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・「レッドオクト―バーを追え!」
原子力潜水艦レッドオクト―バー号の艦長ラミウスは、
亡命が未遂に終わると悟った時に、自沈の道を選ぶ。。

「タイタニック」のスミス船長は、
最後の任務である豪華客船の処女航海で、思わぬ判断ミスから
大災害に遭遇し、ついには船と運命を共にする道を選ぶ。

船の災害を描く映画も数々あれど、
多くの史実も残されている。

その航海の数だけ船長=CAPTAINがいる。

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船に限ったことでは無いが、
乗客、あるいは乗組員の生命をも同時に預かる責任の重大さは、
計り知れない。

2009年に発生して世界中に報道された
ソマリア沖の海賊によるアメリカのコンテナ船襲撃事件。

キャプテン、リチャード・フィリップス。
ここにもひとりの船長の命を賭した息詰まる闘争の記録があった…。

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一瞬緩んだセキュリティーの間隙から侵入する魔手の恐怖と
精神力の限界まで追いこむ途轍もない暴力行為、
我々の日常の中にも同様な危険は潜んでいる。

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抵抗は傷口を広げるものだが、
最低限の危機管理は自ら準備しておくべき物騒な時代でもある。





● CAPTAIN PHILLIPS(2013・アメリカ)
監督:ポール・グリーングラス
原作:リチャード・フィリップス「キャプテンの責務」
脚本:ビリー・レイ


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・甘く見ていた。
この緊張感はただごとではなかった。

予測を遥かに超えた物凄い殺気と、
究極まで追いつめられた船長の姿に言葉を完全に失った。
ただただスクリーンに見入るのみ…

本気で揺さぶってくる真剣勝負の1本。

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映画「キャプテン・フィリップス」は、
人質にとられた恐怖と、果てなき不安の地獄を
観る者にも追体験させる
アメリカ政府の威信を賭けた人質救出作戦のドラマである。

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昨年の「アルゴ」でも克明に描かれた
海外でのCIAの人質救出作戦、

ここではオバマ大統領の勅命を受けたアメリカ海軍の
特殊部隊ネイビーシールズによる絶体絶命の救出劇が展開する。

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物語は
仕事柄、留守がちの夫と妻のゆるやかな会話から始まる。
もう若くはない夫婦、口数も少ないが
互いを想う気持ちのやりとりは、ある意味温和でもあり、
慣れ合いがある分、緩慢でもある。

ところが、これは嵐の前の静けさであった。

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それを一気にひっくり返す
ソマリア海岸線での海賊集団の異様な出航風景、
武装した若き漁師たちを乗せた小型ボートが、
獲物を求めて沖へと突き進んでいく。

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恰好の餌食とされたのが、救援用の貨物を積んだ
アメリカ船籍の非武装船マースク・アラバマ号。

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連中の狙いはお金、しかも億単位の大金。
それ以外は興味がない。

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人質を捕縛して、保険会社を巻き込んだ闇の取引へと
持ち込む悪辣な手法を用いて身代金によって大金をせしめる。

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単に横暴な海賊かと思いきや、こいつらがとにかく野蛮、
絶えず危険度MAXのテンションを振りまき続ける。
聞き分けのないスタンスは、凶暴種の奇獣まがいである。

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貨物船は持てる装備すべてを駆使した必死の抵抗の挙句、
ついにはたった4人の海賊に乗っ取られてしまうのだが、
ここから、一時も目の離せない攻防が始まる。

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この作品が見事なのは、
アメリカの一方的なノンフィクションの救出作戦に終結させず、
奪う側奪われる側の両面からの視点と論理を重んじたこと。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

人質とされたアメリカ人の船長と、海賊のリーダーとの会話の中に、
ソマリアが背負う暗黒の部分をチラッとにじませる。

リーダーが口にする

「アメリカだったらな」

という何でもないひと言は、深々と突き刺さってくる。

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それは魂を誰かに売った者が口にする冷ややかな一語であり、
何処にも届かない貧しく病める者からしか絞り出ることのない
切実な遠吠えでもある。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

