3月の28日に悪性腹膜中皮腫と診断され、その後3日間殆ど何もして来なかったが、いつまでもそうは言っていられない。
少しずつだが身辺整理を始める。

家の売れそうな家具や家電。
趣味で集めていた物で売れる物は売ってしまう。
だが1日2日で終わる物ではない。まだまだ何日も掛かる。
売れない物はどうするか。
当然捨てる。

今日は古くてぼろぼろのタンスや棚をグラインダーで解体した。

ぼろぼろの棚等、僕が趣味で集めたコレクションや映画のDVDやブルーレイを入れていた棚たち。

立派に役目を果たしてくれた。最期は僕の手で解体する。

午前から始めて、慣れない手付きでグラインダーを使い、昼の2時半には終わった。

疲れた。

ゴミの出し方は自治体で違うだろうから、細かい事は分からないが、少なくとも僕の住んでいる街では細かく解体してゴミ袋に入れれば捨てられる。

処分の為に業者を呼んで掛かるお金より、手間を選んだ結果だ。

グラインダーの刃は三枚ダメになった。
終わった頃にはガレージがおがくずまみれだった。

解体し終えた、さっきまで棚だった木片を袋に放り込み、箒を手に取りガレージを掃除する。おがくずは勿論外には出さない。ゴミ袋に捨てる。

何とか片付いた。

何の利益にもならない、ただゴミを片付けるのに殆ど1日を費やしてしまった。
でも仕方が無い。

自分が病院から出られなくなったり、予定より早く迎えが来てしまった時に、家がゴミ屋敷では格好も付かなければ家族に申し訳が無い。

僕には父と弟がいる。
母は胃癌で随分前に旅立った。

思えば僕の母方の家計は癌の家系だった。
僕が小さな頃に母の兄、僕から見て叔父さんも癌で亡くなっている。どこの癌だったかは忘れてしまったが。
母の父、僕の母方の祖父も大腸癌をやった。母は胃癌。そして僕は悪性腹膜中皮腫と言う希少癌に当たった。

宝くじには当たらないのに、厄介な病に当たったものだ。

父と特に母方の血を引く弟に罹らない事を祈るしか無い。

そんな事を思いながら、ガレージの掃除を終えて、洗面台で顔を洗う。

グラインダーで木材を切断すると煙が出る。僕は眼鏡を掛けているが、作業中は眼鏡の上にゴーグル。そしてマスクを付けていたが、それでも顔はおがくずと煙を浴びて真っ黒だった。

入念に顔を洗い、目に破片など入っていないか確認し、着替えを済ませて横になる。

今の記事も横になりながら書いている。
今日はもう疲れた。

早めに眠れると良いな。