これで何度目になるだろうか。


夏に(この病院に)転院してきた時、余命は月単位だと宣告された。


冬どころか秋も迎えられるかわからない、

そう覚悟をしたのに、


気づけば窓の外は緑から赤、

赤から白へと変わり、

遂には机の上の暦まで変わってしまった。


コロナの影響で窓越しだった面会も

今では病室まで足を運ぶことができるようになり、


彼女が一生を終える前にできることをしようと、

手作りしたビーズのブレスレットは

今も彼女の左腕で控えめに輝いている。


周囲の誰もが予想だにしなかった彼女の生命力。

そんな強靭な生命力を持つ彼女だが

日に日に衰えていっているのは、誰が見ても明確だった。


それでも日々の中に喜びを添えれればと思い、

ハンドクリームを使ってハンドマッサージをしたり、

新たにたんぽぽ風の指輪を作ったりした。


指輪は小指用に作ったが、彼女の骨ばった指にはやや大きく、最終中指用になった。


マッサージを終えると他愛ない話をして、

帰り際に彼女と握手をする。


握手した彼女の指先からは先程塗ったジャスミンの香りが漂っていた。


その香りとともにエレベーターに乗り込み考える。


次来る時は帰り際に聞いたリクエストの品を完成させようと。


ー藤色の指輪ー