ポール・グリーングラス監督は、
「ユナイテッド93」以来、中立視点から描く技を持つ人で、
ここでも天下国家の政治色を無駄ににじませたりしない。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

ジャッジメントは観る者に委ねて、ドキュメンタリーのスタイルで
ガンガン押し切って行く。
更に、マット・ディモンの「ボーン」シリーズ等で見せた
リアリティ豊かなアクションと、冷点の高いサスペンスタッチ、
そして複雑なカメラワークを駆使して緊迫感あふれる画作りを見せる。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

ともあれ、
トム・ハンクスの力感みなぎる沈痛な演技が
あまりにも繊細で、あまりにも素晴らしく、
地獄行の末に見せるその姿は、
止めようにも止められない涙を誘う。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

ひたすら感情移入して見守っていたこともあり、
僕も全く抑えることが出来ず感涙してしまった。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

そこへと導く高圧的な恐怖感を体現して見せた
ソマリア人を演じた素人に近い俳優たちの
鬼気迫る演技も同等に素晴らしい。


今年必見の1本として推奨したい。



★★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。

























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・北方を彷徨いながらも、
家庭の生活から抜け出すと、野放しの野犬状態。

当局が捕縛にでも来ない限り、野犬はあてどなく走りまわる。

要は、単にヒマを持て余すこともあるということですが、

いつもよりプライベートタイムの占有時間が増えるため、
飲み食い道楽や遊興に割く時間も比例して増える。

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ヒマは、ほぼ夜に偏るわけで、
野犬のようなおとなの休み時間は長いものとなる。
けがらわしいことです…ハロウィン

ンで、当然、
ヒマとなれば映画館へ通う回数も普段より増えます。
異郷の地で、夜の映画観へ入るのも新鮮な気分になれるもの。

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ま、そんなことより
こんな旅の合間に観た映画で最もおもしろかったのが本作。

三谷喜劇の更なる進化と成熟期を感じさせられました。


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●清須会議(2013・東宝)
監督・原作・脚本:三谷幸喜


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・いくら名の知れた武将が登場する時代劇とはいえ、
いくらすごい顔ぶれが名を連ねる
オールスターキャスト映画とはいえ、

フォーカスした題材が“会議”。
いわゆる、ややこしい会議…である。

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果たして
オッサンたちのミーティングの現場を見せておもしろいものか?

というのは素人の浅はかさであるとすぐに気付かされる。
あらためて、三谷幸喜という人の才気を思い知ることに。

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今回三谷監督がおもしろがって着目したのは
会議と言う名の武力闘争。
武器は、積み立ててきた知恵と根回し術、
会議の場での機転という3点セット。

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本能寺の変で、
首魁信長を失った織田ファミリーの跡目争いに集結した
日本史に名を残す首脳幹部らの、野心に満ちた駆け引きと、
欺瞞あふれる策略合戦の顚末をスリリングに見せる。

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細切れな笑いでセンテンスを作る三谷喜劇には違いないが、
いつものような即興でくっ付けた風な無駄なシーンやカットが無い。
観終えてみると、史実に基づく時代劇としても完成度が高く、
何しろ戦国武将たちの人物コラージュが圧巻。

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秀吉が天下統一を成す戦国絵巻末期の構図と理由を
サラリと見せるところも抜かりなし。

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キャストは、いつもの三谷組の布陣に
今、勢いのある面々を揃えた最強力モード、
見事なまでのアンサンブルを見せる。

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織田家最大の猛将として名を轟かせた
古参の武闘派柴田勝家に役所広司。

火急の大事の最中に色恋にうつつを抜かす
野卑で野暮で野生のオッサンという味付けがイイ。


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この旧世代代表に相対する革新派が
大泉洋扮する豊臣秀吉。

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軽佻浮薄な表向きとは違い、先を読み切る賢察眼と共に
優秀な営業マンのごとき緻密な方便を、
縦横に張り巡らす小技大技の連打は密度充分。


