肖像シリーズ デュバリー夫人編(3)
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これもドルーエによるもの。
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■ デュ・バリーさんのパーソナルデザイン
(なな) でゅばりーさんは、フェミニンでもある?
(まも) 排除することもないんだけど、
言行録からうかがわれる持ち味に、フェミニン要素を取り上げる理由がないの。
だから、単にロマンスタイプとして扱うことにします。
■ 実は人気者だったデュ・バリー夫人
(なな) でゅばりー夫人は、嫌われていたの
(まも) と言ったけれども、実は、そうでもない
(なな) どっち!
(まも) 彼女の属性は嫌われる要因になっても、彼女が嫌われていたわけじゃない。
(なな) ハア?
(まも) 人柄が良かったことは、割とよく伝えられているの。
(なな) へっ。じゃあ、嫌われ者のレッテルはどこから来ているの。
(まも) 例えば。彼女がお勤めをしていた時、よく男性に言い寄られた。
だから、その親御さんとか、パートナーには、嫌われた。
恋の鞘当がもとで、勤め先を幾つか首になっている。
(なな) モテるのも大変だ。でも男の人達との付き合いは、増えていくんだよね。
(まも) デュ・バリー子爵に出会って以降は、特に。
(なな) それで社交術を習えたんでしょ。
(まも) 上流社会で通用する社交術をものにできたのだから、頭の出来は良かった。
■ 頭がいい、悪い?
(まも) 夫人は、享楽にしか関心がないタイプだった、と言われているけれど。
(なな) 見下されてる感じ?
(まも) でも、貧しい私生児から、公妾に登りつめ、宮廷という魔窟でホステスを務めたのよ。
王の死後も、失脚せず、豊かな生活を維持できた。
すこぶるつきの頭がないと、絶対無理だって。
(なな) じゃあ、なんで、おばかさんみたいに、言われるの。
(まも) 3っつ。一つは、前主ポンパドゥール夫人との比較で。でもポンパドゥール夫人は政治家。
キャリアウーマンと主婦を比べるみたいなもので、ナンセンスよ。
(なな) もう一つは?
(まも) どんなに頭を使っていても、頭脳派とか、優等生に見える外見じゃない。
(なな) もう一つは?
(まも) その見かけを、貴族社会で生き延びるために、利用したから。
■ ロマンスの生き残り戦略1
(まも) ①平民の②私生児で、③数多の男性遍歴を持つ娘が、国王の傍らに居座り始めたら。
宮廷人の反発は必至。国王は、老い先短い。娘の出方はどうすべき?
(なな) 大変そう。
(まも) 公妾というカードには、莫大な富と権力、熾烈な政治的闘争がつきもの。
対抗馬は常にいる。時には死人だって出るし、実際、形式上の夫は変死している。
公妾の座争奪戦は、薄氷を踏む思いでなされたことでしょう。
(なな) きびしー
(まも) 肝は、王の心をがっちりとつかむこと。
60歳手前のルイ15世には、リクツも道理も無意味。女性を選ぶにあたって、
生れも育ちも意に介さなかった。ある意味、パーフェクトにフェアな審判。
(なな) 勝ったんだ。
(まも) 王の心を射止めて。
(なな) それだけ?
(まも) 一夜妻ではなく、公妾になった。
(なな) お妾さんでしょ。そんなに立場強い?
(まも) 強い。事実上、王と同等か、ときにはそれ以上。
力の由来は王権にあるけれど、王の心を支配できれば実際無敵だもの。
(なな) へえええ?
