アスリートの方が自身の白血病を公表されました。それに伴い、世間は応援ムード、支援者も増えているという報道がされています。病気を克服して、また大舞台に戻ってきて欲しい。私ももちろんそれを願っています。
その反面、ちょっと待って!と思うこともあります。
この数日で骨髄バンク登録者が増えたという報道が気になります。昨日あるテレビ番組内でその方面の専門医の方も言っていました。
「患者さんやその家族をぬか喜びさせないように」と。
私も過去に「ぬか喜び」をした1人です。
私の母は13年前、血液のがんで闘病していました。血液のがんも比較的治りやすいものと治りにくいものがあるのですが、母の場合は後者でした。日単位と進行がとても早く、抗がん剤がほとんど効かず、早い段階で骨髄移植の必要性を言われていました。
母は4人姉弟だったので、HLA型を調べてもらいました。でも誰も一致しなかったので自家移植をいう方法を取りました。
移植では、放射線や強力な抗がん剤で造血機能をゼロにします。ゼロになったところへ造血幹細胞を移植するのですが、健康な他者からもらえなかった場合は、あらかじめ採取しておいた自分の造血幹細胞からがん細胞を取り除いたものを戻します。
ドナー探しに苦労しない反面、治療効果は他者からもらった場合より弱くなるし、がん細胞が取り除ききれていないかもしれないリスクもあります。
辛い辛い移植だったのに、母はたった2ヵ月再発が確認されました。
大急ぎでドナーを探すしかありませんでした。そして一致する方が10数人?当時の記憶なので曖昧ですが、結構な数の一致者が見つかりました。
そしてドナーコーディネイトは進んでいき、間もなく同種移植ができそうだというところまできました。おおよその日程も決まっていました。
母はこれで助かる、誰もがそう思いました。
それなのに、ドナー側の都合で2週間くらい前になって中止。ドナー側の都合と言われただけで理由は分かりません。
そしてその後すぐに母はこの世を去りました。
もちろん、こちらは提供を受ける側なので、何があっても文句は言えません。言うつもりもなかったです。でもとてもとても悔しかったです。
患者サイドは待つことしかできません。それでもドナーが見つからない可能性もある中、運良く見つかったという報告は希望の光です。その希望の光が途絶えるということは、患者の命の光も消える結果になるということです。
話を戻します。
今回のアスリートの病気の公表に影響されて、骨髄バンクにドナー登録した人は覚悟があっての行動でしょうか?
「ドナー登録は簡単にできます」という謳い文句にも大いに問題があると思いますが、実際の骨髄提供になったら簡単ではないですよ?
どこの誰かも分からない誰かのために、数ヵ月前から制限のある生活を送れますか?
提供時には1週間程度入院できますか?
仕事や学校は休めますか?
家を空けられますか?
骨髄採取は全身麻酔下で行われます。本当に本当に少ないですが事故も起こり得ます。
家族の同意や協力は得られますか?
私も以前は骨髄ドナー登録をしていました。ですが、コウキが生まれてすぐに解除しました(妊娠中など、報告をして一時的に外してもらう制度があります)。心苦しかったですが、無責任なことはできないと思いました。
どこかの誰かを「ぬか喜び」させることだけは絶対にしたくなかったので・・・。
勢い任せの無責任なドナー登録だけは絶対に避けてもらたいと思っています。