先日、映画「ターミネーター」などでお馴染みの俳優、シュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガーが自身の身体にペースメーカーを埋め込んだことを公表し、自身の代表作/代名詞に準えて「もうちょっとだけ機械になった」と発言していたのが記憶に新しい。
僕も今日からサイボーグの仲間入りか、それとも改造人間になれるのか!手術と術後への不安を少しでも紛らわす為に、朝からそんな事ばかり考えていた。
午前8時45分、いよいよ手術の時だ。
朝食後、歯磨きや洗顔、軽い清拭を済ませ手術着に着替える。看護師の案内で徒歩で向かう。
以前、大腸の腫瘍を取ったのと同じ手術室。
あの時は大腸癌か盲腸の疑いでここへ入り、早く取り除いて楽のなりたいと願ったものだ。
まさか人生を完全に狂わせる病とは露ほども思わずに。
今回は局所麻酔なので、手術台に乗りずっと意識がある中で処置が行われる。
顔を青い布で覆い、外の様子は見えない。
麻酔針が刺される。コレはまだ痛い。
だが少しするともう麻酔が効いて来たらしい、何かが行われているのは音と触られた感覚で分かるが、痛みは消えた。
僕の場合は、首からカテーテルを入れ、その後で胸にCVポートを埋め込むと言う。
痛みは無いが、医者の「メス」と言う言葉が聞こえて来るので、恐らく切り刻まれているのだろう。
時々首から何か液体が滴り落ちる。恐らくは血液だろう。
切られる痛みも、カテーテルを挿入される感覚も、縫われた事さえも分からずに終わる。
こう書くと、さも楽な手術と思われるだろう。
確かに痛みは最小限だ。
だが怖いものは怖い。
布一枚を挟んだ向こう側で、自分の身体に刃物と今まで入れた事のない物質が挿入されるのだから。
首の処置が終わり、今度は胸。右の胸に埋め込む事になり、再度麻酔が入れられる。局所麻酔は本当にその部分にしか効かないのだなと痛感する。首に打ったから胸が痛く無いなんて事にはならない。針を刺せばきっちり痛い。
麻酔が効いて来た頃に、施術が始まる。
やはり殆ど何も感じない。何かエアーのようなものを当てられたり、相変わらず液体の滴る感覚はあるがそれだけだ。
途中、医者が胸をグイグイ押し始めたところは流石に痛かった。痛みの無い手術と聞いていたが大嘘だ。
永い永い30分が終わる。
術後は首と胸、肩を拭かれ、手術着を着直し車椅子に乗りレントゲンを撮る。
コレで今日の日程は終了だ。
呆気ないと言えば呆気ないが、手術中はずっと歯を食いしばっていたし、変な汗もかいた。
病室に戻り、入院着へ着替える。
看護師から痛むようなら止める薬を出すと言われた。
傷口は痛まない。
(首の傷跡)
首に違和感がある。寝違えた時のような違和感。右側を手術しカテーテルを入れたせいかと動かさなかったり右を向く分には問題無いが、上と左を向く時に突っ張る感じと少々の痛みがある。が、コレは慣れるしかないらしい。
午後から少しだけ横になったが、右を向いて寝る分には問題ない。
(胸のポート埋め込み痕。ガーゼ等は貼っていない。)
僕はガッツリ寝る時はうつ伏せになるが、それはまだ試していない。と言うより、今晩は寝にくいのを承知でうつ伏せは止めようと思う。寝入って無意識に寝返りを打たない限りは、初日くらいは傷口を庇いたいものだ。
明日、外科の先生が来て傷を見てもらいOKが出れば入浴出来るとの事。
肩掛けのバッグは左肩に掛ける事にするとして、車を運転する時のシートベルトは…。ネットではタオルなどをベルトと身体の間に挟める事を推奨している。
家に戻れば柔らかい未使用のタオルがあるので、シートベルトに取り付けられるよう改造してみるのも良いかもしれない。
埋め込んだ箇所を清潔にと言うが、逆にどの程度汚れて平気なのかも気になる。
介護の仕事にパートとしてでも戻らせてもらうとして、時期に夏が来る。
入居者は御年配故に寒がりで、施設にエアコンなど無いし扇風機すら嫌がる方も多い。
年々暑さが増す中で、滝のように汗をかいてもすぐに着替えられない仕事で、終わったら消毒ティッシュで拭くなり出来るだろうが、その間に感染してしまう事もあるのだろうか。
自分にどれだけの時間と可能性が残されているかわからないが、一生付き合うことになるかも知れない、この厄介者を一体全体どうしてくれようか。