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会議のキーマンとなるのが小日向文世の丹羽長秀、

織田家の忠臣として信長からの信頼厚き古参の将である。
この会議を思惑通り、的確に、有利に、速やかに進めようと、
敵味方なく細やかな配慮を見せる切れ味鋭い人物。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

機に乗じて天下を大きく動かそうとする秀吉とは
対立する立場ながら、武将として生きてきた行く末には、
損得やら風向きやら少々思うところがあるという曲者。

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この目立たぬポジションに立つ人物の描き込み方が、
実は「清須会議」という物語の生命線でもある。

長秀が勝家と交わす最後の会話は、
年齢を重ねた三谷流作劇術の粋として興趣を添える。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

さて、
佐藤浩市をはじめ、
もっと触れたいキャストは多々あれど、
キリがないほどの豊作振りであるとだけ付け加えたい。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

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この贅沢な一編は、

成人男子なら、信頼ある演技者たちによって展開する
タクティクスゲームのからくりに心奪われ、
成人女子なら、
旬なアクターのもうひとつの美味しい使い方に
映画の優雅を感じられることと思われる。

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もうひとつ言えば、

安土桃山時代好きなら
興味の尽きない歴史の再検証に充足を感じる作品であり、
映画好きなら
今年のベストムービー上位に推したくなる作品だと思う。

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思えば
「十二人の怒れる男」を「12人の優しい日本人」として
焼き直してみせた人だけに、
お城の中とはいえ、“会議”どころか、
舞台風の空間限定スタイルは、三谷監督のお家芸でもある。

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ポスターで使われている主要キャストの個々のスチールは、
演劇パンフレットで、
メイクした出演俳優たちが並ぶグラビアページを思わせるし、

今回、三谷監督が試みたことは
小説作劇と舞台作劇と映画作劇の
三位一体のエンターティンメントの創造でもある。





★★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。






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ホラー洋画劇場Vol.23



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●TERROR TRAIN
(1980・カナダ)

監督:ロジャー・スポティスウッド 脚本:T・Y・ドレイク






はい、みなさんまたお会いしましたね

わたしは今、北国にいるのね、
何しとるのかって?

そうだな、いつものように
ボヤッとしてますな

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今、わたしがおりますのは、
まだ雪は降り積もっておりませんけれども

津軽海峡冬景色を青函で抜けまして、
♪は~るばるきたで函館なんですね、

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山を見ますと、
まだ紅葉が残ってるところもあるんですね

かと思いますと、
もうすっかり疲れきって冬枯れしとるところも
雪が白髪頭みたいにのっかっとるところもあるんですね

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雪のちらつき始めた冬の北国は、
列車で走りますと
いろんな顔を見せてくれますな、

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北国で雪化粧の風景を見ると
気持ちがし~んとしてきますね

雪には、そんな列車の旅が似合いますね

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雪の中を走る列車いいますと、
ちょっと怖い映画がありましたな。

はい今日の映画、「テラー・トレイン」いいますね

恐怖列車、恐怖列車、
さあどんな恐怖を乗せて走るんでしょうね?

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はい、この列車は夜行列車ですね

見かけは煙をモクモク吹きながら走る古い蒸気機関車、
ピ~ピ~警笛鳴らしながら走る骨董品ですね

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シュッーシュー蒸気も吐きだしておりますけれども、
中を見ますと、
あらまあ、
寝台もついとるし、カフェみたいなもんもある

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お座敷列車みたいに改造された
楽しい観光列車なんですね

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この列車をまるごと医大の学生さんたちが
貸し切りにして、パーティをやろうとしてるんですね

まあ、うらやましいね

いいとこの坊ちゃん嬢ちゃんが、
あんたのこと好きやぁ、いや嫌いやぁとか
べたべたしながら贅沢な小旅行としゃれこむんですね

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みんないろんな格好してますな
中には、誰やもわからんような
妙なお面つけとるのもおるんですね、

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何やらプロの魔術師みたいなのも乗っとるな、
いかにも楽しそうですな、

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わたしもあと3歳くらい若かったら
仲間に入れたかも知れませんな、アハハ~

そうね、そんな連中が、夜更かしして
お祭り騒ぎするお話しですね

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ところが…

びっくり、
とんでもないことが起こるんですね

観ておりますと、この列車、

人のおらん雪の積もった山の中を走っとる、
真っ暗闇のカナダの山の中を走っとるんですね

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そうですね、この映画は、

列車ごと密室になったミステリーやな、
何やら仕掛けがいっぱいありそうなホラーやな
いうことが
だんだんだんだんわかってくるんですね、

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さあ、何がこの恐怖を背負った列車の中で
起こるんでしょうね?

