サングラスのフーテン | ブログ

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最近は夏目漱石のことを書くことが多いな。ほかのことも書いていますが。

 

 

 昨日の「アド街ック天国」では国分寺が特集されていた。その中で村上春樹さんのピーター・キャットが紹介され、新宿のフーテンが移り住んだ街として紹介されていた。

 

 そう、なんとなく忘れられかけているが、中央線沿線にはフーテンやヒッピーや革命家さんが住み着いた。府中市で起きた三億円事件にもそのあたりのことが関係しているという噂もある。

 

 フーテンやヒッピーも想像上の生き物になりつつある。一番いけないのは「フーテンの寅さん」という映画の所為で、的屋や行商人が町工場の行員と比べて不安定な職業であり、だからフーテンなのだという「意味」が生まれてしまったことだ。

 

 フーテンとは六十年代後半、長髪、サングラス、髭、ベルボトムのジーンズで新宿駅東口辺りにたむろしていた若者たちで、シンナー、ドラッグ、フリー・セックスを愉しんでいた。

 

 ベルボトムのジーンズは「ラッパズボン」とも呼ばれていて、学生服にまで「ラッパズボン」が流行った。サングラスはティアドロップ型が流行った。

 

 数年前(丁度普通のお嬢さんやお姉さんがローライズのジーンズでしゃがみ込み、半ケツになり、Tバックを見せびらかしていた頃)、村上春樹さんがティアドロップのサングラスをかけてソファーに深くもたれている写真が週刊誌に掲載された。大麻パーティーの様子だということだった。その事実関係はともかく、村上春樹さんはそういう時代のそういう文化に強烈な影響を受けていた。

 

 ラブ・アンド・ピース、ビートルズに影響を受けていた。

 

 長髪のフーテンは大企業に就職することになると七三刈り上げにして、MG5かマンダムのヘアリキッドでべったりと髪を整えなくてはならなかった。当然宦官のように髭は綺麗に剃ることになった。サラリーマンになることは宮仕えと呼ばれ、役員にでもならなければ髭を生やすことは許されなかった。

 

 野球漫画には長髪の高校野球選手が登場するが、現実にはみな坊主頭である。長髪の高校野球選手が登場するのは、原作者の反骨心の表れだろう。

 

 逆につけ髭にサングラスで新宿にいけば、簡単にフーテンになることができたという話を庄司薫さんが書いている。