対して、男性の一般自由人の目は銀60シュケルの価値を持つ。」

(ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」)

 

上層自由人の男が一般自由人の女性に危害を加えた場合には二束三文の銀で済まされてしまうようです。

 

なんだか現代にも通じるものがあるようなないようなそうでもないような気もしないでもないのです。

 

上層自由人の男の命は何よりも尊ばれ、彼らから見れば一般自由人の女性の尊厳なんか記述する価値もなかったようです。

 

個人的には命と尊厳は同義で、多くの人が尊厳よりも命に拘り過ぎているようにも思われなくもない時もしばしば見受けられるようにも思われなくもないようにも思われるのかも知れません。

 

命とか健康、アンチエイジだとかチョイ悪オヤジだとか、カッコつけている場合ではなく、もう少し男としての尊厳とかスキルだとか文武両道の精神に拘るべきであるとも思われなくもないのです。

 

文武両道、己の尊厳を大切にする男であれば、女性の尊厳もそれ以上に大切であることに気付かされるはずであるとも、信じたいとか願ってもいるのかも知れません。

 

文武両道の極意の一つ、平静と冷静さえ持ち合わせていれば、女性に対してどのように接するのが人間としての尊厳と人としての道も、自ずから見えてくるようにも思われます。

 

自分の地位、名誉、金ばかりに囚われ、カッコばかりを気にしているような男には、

女性に対する接し方も尊厳も、人としての道も理解できるわけもないのかも知れませんネ。

 

「名声と平静が並び立つことはありえない」

(モンテーニュ「エセー」)

 

「モンテーニュ」

https://blogs.yahoo.co.jp/shigetage/40125498.html

 

「稀な例を除けば、子宮を持っている人は十分な教育の恩恵にあずかれず、商売を行ったり、哲学的会話を交わしたりすることもできなかった。

アテネの政治指導者も、偉大な哲学者や雄弁家、芸術家、商人も、一人として子宮を持ってはいなかった。

子宮を持っている人は生物学的に、こうした職業には不適なのだろうか?古代アテネの人々はそう考えた。」

(ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」)

 

ここでいうところの「雄弁家」というのはソフィストのことかと思われます。

現代は女性のソフィストが最も求められている時代であるのかも知れません。

ソフィストは職業弁論術師と訳される場合も多いようです。

 

「ソフィストとは弁論の達人。職業弁論人。」

「“運命の赤い糸”の正体」

https://blogs.yahoo.co.jp/shigetage/39697585.html

 

男女差別などは過去の幻影として、

それを証明論破しまくる女性ソフィストの誕生育成こそが、僕の最も望むことであるような気もしないでもないのです。

 

「それはある人間、ある醜悪な人間たちが作り上げた社会という虚偽の世界の幻影に過ぎない」

(プラトン「対話篇『プロタゴラス』」)

 

「キライな説教」

https://blogs.yahoo.co.jp/shigetage/40036390.html

 

ソフィストといえばプロタゴラス。

 

「人間は万物の尺度である」

(プラトン「ソフィストその名をプロタゴラス」

 

「キライな説教」

https://blogs.yahoo.co.jp/shigetage/40036390.html

 

プロタゴラスはプラトンにも尊敬され、一目も二目も置かれていたソフィストだそうです。

僕は女性のプロタゴラスが出現することを強く願う。

 

それこそが人類中心、男中心の思い上がった社会からの脱却に繋がるのではないかの希望となるような気もしないでもないのです。

 

「真実、真理と呼ばれるものの尺度は所詮、

人間が中心に添えられている」

(プロタゴラス「真理論」)

 

「キライな説教」

https://blogs.yahoo.co.jp/shigetage/40036390.html