恐怖列車、テラートレイン、
テラートレイン、
いかにもおっかないことが起こりそうですね

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はい、くわしいことは申せませんけれども、
どうかあとは映画をご覧下さいね

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はい、監督はロジャー・スポティスウッド
「アンダー・ファイアー」
「007トゥー・ネバー・ダイ」の監督ですね、
サム・ペキンパーの映画で編集をやっとった人だから、
見せ方がうまいな


主演は
老優ベン・ジョンスン、

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この人、機関車みたいな顔しとるな
西部劇で名を売った古い俳優ですね
このベン・ジョンスンが、
貫禄のある列車の車掌になって出てきますな

そしてヒロインの女子大生が
ジェミー・リー・カーティス、

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ジェミー・リー・カーティス言いましたら、
当時ホラー映画で人気の出てきた女優さんですね
ちょっとクセのある顔立ちしてますけれども、
あのトニー・カーティスとジャネット・リーの娘さんですね

それから、

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「ダイ・ハード」「ヤング・ジェネレーション」の
ハート・ボックナー、
かっこつけた悪役でならした
ロイド・ボックナーの息子ですね

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これに世界に名だたたるマジシャン、
若い頃の
デヴィッド・カッパーフィールドも出てまいります
得意のマジックをいっぱい見せますよ

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そんな
ちょっと贅沢して見せるミステリーホラーですね

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はい、これはいっせんきゅうひゃく80年度の
カナダ映画です


この映画
最初から種も仕掛けもありますから、
騙されんように、
どうかじっくりご覧くださいね

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それではあとで、またお会いいたしましょ





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このお話しは、
ちょっとしたいたずらから始まるんですね

お医者さんの卵たちが、
みんなで、まじめな坊ちゃんをからかうんですね

それもちょっとびっくりするような
いやらしいいたずらですね

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いやなことしよるなあ、
何が始まるんやろう?思っていますと、

年月が経って、
このいやらしい学生も、まじめな学生も、
そろそろ卒業する時期になってきたんですね

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仮装した学生さんたちは、貸切の夜行列車で
卒業パーティをやろういうことで、
お面つけたり、イブニングドレス姿で
ゾロゾロ駅に集まってきた。

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なかなか列車に乗らずに、
ワイワイワイワイはしゃいでおりますね
まるで子供の遠足、
お祭り気分ですね、

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さあ出発するぞ、早う乗りなさい言うて、
車掌が尻叩いて、ようやっと
学生たちが乗り込んだ…

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これから始まるピクニック、
心が躍る瞬間ですね、

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ところが、そうしましたら、
びっくりしましたなぁ

いきなり、
とんでもないことが起こるんですね

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けれども、
そんなことだあれも気付きもせずに、
列車の車輪がゆっくり動き始めた、
ガターン、ガターン…

なんやなんや思うている間もなく、

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シュッシュー、
ピ~~~~~~~~
高らかな警笛鳴らして
ガターン、ガターン、ガターンと
列車はどんどん加速して
走りだしますな。

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ガタ~ン、ガタ~ン
この無関心な感覚、怖いですね

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いかにもホラータッチ、
いかにも怖い感覚、
この映画の始まりは、そんな
後に続く惨劇を予感させる始まり方ですね

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そして列車が走れば走るほど、
こいつが怪しい、あいつも怪しい、

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みんな誰も信じられんようになって
少しずつ犯人探しになっていくんですね


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古い古い列車を使った犯人探しのミステリーに
いかにも今風のホラーのタッチを放り込んだら、
おもしろいもんが出来ましたな


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はい、いかがでしたか?