(まも) この時代、王あってこそのフランスという感覚が支配的。
王への忠義以上の価値は、存在しない。
そして、<公妾>制度は、一般道徳より王の意志が優位することの証。
挙式後は、並みの宮廷人なら、素直に彼女にかしずいたはずよ。
(なな) ちゅー、ぎ。かあ。
(まも) 王妃は前年に死亡している。マリ=ジャンヌは、事実上のベルサイユの女主となった。
(なな) 公妾って、そんなに偉いんだ
(まも) 偉い。挙式するし、事実婚の妻と考えた方が実際に近い。
それも、政略ではなく、愛による結びつきだから、また別格の強みがある。
その意味で、フランス王の公妾とは、ヨーロッパ全女性中の最高位といってもいい。
■ ロマンスの生き残り戦略2
(まも) 王侯貴族の中にあって、軽蔑される属性を帯び、孤立した存在でいながら、
デュ・バリー夫人は、にこやかに、感じよく振舞ることができた。
彼女の出自で、態度が卑屈にならず、傲慢にもならないでいられるのは、凄い精神力だわ。
(なな) 卑屈だとバカにされそうだし、強く出たら、後でいじめかえされそう。
(まも) そう。小細工は通じない。彼女は、自分の持ち味で、勝負した。
権力を持つ男が本能的に求めるおおらかな官能性を、恥じずに魅力として、
時代のファッションにマッチする顔と体を活かして、宮廷生活になじんだ。
話術も巧みで、社交に強い。そもそも人好きのする人なのね。
美的感覚が鋭く、芸術を見る目があり、パトロン活動も上々の出来栄え。
享楽的性質は、孤独を生き抜く術であり、宮廷を盛り立てるために必須の性質だった。
どこまでもソフトに甘やかに、ほがらかに。陰口も非難も、馬耳東風ケセラセラ。
(なな) 持ち味が活かせる場ではあったんだね、ベルサイユは。
■ 神様が邪魔をする
(なな) じゃあ、ロマンスタイプが魅力を発揮するのに妨げは何もなかったんだね。
(まも) そんなことない。何といっても、最大の敵は、神。汝姦淫するなかれ。
(なな) 神様に嫌われていたのか。
(まも) 神に背いて笑っていられる女性だけに、女性の最高位である公妾が務まる。
キリスト教世界、最強の女性だわ。神経が図太い。
(なな) 地母神の神経か。
■ 次回予告 挨拶バトル
(なな) 見かけによらず、強い人だったんだね、でゅばりー夫人は。
(まも) 並みの女性なら、神経が参っているわね、神罰を恐れるあまり。
彼女は、自分に不都合なルールをスルーして、自分の持ち味をとことん活かした。
市井の道徳を逃れ、紳士たちを籠絡し、神の視線もかわして、栄達を遂げた彼女に、
手強い敵が現れます。
(なな) どうなるの?
(まも) 亭主の娘達・孫嫁とバトルする。
(なな) ああ、嫌われやすい間柄かも。
(まも) そうねえ。基本、戦わずして勝つ人なんだけれど、これはガチになっちゃった。
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(まも) 排除することもないんだけど、
言行録からうかがわれる持ち味に、フェミニン要素を取り上げる理由がないの。
だから、単にロマンスタイプとして扱うことにします。
■ 実は人気者だったデュ・バリー夫人
(なな) でゅばりー夫人は、嫌われていたの
(まも) と言ったけれども、実は、そうでもない
(なな) どっち!
(まも) 彼女の属性は嫌われる要因になっても、彼女が嫌われていたわけじゃない。
(なな) ハア?
(まも) 人柄が良かったことは、割とよく伝えられているの。
(なな) へっ。じゃあ、嫌われ者のレッテルはどこから来ているの。
(まも) 例えば。彼女がお勤めをしていた時、よく男性に言い寄られた。
だから、その親御さんとか、パートナーには、嫌われた。
恋の鞘当がもとで、勤め先を幾つか首になっている。
(なな) モテるのも大変だ。でも男の人達との付き合いは、増えていくんだよね。
(まも) デュ・バリー子爵に出会って以降は、特に。
(なな) それで社交術を習えたんでしょ。
(まも) 上流社会で通用する社交術をものにできたのだから、頭の出来は良かった。
■ 頭がいい、悪い?
(まも) 夫人は、享楽にしか関心がないタイプだった、と言われているけれど。
(なな) 見下されてる感じ?
(まも) でも、貧しい私生児から、公妾に登りつめ、宮廷という魔窟でホステスを務めたのよ。
王の死後も、失脚せず、豊かな生活を維持できた。
すこぶるつきの頭がないと、絶対無理だって。
(なな) じゃあ、なんで、おばかさんみたいに、言われるの。
(まも) 3っつ。一つは、前主ポンパドゥール夫人との比較で。でもポンパドゥール夫人は政治家。
キャリアウーマンと主婦を比べるみたいなもので、ナンセンスよ。
(なな) もう一つは?
(まも) どんなに頭を使っていても、頭脳派とか、優等生に見える外見じゃない。
(なな) もう一つは?
