【「ほし×こえ」仙台に出演】 宮城出身の声優・佐藤拓也さんにインタビュー!! | COLORweb学生編集部

【「ほし×こえ」仙台に出演】 宮城出身の声優・佐藤拓也さんにインタビュー!!

みなさんこんにちは、ほのりんです。今回は宮城出身の声優・佐藤拓也さんへのインタビュー記事をお送りします。

 

昨年10月から全国5会場、7公演が開催された「ほし×こえ」。千秋楽となった仙台公演にて、「ほし×こえ」やお仕事への想い、宮城で過ごした学生時代についてうかがってきました。

佐藤拓也さんプロフィール(引用:賢プロダクション)

宮城県亘理郡山元町出身。賢プロダクション付属の声優養成所スクールデュオに7期生として入所。

代表作は「カードファイト!! ヴァンガード」(櫂トシキ)、「アイドリッシュセブン」(十龍之介)「テイルズオブアライズ」(アルフェン)など多数。

趣味は歌、陸上競技。

 

「ほし×こえ」について(「ほし×こえ」ホームページより引用)

声優・藤原啓治さんの企画・発案による「星」と「声」のコラボレーション朗読会。

星や宇宙をコンセプトに有名声優による朗読会を全国で開催している。

 

「次の一歩を踏み出すための勇気」。公演への想い

-初めに、地元である仙台公演への出演が決定した時の率直な心境をお聞かせください。

 

「ほし×こえ」は先輩声優の藤原啓治さんがお作りになられたコンテンツで、以前から存じ上げていました。前回の公演から参加させていただき2回目が仙台公演という事でお話をいただけたので、率直にうれしかったですね。

生まれ故郷で声のお仕事をさせていただくこともそうですが、それが自分がずっと関わりたかった「ほし×こえ」という朗読劇で、しかもパートナーが20年来の先輩でお付き合いのある代永翼さんという事もあって。そういう点からもお話をいただいた時から本当に楽しみで良い公演になるのではないかなと思っておりました。

 

-「ほし×こえ」への出演は2回目という事で、前回と今回の大きな違いはありましたか。

 

大きな違いとしては、やはり「シナリオ」ですね。前回は「スカイライター」というお話でしたが、そちらは藤原啓治さんのお声で星の解説が入っているものでした。今回の「フライト!」はそれがなく、僕と代永さん二人で世界を作っていくお話だったので、自転車に初めて一人で乗るみたいな、補助輪が外れたときのドキドキする気持ちと少し怖いような気持ちもありました。

ですが、今回のお話自体に「次の一歩を踏み出すための勇気」など僕自身の心持ちとリンクする部分が内包されておりましたので、自分にはなにができるだろうか、2回目としてどう作り上げていこうかと改めて考える機会になりましたね。

 

 

双方向の影響により成立するエンタメ

-普段の声のお仕事と朗読劇のように観客がいるお仕事は似ているようで異なる部分も多いと思いますが、朗読劇で意識していることや実際に感じる違いをお聞かせください。

 

普段僕らがやっている声優のお仕事は、我々が声を収録したものを皆さんがいろいろな媒体で見聞きしていただくもので、どうしても一方向に我々が送り出している意識が強いと思っております。ですが、今回のような朗読劇や舞台系のお仕事に関しては、演じている僕らとご覧になられている皆さんがいて初めて成立するエンタメだと思うんです。我々は声・言葉で物語や世界を構築していきますが、その僕らが朗読を通して送り届けたメッセージや情景などを聞いてくださってる皆さんと共有しつつも、やはりディテールはその人その人だけのもの。そういう部分ではお互いが影響しあってできるエンタメであると思っております。

 

-今回佐藤さんはスーツ姿で出演されていらっしゃいますが、そのような細部への心がけも朗読劇ならではなのでしょうか。

 

そうですね。朗読については自分たちが身振り手振りで演じる舞台演劇とは違って言葉や声でイメージを届ける割合が多いので細かい要素にも気を配っています。ですが、スーツ姿の僕=東田(※)というよりは、東田は「こういう人なのかもしれないな」という一つの手がかりやエッセンスぐらいに感じ取ってもらえたらなと思っています。多分それは僕以外の朗読に携わる皆さんもそうじゃないかな。

※東田…フライトで佐藤さんが演じられた医師の名前

 

-世界観を受け取ってもらうための一つの要素みたいなものでしょうか?

そうですね。ツールに過ぎないと思っております。

 

『ほし×こえ』と宮城

-宮城・仙台の人に向けて、「ほし×こえ」のどういうところをおすすめしたいですか。

 

プラネタリウムで行う朗読劇はどこか異世界に感じますよね。劇場やホールで行う朗読劇の良さもありますが、今回のようなプラネタリウムという閉鎖された空間かつ映し出される夜空・情景に包まれながら非日常を感じていただけるというのは、「ほし×こえ」の良さだと思っております。それと、「プラネタリウムに行く」って「映画を見に行こう、遊園地に行こう」というものとは違う特別感があると思うんです。なので、「ほし×こえ」に興味を持っていただいた事で自分たちの住んでいる所から見える星空や空の世界に想いを馳せる何かしらのきっかけになってくれたらいいなと思います。もっというと、我々が演じる声優というお仕事の一つとして朗読というものが楽しいものだと思ってもらえたらうれしいですね。

 

 

味もにおいも分からない声優へ憧れ

-声優を志してから養成所に通うまで、宮城で過ごされた学生時代についてお伺いしたいのですが、ご自身の夢について特に意識していたことはありましたか。

 

