10月13日11:00~16:30、福岡市のアクロスで開催された邪馬台国フェスタ基調講演を聞いてきましたので所感を含めて概要についてご報告いたします。
1.基調講演者略歴
○小澤毅(国立文化財研究所 遺跡・調査技術研究室長)
1958年静岡県生まれ。広島大学大学院文学研究科博士課程後期中退
博士(文学)。奈良県立橿原考古学研究所技師、奈良国立文化財研究所研究員・主任研究官を経て、現職。
著書に『日本古代宮都構造の研究』、『大和吉備池廃寺』(編著)、『社会集団と政治組織』(共著)などがある。
○小澤毅(国立文化財研究所 遺跡・調査技術研究室長)
1958年静岡県生まれ。広島大学大学院文学研究科博士課程後期中退
博士(文学)。奈良県立橿原考古学研究所技師、奈良国立文化財研究所研究員・主任研究官を経て、現職。
著書に『日本古代宮都構造の研究』、『大和吉備池廃寺』(編著)、『社会集団と政治組織』(共著)などがある。
○新井宏(前 韓国国立慶尚大学招聘教授・金属考古学者)
1937年生まれ。1960年東京工業大学物理(原子核)卒業。日本金属工業の常務取締りを経て、2000年~2008年韓国国立慶尚大学招聘教授。古代計量史、金属考古学、数理考古学で未知の分野を開拓中。論文60件以上。
著書に『まぼろしの古代尺』(吉川弘文館、1992年)、『理系の視点から見た考古学の論争点』(大和書房、2007年)がある。
1937年生まれ。1960年東京工業大学物理(原子核)卒業。日本金属工業の常務取締りを経て、2000年~2008年韓国国立慶尚大学招聘教授。古代計量史、金属考古学、数理考古学で未知の分野を開拓中。論文60件以上。
著書に『まぼろしの古代尺』(吉川弘文館、1992年)、『理系の視点から見た考古学の論争点』(大和書房、2007年)がある。
○安本美典(『季刊邪馬台国』編集長・元産業能率大学教授)
1934年旧満州生まれ。京都大学文学部卒業。文学博士。日本古代史学者。
著書に『神武東遷』(中公新書)、『卑弥呼の謎』(講談社現代新書)、『邪馬台国への道』(梓書院)、『巨大古墳の被葬者は誰か』『応神天皇の秘密』(以上、広済堂出版)、『日本誕生紀(Ⅰ・Ⅱ)』(PHP研究所)などがある。現在、勉誠出版から『古代物部氏と「先代旧事本紀」の謎』『大和朝廷の起源』『日本神話120の謎』『「邪馬台国畿内説」徹底批判』『研究史 日本の起源』など、古代学シリーズを刊行中。
1934年旧満州生まれ。京都大学文学部卒業。文学博士。日本古代史学者。
著書に『神武東遷』(中公新書)、『卑弥呼の謎』(講談社現代新書)、『邪馬台国への道』(梓書院)、『巨大古墳の被葬者は誰か』『応神天皇の秘密』(以上、広済堂出版)、『日本誕生紀(Ⅰ・Ⅱ)』(PHP研究所)などがある。現在、勉誠出版から『古代物部氏と「先代旧事本紀」の謎』『大和朝廷の起源』『日本神話120の謎』『「邪馬台国畿内説」徹底批判』『研究史 日本の起源』など、古代学シリーズを刊行中。
○吉田知行(北海道大学理学部教授)
1948函館に生まれる。1973年北海道大学院理学研究科修士課程終了。1973年北海道大学助手、1976年同講師、1981年同助教授、1992年熊本大学教授、1995年~北海道大学理学部教授
専門分野は数学(代数学・応用数学・統計学)。その他、言語学・考古学・人類学等人文科学への数学・統計の応用に興味を持っている。
1948函館に生まれる。1973年北海道大学院理学研究科修士課程終了。1973年北海道大学助手、1976年同講師、1981年同助教授、1992年熊本大学教授、1995年~北海道大学理学部教授
専門分野は数学(代数学・応用数学・統計学)。その他、言語学・考古学・人類学等人文科学への数学・統計の応用に興味を持っている。
2 .基調講演概要
(1)小澤毅氏(『魏志倭人伝』が語る邪馬台国の位置)
魏志倭人伝の記述で邪馬台国や女王に属する諸国を列挙した後、その南に、抗争関係にあった狗奴国が位置すること、その長官が「狗古智卑狗(くくちひこ)」であったことを記す。