車掌がトイレで
半魚人みたいなのに化けた奴が
真っ赤な血を流して死んでいるのを見つけますね

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相棒の機関士に、

俺はいやなもんを見たんや、
どうかお前も確認してくれへんか言うて、
トイレに連れて行きますね

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そして、相棒もおっかなびっくりで
トイレのドアをゆっくり開けた…!

そうしましたら、どうなっとったか?

半魚人の格好した男が、
フラフラと起き上がるんですね

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なんと半魚人が生き返った!
よう見ると
血も流れてなんかおりませんね

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そんな馬鹿な、
こいつはさっき死んどったはずやないか?

あらまあおかしいな?おかしいな??
何が起こったんやろう…?

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機関士たちが、
若い連中は酒と麻薬のやりすぎで、
おかしゅうなりよるからなあ言いますけれども
そんなことじゃ腑に落ちませんね

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何やらおかしな気分にさせる魔術みたいですな

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けれどもこの映画には、
もっと大きなトリックが仕掛けてありましたな

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「テラー・トレイン」は、
評判にもならんかった作品ですけれども、
そんなちょっと変わった、
騙し絵みたいな怪奇映画でしたね

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

はい、もう時間きました。


それでは次の作品、ご紹介いたしましょ


次回は、ロバート・アルドリッチ監督の
「何がジェーンに起こったか?」ですね
$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

怖い怖い怖い、怖いスリラーですね

どうぞ、たのしみにお待ち下さいね



はい、
次回もこの時間、またお会いいたしましょうね


$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★


それでは、
サイナラ、サイナラ、サイナラ







★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。
























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・「ひとりぼっちの青春」の
イベント仕掛人のインパクトが強すぎて、
他の役柄がかすんでしまうギグ・ヤングだが、

深刻なアル中として、
悲劇の末路をたどった人でもある。

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「ひとりぼっちの~」以上に目立った活躍はなかったが、

出演作で僕が思い当たるのは、
「必死の逃亡者」に出てくる、
脱獄囚に乗っ取られた中流家庭の娘のボーイフレンド役。

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この作品は、どんなジャンルでも一級作品に仕上げるという
技芸に秀でた名匠ウィリアム・ワイラー監督が、
「ローマの休日」の後に撮った絶好調時代の1本。

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大物ハンフリー・ボガートが、悪辣な脱獄囚を演じた
見応え十分なサスペンス編である。



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●The Desperate Hours(1955・アメリカ)
監督:ウィリアム・ワイラー
原作・脚本:ジョセフ・ヘイズ




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・ある日突然、平和な家庭に3人組の脱獄囚が現れ、
家族を軟禁して、暴力的な切迫した恐怖を与えて支配する。

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その後このシチュエーションは、あらゆる模倣を生み、
今や定番化しているサスペンスのスタンダードモデル。

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そんな事件の顛末を描くという、単純な状況設定の中で
ドスのきいたストーリーが展開する。

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家ごと乗っ取る凶悪犯のボスが、
大御所ハンフリー・ボガート、
ふてぶてしくて繊細、グレードの高いワルだ。


その弟が、

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拳銃を持ちたがる血気逸る若僧
デューイ・マーティン



もう一人が

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単細胞で凶暴な肥大漢のロバート・ミドルトン

こいつら、3人とも凶悪な連中で、タチが悪い。

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元より悪党のタチが悪けりゃ悪いほど、
ドラマというものは緊張感が張り詰める仕掛けなのだが、
このストーリーは、その部分が特に容赦なく書かれている。

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3人組は、ボスの情婦から逃避行の資金が届き次第、
あっさり出てゆくつもりでいるが、なかなか届かずに
イライラし始める。

それがまた緊張感を増幅する。

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既に家族の立場に立って展開を見守っているので、
このあたりのじれったいプロセスは、
ワイラー監督の演出お見事の一語に尽きる。

