自分で言えない人がいる

自分で泣けない人がいる


気付いてないから

自分が悲しんでることに

苦しんでることに


どうしたらこの人は苦しいと悲しいと

言うのだろう

立ち止まって

助けを求めるのだろう


小さな肩が震えるのを

少し離れて

振り向く時がいつ来るのだろうと

後ろで待ってるだけの時間も

存外悪くないと

頬杖ついてる自分が

楽しかったりする


見守ってるから

いつでも受け止めるから

弱音吐いてもいいんだよ

少しだけ捨てた

少しだけ広くなった

少しだけ寒くなった

少しだけ、淋しくなった


ひとつぬいぐるみを買った


少しだけ、あたたかくなった

座り込んで前を眺めた


遠く小さく走り去っていく背中


まだ大声を上げれば間に合ったかもしれない


それでも消え去って見えなくなるまで


この口は開くことをしなかった


手の中に残った手紙


いつか風化して塵と化すまで


きっとこの足は立ち上がることをしないのだろう


バイバイ またね


それをさみしいと思うのは
わがままだろう

行かないで
伸ばしかけた手を握り込んで
唇を噛み締めて


いつでも帰ってきてね


そう 背中に笑いかけたのは
ぼくだから

いつまでも
待つよ

どこが好きになったのか
なんて聞かれても
ここが好きなんだ
なんて答えられたら
悩んだりなんかしていない
気が付けば君の声が
手が 目が 髪が 姿が
心臓を貫くような鋭い痛みを以てして
僕の中に 浸透するから
好きなんてただの後付けでしかない
僕にとって僕の一部の君だから
好きなんて特別なんてものじゃない
自然なんだ
そばにいることが
ただそれだけ

振り向いたキミは笑ってた
手も繋がずに
自由自由と軽やかに
広がるスカートの裾も気に留めずに

立ち止まったボクは歪んでた
足を止めたくて
孤独孤独と甘やかに
喧噪の中のキミ一人だけ

追い掛けて
振りかぶって
手を 差し伸べて
大地を蹴り飛んで
あぁ飛び込む水底
差し込む光にざわめく こころ

ただ目の前の事に夢中で
キミの望む未来なんて知らなくて
そんな明日なんてボクは知らなくて
ただようやく届いたこの手が
離れてしまえば終わるんだと
それだけが今ボクに解るから

散りばめられた真珠のきらめきに
キミは歪んだ笑顔で一言
「どうかしてるよ」

たん たん たん


たん たん たん


たんたんと 坦々と

生きる。

毎日の、ありがたみ。


いつも通りの温かみ。

いつも通りの幸せ。


たん、と踏み出した一歩。


生きてる。

どこでもない

どこにもない

存在理由と存在否定


今日ではない

明日にない

証明手段と証明理論



いつだって

いらだって

僕らは 昨日を踏みにじる

誰にも許可なんてもらってないのに


何故?何故?


拾い上げて捨てろよ

黒くこびりついた歪な足跡

ここから 始める 今


証明

昨日 カーテンの隙間から見えた真っ白い月は

泣いているように見えた と誰かが言っていました

泣いていますなんて月が言ったかしら と

問えばその誰かは押し黙った後に ぽつり、と

泣きたかったのは自分だった と俯きました


誤魔化さなくていいのに

素直に泣いていいのに


自分じゃない何かに泣いてほしい人が

星よりも たくさん

たくさんいすぎて 月だけでは到底間に合わないのです