6年くらい前かな?
個展にご来場くださった方から
「この時代に油絵を描いているのはどうしてですか?」と
聞かれたんです。
私にとって、油絵って、
ただただ当たり前でしかなかったから、
質問の意味がわからなくてキョトンとしちゃいました。
そうか、油絵って、古典技法なのか…
時代が変わったんだな…
そんなことを思いつつ
「油彩画の透明感や発色や質感がとても美しいから…
だから、油絵が大好きなんです。」
そんなようなことを答えました。
(写真の方と質問者は別の方です)
(写真の母子は絵のモデルさん右はわたし)
あれから、わずか数年で
みるみる時代は進化して
画像生成AIが美しいアートを作り出すようになりました。
「暖かくてキラキラしたイメージの、ピンクの抽象画を描いて。」
とオーダーすれば、比の打ちどころのない美しいアートをAIが作ってくれる。
数十秒で、何パターンも。
完璧です。AIの絵は。
正直、もう、衝撃でした。。。。
画家は「何のために描いているのか」と突きつけられた。
(かつて、写真が登場した時も
画家たちはこんな風に衝撃を受けたのかな…。)
何のために、何のために…
私は一つだけ答えを持っています。
完璧じゃないから美しい。
画家が手を動かして描いた絵は
どこかに、必ず、隙がある。
人の手が生み出したものは
もちろんそれだけで隙は生じるものだし…
「あと少し描き込みたい」と思う時に、筆を置く。
そうして意図的に隙をつくってきました。
手仕事を感じさせる美しさは、見る人に訴える。
完璧じゃないから、美しい。
稚拙な答えかもしれない。
肉筆画は淘汰させていくのかもしれない。
わからないし、迷う。
迷いながらも、泥臭く、描き続けます。
光田色李(こうだいろり)
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