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凶悪犯3人に苦しめられる家族は…


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中間管理職の生真面目な会社員の父親が、
名優フレドリック・マーチ

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窮地に嘆く母親がマーサ・スコット、

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OLらしき年頃の娘がメアリー・マーフィー

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小学校に通う生意気な息子がリチャード・アイヤー

子供と女性ふたり。

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この手枷足枷の行き届き具合といい、
非力な家族の命を守ろうと、
可能な限り懸命に抵抗する父親の姿といい、

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観客のじれったさを増幅させる仕掛けが
縦横に張り巡らされている。


…更に、

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脱獄囚を追う保安官補が、アーサー・ケネディ、
足取りが分からず、この当局の牛歩の如き動きですら
じれったさを煽る。

そして、

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OL娘の恋人が先述のギグ・ヤング。
能天気そうな若者なのだが、この能天気さが
またまたじれったさに直結、

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といった具合に、サスペンスというものの
大仕掛け小仕掛けの設え方と真髄の
お手本みたいな作品である。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

主要人物に演技派の名優を配して、
密室劇の息苦しい恐怖と緊張を叩きつけてくる演出。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★


膠着状態に包まれた家の中が主な舞台だけに、
ややもすると、動きが少なくなりがちなのだが、

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

ワイラー監督は、以上のようなメリハリの効いた演出で、
家の内外を、フル活用して見せる。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

ドアや窓ひとつとっても計算されたサスペンスの
ツールとして効果を発揮する。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

どこまでも徹底したサスペンス劇の興奮を
大いに味わえる作品である。







★★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。



とまあ、
そんなわけで、

誠に勝手ながら、
パイルは繁忙期間に突入しておりまして、叫び

必死の逃亡者だか、瀕死の遠征者として
週末より北国へと仕事旅に出ます。走る人

つきましては、

またもや、暫しブログをサボらせていただきますが、

御諸兄姉の皆々様におかれましても、
寒波到来の時節ゆえ、風邪など召されませぬよう
どうぞご自愛くださいませ=♪

日々のご健勝をお祈りいたしております。m(_ _ )m



 いつになるやらですが
   またお会いしましょうね


$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★


    それでは、
       サイナラ、サイナラ、サイナラ














$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★





・「ピアニストを撃つな」という
エルトン・ジョンのアルバムもあったが、

“SHOOT=撃つ”するのは、
何も人間だけとは限らない。

好きなタイトルどころか、
タイトルで損している作品もある。


その代表とも言えるのが「ひとりぼっちの青春」。


$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

この邦題は作品の何をも言い当てていないミスタイトルで、
原題は“They Shoot Horses, Don't They?”
彼らは廃馬を撃つか?という、意味ありげなタイトル。

安っぽい感傷を匂わす邦題に騙されてはいけない。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

これは、
不況の嵐が吹きすさぶ1930年代のハリウッドで、
実際に行われていたマラソンダンスという
狂った賞金イベントに群がる人々の855時間を描く
シドニー・ポラック監督の初期の傑作。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

ひとつのアメリカンドリームの終焉とでも言うべき
息苦しい挫折のドラマである。

同時に、
アメリカンニューシネマ期の作品群の中にあって、
その暗澹とした展開ゆえか、
語られることの少ない1本でもある。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

そんな重苦しそうなドラマなど見ない方がましと思うなら、
それこそ早計と云うもので、

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

ストーリーの核となる“マラソンダンス”と名付けられた
フィジカルゲームが、画面いっぱいに展開する様は、
映画のスペクタクルそのもの。

観る者さえも息が詰まりそうなハードな興奮で、
圧倒する…




●They Shoot Horses, Don't They?(1969・アメリカ)
監督:シドニー・ポラック
原作:ホレス・マッコイ「彼らは廃馬を撃つか?」
脚本:ジェームズ・ポー ロバート・E・トンプソン


$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★




・主人公(マイケル・サラザン)は、
ハリウッドを夢みて西へ西へと流れ着いた
田舎から出て来た若者である。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