(まも) その見かけを、貴族社会で生き延びるために、利用したから。
■ ロマンスの生き残り戦略1
(まも) ①平民の②私生児で、③数多の男性遍歴を持つ娘が、国王の傍らに居座り始めたら。
宮廷人の反発は必至。国王は、老い先短い。娘の出方はどうすべき?
(なな) 大変そう。
(まも) 公妾というカードには、莫大な富と権力、熾烈な政治的闘争がつきもの。
対抗馬は常にいる。時には死人だって出るし、実際、形式上の夫は変死している。
公妾の座争奪戦は、薄氷を踏む思いでなされたことでしょう。
(なな) きびしー
(まも) 肝は、王の心をがっちりとつかむこと。
60歳手前のルイ15世には、リクツも道理も無意味。女性を選ぶにあたって、
生れも育ちも意に介さなかった。ある意味、パーフェクトにフェアな審判。
(なな) 勝ったんだ。
(まも) 王の心を射止めて。
(なな) それだけ?
(まも) 一夜妻ではなく、公妾になった。
(なな) お妾さんでしょ。そんなに立場強い?
(まも) 強い。事実上、王と同等か、ときにはそれ以上。
力の由来は王権にあるけれど、王の心を支配できれば実際無敵だもの。
(なな) へえええ?
(まも) この時代、王あってこそのフランスという感覚が支配的。
王への忠義以上の価値は、存在しない。
そして、<公妾>制度は、一般道徳より王の意志が優位することの証。
挙式後は、並みの宮廷人なら、素直に彼女にかしずいたはずよ。
(なな) ちゅー、ぎ。かあ。
(まも) 王妃は前年に死亡している。マリ=ジャンヌは、事実上のベルサイユの女主となった。
(なな) 公妾って、そんなに偉いんだ
(まも) 偉い。挙式するし、事実婚の妻と考えた方が実際に近い。
それも、政略ではなく、愛による結びつきだから、また別格の強みがある。
その意味で、フランス王の公妾とは、ヨーロッパ全女性中の最高位といってもいい。
■ ロマンスの生き残り戦略2
(まも) 王侯貴族の中にあって、軽蔑される属性を帯び、孤立した存在でいながら、
デュ・バリー夫人は、にこやかに、感じよく振舞ることができた。
彼女の出自で、態度が卑屈にならず、傲慢にもならないでいられるのは、凄い精神力だわ。
(なな) 卑屈だとバカにされそうだし、強く出たら、後でいじめかえされそう。
(まも) そう。小細工は通じない。彼女は、自分の持ち味で、勝負した。
権力を持つ男が本能的に求めるおおらかな官能性を、恥じずに魅力として、
時代のファッションにマッチする顔と体を活かして、宮廷生活になじんだ。
話術も巧みで、社交に強い。そもそも人好きのする人なのね。
美的感覚が鋭く、芸術を見る目があり、パトロン活動も上々の出来栄え。
享楽的性質は、孤独を生き抜く術であり、宮廷を盛り立てるために必須の性質だった。
どこまでもソフトに甘やかに、ほがらかに。陰口も非難も、馬耳東風ケセラセラ。
(なな) 持ち味が活かせる場ではあったんだね、ベルサイユは。
■ 神様が邪魔をする
(なな) じゃあ、ロマンスタイプが魅力を発揮するのに妨げは何もなかったんだね。
(まも) そんなことない。何といっても、最大の敵は、神。汝姦淫するなかれ。
(なな) 神様に嫌われていたのか。
(まも) 神に背いて笑っていられる女性だけに、女性の最高位である公妾が務まる。
キリスト教世界、最強の女性だわ。神経が図太い。
(なな) 地母神の神経か。
■ 次回予告 挨拶バトル
(なな) 見かけによらず、強い人だったんだね、でゅばりー夫人は。
(まも) 並みの女性なら、神経が参っているわね、神罰を恐れるあまり。
彼女は、自分に不都合なルールをスルーして、自分の持ち味をとことん活かした。
市井の道徳を逃れ、紳士たちを籠絡し、神の視線もかわして、栄達を遂げた彼女に、
手強い敵が現れます。
(なな) どうなるの?
(まも) 亭主の娘達・孫嫁とバトルする。
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