2012年に受講した、こちらの続きです。

 

【色彩認定講師への道(10)】
http://ameblo.jp/coloroza/entry-12289825290.html

 

色彩検定協会(旧A・F・T)主催である、

 

●色彩講師養成講座の第8回(全12回)

 

の講師は、竹綱章浩(たけつなあきひろ)先生で、現在は「きづきデザインラボ」代表の方でした。

 

この回で学ぶことは「プロダクトデザインと色彩」で、個人発表は「身近なプロダクト(商品)色彩についてリサーチ」でした。

 

では、ご参考までに、その原稿全文を掲載いたします。

 

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「日産マーチのカラー考察」

 

【カラーバリエーションとユーザーターゲット】
私は日産のマーチを題材にプロダクトカラーを考察しました。幸いにも、日産の(2012年7月当時)カラーデザイン部のトップである牧野部長にも、お話を伺うことが出来ましたので、その取材内容も盛り込んでお話を進めていきます。

 

今からちょうど30年前にデビューした日産のマーチですが、一昨年の今頃、フルモデルチェンジを行って、現在は4代目となります。

 

マーチは先代まで日本とヨーロッパのみで販売していましたが、新型のマーチは世界的に売り出す車として「アクティヴ」「エコノミー」「エコロジー」をコンセプトに開発されました。日本でのメインターゲットユーザーは、従来どおり20代後半の女性ですが、あまりフェミニン、つまり女性的なパレットにならないように配慮し、世界160ヶ国の先進国・新興国すべてのお客さんに親しまれる色を目指しました。そのために、まず環境に優しい「自然の色彩」に着目して「日本の季節の移り変わり」を全9色で表現しました。そのカラーバリエーションは、

 

●サンライトオレンジ(日光)
●ナイトベールパープル(夜のとばり)
●クリスタルライラック(花)
●スプリンググリーン(春の新芽)
●バーニングレッド(燃えさかる炎)
●パシフィックブルー(海)
●ホワイトパール(定番色)
●ブリリアントシルバー(定番色)
●ピュアブラック(定番色)

 

このうち人気の高いベスト3として、トップが「サンライトオレンジ」、続いて「ナイトベールパープル」、そして3位が「クリスタルライラック」という統計結果が出ています。中でもトップの「オレンジ」系は、コミュニケーションカラーの代表色であるおかげか、先代に引き続いて根強い人気です。

 

そして残念ながら、ベスト3にはランキングされていませんが、全9色の中で特に力を入れて開発したのが「春の新芽」を思い出させる、この「スプリンググリーン」だそうです。弾けるようにみずみずしい色相と質感で、物語の始まりや生き生きとした成長を予感させたいという思いが込められたそうです。そしてこの「スプリンググリーン」は、毎年優れたカラーデザインの車を顕彰する制度である「オートカラーアウォード」で、「ファッションカラー賞」を受賞しています。

 

【ブランド戦略(カラービジネス戦略)】
日産が色をつくる大原則は、日産のブランドイメージを上げていくことだそうで、その中でどのように車の個性を主張していくかということ、そのためにはまず「絶対に他社の色はまねしない」という鉄則を持っているそうです。メッセージがきちんとある、オリジナリティの高い色を開発することが重要で、マーケットからいろんな情報を集めても、それはあくまでも参考にする程度だそうです。

 

マーチの場合はお客さんが実際に自分の目で見て判断できるために、販売店にミニチュアのモデルを置いて、色を実感できるようにしました。また食材を使ったイメージパネルなども使ったり、それぞれの色について、どういうシーンで、どういう人が乗っているかというのを伝えていくようなテレビコマーシャルを流したりしました。また発表時には、日産の本社ギャラリーで「マーチのあるライフスタイル展」を開催しました。それぞれの色ごとにテーマを設定して、家具や小物を置いて、ユーザーターゲットの仮想の生活空間を創って展示しました。

 

【他社のライバル車との比較】
日産のマーチのライバル車としては、全11色のマツダのデミオ、全13色のホンダのフィット、そしてトヨタに至っては、マーチの倍にあたる全17色のヴィッツが挙げられます。他の3車にはコミュニケーションカラーの代表色である「オレンジ」系はあるでしょうか。フィットの「サンセットオレンジ」、ヴィッツの「オレンジマイカメタリック」、でもデミオにはないみたいですね。

 

マーチ自体も先代は全12色あったのですが、現在はタイで生産して、日本へ逆輸入するため、色が多過ぎると在庫管理の効率が落ちるので、まずは全9色に抑えているとのことです。日産の(2012年7月当時)牧野部長のお話によれば、今年来年と、絶え間なく新色を投入していきますので、まだまだ楽しみにしていてくださいとのことでした。

 

(以上、計5:00)

 

【質疑応答】
(1)メーカーが勧める色と、ユーザーが選ぶ色はずれるのか?…ずれる場合も多々ある。
(2)ターゲットの年齢層は?…20代女性だが、30代女性でも十分可。
(3)先代のフォルムから変更した理由は?…先代のフォルムの期間が8年を超えたため。
(4)汚れが目立つ色は?…ホワイトとブラック。汚れが目立たないのはシルバー。
(5)安全性は?…他社と比べて横並びだが、今後は「アイサイト」で差が付くと思われる。

 

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「プロダクトデザインと色彩」において、おさえておきたい以下のポイントは、竹綱先生からご説明がありましたが、具体的かつ重要な内容につきましては、このブログでネタバレはしませんので、

 

実際に受講するまで、楽しみにしていてくださいネ~(笑)

 

●白の意義
●福田平八郎氏曰く「何を強く感じるのか?」
●光源の当たり具合で変わる色彩
●祭の伝統的な配色
●消しゴム「カドケシスティック」
●顧客視点、独創性、創造性、社会性
●地下鉄の案内記号
●2012年はオレンジが旬
●調理器具の赤いヘルシオ
●外装色が緑であるペンテルのサインペン
●WILLシリーズ
●子供用ラジオ
●阪急電車(公共交通)
●地域性
●ピンクの公衆電話
●工具(七つ道具はブランド化)
●ファイル
●カッターナイフ
●スティックのり
●事務用品
●レーザーポインター
●コピー機のリセットボタン
●パブリックデザイン
●顧客との接点
●プロダクトデザインにおけるカラーの役割
●現場におけるデザイン思考

 

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さぁ次回も、いかにもカラーデザインらしい宿題の発表になります!生活が乱れ、家事も出来なくなる程ヘヴィでしたが、それくらいの覚悟が無いと太刀打ちできず、そもそも無理だということです!(力)

(つづく…)

 


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