「千利休はなぜ青い袱紗と足袋を好んだのか」
友禅などに使われる伝統色のなかには、緑がかった茶色を「利休茶」緑がかったグレーを「利休鼠(ねずみ)」と呼ぶなど、茶道を大成させた千利休にちなんだ、わが国独特の色使いがあります。
といっても、利休が使いはじめたり好んだりした色ではなく、抹茶の緑にちなんで後世の人が名付けたようです。
速水宗達(1740~1809)の「喫茶明月集」に「宗旦ハ八十一に及て、紺の足袋をはきたり。利休ハ浅黄の足袋をはきたり。」と記されています。
*写真は、浅葱(浅黄・あさぎ)色の袱紗です。
青系統のやや緑みのある青色のことです。
利休は茶室のなかで、青い足袋を愛用したのはなぜでしょうか。
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私たちは網膜の視細胞で色を感じていますが、明るいところでは赤が鮮やかに見え、青は黒ずんで見えます。
ところが暗いところでは青が鮮やかに見えるのに対して、赤は黒ずんで見えるのです。
これは、旧チェコスロバキアの生理学者・プルキニエが発見した人間の目の働きで、「プルキニエ現象」と呼ばれています。
つまり、薄暗い茶室のなかでは、青い足袋が鮮やかに浮かび上がって見えるのです。
きっと利休はこのことに気付いていたのでしょう。
袱紗(ふくさ)については定かではありませんが、私の推測では浅葱(浅黄)色の袱紗を使いお茶をたてたと思うのです。
私たちもこうした現象をどんどん応用すべきだと思います。
例えば、照明を落とした会場でのパーティーなどに出席するのであれば、赤や白のドレスよりも、ブルーのドレスのほうが際立って映え、印象に残るはずです。
(参考文献「新版 茶道の心理学」安西二郎著 淡交社)
次回は「食べ物の色は栄養素と関係する」です
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