運動会で何故かよく使用される曲ってあると思います。例えばクラシックのこの曲。
 

 
 この曲は、日本では「天国と地獄」といった曲名として紹介されることが多いですが、厳密に言うと違います。
 もともと「天国と地獄」は曲名ではなく、ジャック・オッフェンバック作曲によるオペレッタの作品名です。つまり、「天国と地獄」という作品内にある、曲の一つが有名になっているわけです。では実際、この聞きなれた曲名は何かという話になると、少し厄介なことになります。
 
 
 ジャック・オッフェンバック
 
 
 実はこの曲を舞台で演奏するときには、下に貼っている動画のようになります。この時の曲名は日本語訳をすると「地獄のギャロップ」。
 
 "Galop Infernal"  地獄のギャロップ

 

 聴いてもらえばわかりますが、あの有名な曲には合唱があったのです!つまり、今まで「天国と地獄」として聴いてきた曲は、もともとはこの「地獄のギャロップ」から合唱を除いたものと言えるでしょう。ちなみに、曲名や舞台からわかるように、この曲は地獄(正確に言えば冥界)の場面で演奏される曲です。オリュンポスの神々がいますが、この曲に関しては天国要素はありません(というよりギリシャ神話には天国も地獄もありません)。

 

 

 あれ?この曲は「天国と地獄」の序曲じゃないの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。確かにそれも間違っていません。「天国の地獄」の序曲として単独で演奏される場合には、下の動画のように9分ほどある音楽が用いられます。

 

 この序曲は所謂メドレーとなっており、「天国と地獄」の舞台で演奏される曲がいくつも登場しています。その中でも一番有名な「地獄のギャロップ」は最後に演奏されます。ただこの序曲は後から追加された序曲であるので、実際の舞台上では演奏されずに別の序曲を用いられることもあります。

 

 天国と地獄 序曲

↑6分59秒ごろから「地獄のギャロップ」のメロディーが始まります。

 

 

 結局のところこの曲を何と呼べばいいのかといった問いには、「天国と地獄」で良いのではないかと思います。それが一番伝わりやすいでしょう。ただ自分としては、「地獄のギャロップ」という曲名も知って欲しいと思います。

 

 そして心にとどめてほしいことは、「天国と地獄」はあくまでオペレッタの作品名であること、実際の舞台ではフィナーレが差し掛かった地獄(冥界)の場面であることの2つです!

 

 

 

 

 

↓こちらの作品では、動画で紹介したものとはまた別の序曲を採用しています。