軽く見積もっても20年くらい前の話なので(笑)。一つ大きな違いとしては、今ほどインターネットが身近になかったことですね。そんな時代に地方をホームにしていた自分にとっては、どのように情報を収集し、選択していくかというものが常々ありました。情報が制限されている中でどう熱量を維持していけばいいのかということも感じていましたね。

 

-今は情報が溢れていて簡単に情報を入手できる社会となった反面、若者たちはその情報の中から本当に自分がなりたいものや必要な情報を選んでいくことが大変だと感じています。佐藤さんが声優になると決められたのはどういう心境だったのでしょうか。

 

当時は、それよりも面白いものがあるとは思っていなかったんですよ。経験したこともないのに声優という仕事が一番好きだったんです(笑)。いちアニメファン、映画ファンとして見たときに、味もにおいも分からない声優というものにただただ憧れを持って、面白いと思い込んで、そこに向かっていきました。それに必要なエネルギー、熱量、フットワークは大人になるにつれて経験則で自分を守ろうとして足腰が重くなってしまうと思うんです。でも若い頃はそれがなかった。だから向かっていけたんだと思います。

実際に先生にも止められました。「佐藤君の声は普通だし、特別な声の人じゃないとなれないから、やめた方がいいと思うよ」って。

 

-そんなに反対されたんですか。想像もできないです…!

 

本当なんですよ。先生にも止められましたし、同級生の親御さんにも心配されて。若かったこともあり、余計なお世話だって思っていましたね(笑)。

 

-周囲の反対を振り切って、声優の道に進んだんですね。

 

そうですね。周りからの声で辞めるという思考はありませんでした。やってみなきゃ分からないと思っていましたし、両親からは「30歳までに食えなかったら考えることにして一度やってみたらいい」と。両親からの後押しの言葉は大きかったかもしれませんね。上京してからは何よりも、先輩や事務所のスタッフなど周りの人達からのチャンスがあって、それが積み重なって今があるんだと思います。

 

熱量の維持は「“あの時”の自分を思い出すこと」

-先ほど「熱量」という言葉が出ましたが、熱量を維持していくという事は何事においても難しいと思います。私たちに身近な部分では「就活」において熱量を維持することが難しいという意見も聞くのですが、佐藤さんはどのようにして熱量を維持してこられたのでしょうか。

 

実際に声優になってみてからの話なんですが、僕らは基本オーディションなんです。アニメやゲーム、映画だったりいろんなものへの出演は大体オーディションで決まり、大体落ちるんです。若手の時から、「オーディションに受かるのは交通事故に当たるようなものだから」と言われていました。50,60,70歳になってもオーディションはありますから、就活している方の「何社も落ちてしまう」という話を聞くたびに「大丈夫。おじさんたち一生就活しているから」と思ったりしながら…(笑)。

ですが、そこで辞めないのは“自分はなぜこれをしているのか”を思い出しているからだと思います。「これをしたい」と思い始めた時の一番熱量の高い自分が支えてくれてくれるのだと思います。

 

-原点に戻ることも大事なんですね

 

そうですね。もちろんその人の人生なので辞めることも自由です。辞めるのも続けるのも自由なんですが、選択するのは自分だからこそ選択するときの尺度の一つとして、一番熱量の高かった自分を思い返してみてもいいのかなとは思います。

 

仙台という町の変わらない“におい”

-声優のお仕事の中でも宮城に帰って来る機会も多いと思うのですが、帰って来る度に行くお店や場所はありますでしょうか。

 

若い頃に行っていた店はどんどんなくなっているんですよね。今日もクリスロードを通ったんですが、知っているあのお店がもうない…という感じで。そういう寂しさはありますが、仙台という町が持っている空気感やにおいのようなものは変わらないので、仙台駅に降りた瞬間からちょっと慣れ親しんだ言葉に戻ってしまう、スイッチがオフになる、というのは故郷があることのありがたさや良さだと思っています。

 

-学生時代はどんな場所によく行かれていましたか。

 

多分今の若い子たちとそんなに変わらないと思います。ゲーセンに行ったり、カラオケしたり、ボーリングに行ったりしてましたね。あ…!プリクラもたくさん撮っていました。手帳に張ったり交換したりしていたのを思い出します。

 

-貴重なお話をありがとうございます…!最後に、仙台・宮城の若者にメッセージをお願いします。

 

好きだな、いいなと思った自分の気持ちを大事に育ててほしいと思います。自分の慕っている人、身近な人が次の一歩を踏み出そうとしているあなたを慮ったり心配したりして掛けた言葉に身を委ねずに一回やってみるのもありかと。大人になってから「チャンスがあったけどやらなかった。やっておけばよかったな」と思うよりも「若い時こういう夢があって頑張ってみたけど、今はこの仕事をしているんだ」の方が、踏み出した自分を後々肯定できると思うんです。

情報が多い、選択肢が多い時代だからこそ、自分の心に響いたその何かを大事にして挑戦してみることが重要なのではないでしょうか。そして、そういう頑張りをどこかで誰かが見てくれている、そういうものだと思います。

 

―インタビューは以上となります。ありがとうございました!

いかがでしたでしょうか。仙台への想いや学生時代の貴重なお話、お仕事について幅広くお話いただきました。インタビュー全体を通して佐藤さんのお仕事への強い想いが垣間見え、「もう少し頑張ってみよう」と思えるやさしいエールをもらえた、そんな気がします。

貴重なお話をありがとうございました!

 

 

佐藤拓也さんのXはこちらから

 https://x.com/5takuya5?s=21&t=lQtsNEFmBYwIFLmfOg3SNQ

 

「ほし×こえ」のXはこちらから

https://x.com/hoshikoe_staff?s=21&t=lQtsNEFmBYwIFLmfOg3SNQ

 

Interview:ほのりん、おすず

Photo:あやち

Write:ほのりん