読者の皆様、こんにちは!
前回に続いて、COLORS MATSUYAMA 船舶グループが、なかなかディープな話題を語っていきます。しばしお付き合いください・・。
「ペンドック」とは??
前回お話した、船底塗料。船底部分に海洋生物の付着を防ぐ目的で船底部に塗装するのですが、性質として、汚れを防ぐ成分(亜酸化銅)が少しずつ、海水に溶け出す事により効果を発揮しています。ということは・・・
船底塗料というものは徐々に「溶けてなくなってしまう」のです。なので定期的な「塗り替え」「塗り増し」がどうしても必要。そのためだけの「ドック(陸揚げすること)」を通称「ペンドック」と言います。
一連の過程を動画にまとめてみました。ご覧下さい!
どうでしたか?
なかなか興味深いですね。
上架~洗浄~塗装~下架という流れですが、最短だと3日間の日程。この動画作成にご協力頂いた船の場合、上架~洗浄後の次の日、雨天だったので作業できず、合計4日間で終了という流れでした。
さて、ここからはもう少し詳しく・・・
船底塗料。海洋生物の付着汚れから船底部を守る役割なのですが、では
「なぜ汚れるのか??」
今回の動画の場合に沿う形で解説してみます。
上の2枚の画像。
植物性の付着物がついています。植物性のものは固形物ではないので、動物性のフジツボなどより水の抵抗は受けにくいのですが、やはり付かない方が望ましい・・。
動画でも素手でこの汚れを掻きとる様子を撮りましたが、この青ノリの下は船体部そのものが露出していました。
洗浄終了後の画像・・・
赤い船底塗料の膜が溶けてなくなったり、海水の抵抗で剥がれてしまったりで、白い船体そのものが露出している部分があちこち見受けられます。そう・・船底塗料の膜(塗膜)が無くなっているわけですので、その部分に防汚効果がない。
今回の付着汚れの原因はこれだ!と思われます。
参考画像として、本当のふなぞこ部分。
多少の塗料膜の剥がれはあるものの、ほぼ赤い膜が残っていました。なのでこの部分には付着物はほとんどありませんでした・・・。船側とふなぞこ。この部位の差でも結構、条件が変わってきます。青ノリで汚損した船側部分は、塗料膜が無くなっていることに加えて、日光に晒される時間帯がある。植物性の付着物にとっては「光合成」が必要なのを考えると、船側部分は彼らにとって好都合。それで繁殖。一方、ふなぞこには日光が届きにくいので、繁殖には至らない。
色々考えると面白いでしょ?いろんな要因があるものです。
どんなに高性能の船底塗料を塗っても、様々な要素でこのような付着物汚れが起きてしまいます。
では、どう対処するのか???
ここからは、船主さんとの打ち合わせ次第です。塗料を塗る量が足りない。もっと塗料膜の厚みを増やせば汚れない。これが一番簡単な答えなのですが、操業~ドックのスパンを考えて「この程度なら問題ない」と判断されれば、前回同様の量で塗装。あまり塗料膜が厚く残っているより、溶けてなくなって汚れ始めるのがドック前・・くらいが丁度いいと考える船主さんもおられます(今回はそのパターンです)
この船は20kg×3缶という量ですが、同じ規模の船でも4缶塗ってくれ!という船もありますので、ご希望に沿う形でご提供しております。
いかがでしたでしょうか?
ご自身所有の船、ボートなど、「どうしてこんなに汚れるのか??」っと思っておられる方に一例として参考になれば幸いです。どんな船底塗料でも「塗る量」を再考してみると、割合早い解決ができるかも?です。
長々お付き合い、ありがとうございました。
そうそう!次回はささやかながら、プレゼント企画?を考えております。絶賛準備中です!!
それではまた!!
COLORS MATSUYAMA 船舶グループでした(^^)