しかし、世は大恐慌絶頂のご時勢で、

ハリウッドはと言えば、
サイレントからトーキーへの過渡期、

ゲーリー・クーパーとマレーネ・ディートリッヒの「モロッコ」や、
チャップリンの「街の灯」が作られて、
ワイズミューラーのターザン映画が大ヒットしていた頃。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

それでも夢の都ハリウッドは華々しくきらめき、
アメリカの黄金郷として、その富裕な物腰を見せつけていた。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

…そんな時代である。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

ハリウッドは華麗なる夢と巨万の富をもたらしもするが、
最西端の夢留まる処でもあり、
あるいは夢果つる処でもある。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

深刻な失業難の中、マラソンダンスという
1500万ドルの賞金争奪戦の一大イベントが実施される。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

必死で参加権を得ようとする人々は、
既に食いつめた腹っぺらしばかり。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

マラソンダンスは、

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

2時間フルタイム踊り続け、10分のインターバルをとるという
単純なルールの下で、
食事は1日4回、軽食が3回、睡眠もインターバルですべて解消、
医師も24時間体制で完備されるという、実は過酷なゲームである。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

出場権への制約は男女2人のカップルであること、

そして彼らは最後の1組が残るまで踊り続ける…。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★



$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

押し寄せる若者群をフルイにかけて選別するのが、
冷酷非情な老練プロモーター・ロッキー(ギグ・ヤング)。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

田舎者の真面目な青年、マイケル・サラザン

彼と組むのが…

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マラソンダンスに人生を賭けているプライドの高い女
ジェーン・フォンダ

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女優志願のジメジメした欲望を見せる女
スザンナ・ヨーク

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年齢を偽って参加権を得る老水平、レッド・バトンズ

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

1日に7回も食事が出来ることを理由に
身重の妻を引っ張り出すブルース・ダーンと
ボニー・べデリアの夫婦

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膝をつこうものなら、飛んできて失格のホイッスルを吹く
非情なレフェリー、マイケル・コンラッド…

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

…こんな人々を中心に、
虚飾と欺瞞にあふれた群舞群踊による極限のゲームが
スタートする。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★


疲労から倒れるような失格者が出れば出るほど
野次馬も増える。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

観客が増えれば増えるほど、主催者は
参加者たちにショーアップのイベントを仕掛けて、
今にもぶっ倒れそうな者を更に振り落とす。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★


偽善のドラマを設えて、堂々と絵面を作る。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

プロモーター、ロッキーの言葉にもあるように、
人生のあらゆる姿がこのマラソンダンスの中で展開する。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

それは単に男と女、勝負の甘さ苦さを見せるだけではない。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

人はどんな時に負け犬になることを認めなければならないか、
そして朽ち果てるのか、

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

人はどんな時に苦しみから解放されることを望むのか、
そして何を選択するのか…

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

そんな瞬間の人間の姿が、まさに息切れしそうなくらい
生々しく汗ばんだ空間の中に書き抜かれている。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

虐待のイベンターにしか見えないプロモーターの
忌々しいくらいに人の欲望を煽りたてる口上と、
地獄のよどんだ空気をひっかき回す姿は強烈だ。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

その冷めきった血に引きずりまわされて、
絶望を叩きつけてくる熱狂と喘ぎは、
残酷をあっさり通り越して、嘆きへと変わり、

絶句と沈黙を残す。




$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★



★★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。





$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★
GIG YOUNG

・ギグ・ヤングは、この作品で
 アカデミー助演男優賞を獲得。
 対抗馬の、
 若手として台頭してきたジャック・ニコルソン、
 エリオット・グールドらを抑えての受賞。

 御大ジョン・ウェインが「勇気ある追跡」で
 初の主演男優賞を獲った年で、
 作品賞は「真夜中のカーボーイ」が受賞。

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★

 旧歩と急進が激しく入り乱れていた時代である。
 
 タカ派ウェインの受賞といい、
 若者を虐待して見せる旧世代の人物を演じての受賞は、
 アンチハリウッド時代の風潮に対する
 ひとつの抵抗の意味もあったかもしれない。