これは「菊池彦(ククチヒコ)」と解するほかないと思うし、事実、ほとんど例外なくそう解釈してきたが、古代に「ククチ」と呼ばれたことが確認され、狗奴国にあてうる地域は、肥後国北部(令制の菊池郡、和名抄の訓は久々知(くくち)。現在の菊池市)以外に存在しない。従って狗奴国の主な領域は肥後国であり、その北に位置する邪馬台国が九州にあったことは明瞭であり、両国をこれ以外の地に求める説は成り立たないといわざるをえない。
また卑弥呼の墓は箸墓とする話はあるが、記述によると卑弥呼の墓は「棺あって槨空なし」の記述があり、箸墓は前方後円墳であり槨空があるのは明らかである。従って箸墓は卑弥呼の墓でありえない。
(1)小澤毅氏(『魏志倭人伝』が語る邪馬台国の位置)
魏志倭人伝の記述で邪馬台国や女王に属する諸国を列挙した後、その南に、抗争関係にあった狗奴国が位置すること、その長官が「狗古智卑狗(くくちひこ)」であったことを記す。
これは「菊池彦(ククチヒコ)」と解するほかないと思うし、事実、ほとんど例外なくそう解釈してきたが、古代に「ククチ」と呼ばれたことが確認され、狗奴国にあてうる地域は、肥後国北部(令制の菊池郡、和名抄の訓は久々知(くくち)。現在の菊池市)以外に存在しない。従って狗奴国の主な領域は肥後国であり、その北に位置する邪馬台国が九州にあったことは明瞭であり、両国をこれ以外の地に求める説は成り立たないといわざるをえない。
また卑弥呼の墓は箸墓とする話はあるが、記述によると卑弥呼の墓は「棺あって槨空なし」の記述があり、箸墓は前方後円墳であり槨空があるのは明らかである。従って箸墓は卑弥呼の墓でありえない。
(2)新井宏氏(科学的視点からみた邪馬台国論争)
・三角縁神獣鏡は鉛同位体比から見て魏鏡ではない。(倭国の国産品である。)
・歴博(国立歴史民族博物館)の炭素14測定による年代遡上論は問題だらけで、箸墓を卑弥呼の墓とする根拠は間違っている。
・私は邪馬台国は九州、大和説には固執していないが論理的な思考が大事と思っている。
・私は古代尺度の研究者で、高句麗古墳と日本の前期古墳の造営尺が同じだったとの見解を持っている。
・三角縁神獣鏡は鉛同位体比から見て魏鏡ではない。(倭国の国産品である。)
・歴博(国立歴史民族博物館)の炭素14測定による年代遡上論は問題だらけで、箸墓を卑弥呼の墓とする根拠は間違っている。
・私は邪馬台国は九州、大和説には固執していないが論理的な思考が大事と思っている。
・私は古代尺度の研究者で、高句麗古墳と日本の前期古墳の造営尺が同じだったとの見解を持っている。
(3)安本美典氏(最新の邪馬台国論争について)
・先日発表の箸墓古墳の歴博発表と新聞発表(箸墓は築造西暦220~240年)は捏造事件(旧石器)に匹敵する位、とんでもない発表である。卑弥呼の墓にしたいとの願望が見え見えである。(箸墓は西暦360年~370年頃と見るのが妥当である。)
・炭素14測定は年代のバラツキのあることは常識である。(それなのに歴博は確定したかのような発表をしてしまった。)
・弥生時代の鉄器の出土頻度は九州福岡が大和に比較して断然多く、争乱の中心は九州で邪馬台国は九州に間違いない。古墳時代に入って大和の古墳からの鉄器出土が逆転する。
・先日発表の箸墓古墳の歴博発表と新聞発表(箸墓は築造西暦220~240年)は捏造事件(旧石器)に匹敵する位、とんでもない発表である。卑弥呼の墓にしたいとの願望が見え見えである。(箸墓は西暦360年~370年頃と見るのが妥当である。)
・炭素14測定は年代のバラツキのあることは常識である。(それなのに歴博は確定したかのような発表をしてしまった。)
・弥生時代の鉄器の出土頻度は九州福岡が大和に比較して断然多く、争乱の中心は九州で邪馬台国は九州に間違いない。古墳時代に入って大和の古墳からの鉄器出土が逆転する。
(4)吉田知行氏(数学者の見た邪馬台国論争)
・三角縁神獣鏡は鉛同位体比から見て日本製である。
(大和で多く出土する三角縁神獣鏡は国産で卑弥呼が中国から貰ったものではない。)
・古代天皇の平均在位年数は約10年である。雄略天皇の活躍時期を478年とすると「ブートストラップ法」を用いると主要な古代人物は下記の通りとなる。
活躍時期 95%信頼区間 99%信頼区間
倭迹迹日百襲姫命 325 264-376 243-388
神武天皇 242 168-307 143-324
天照大神 183 104-259 76-277
3.シンポジュム(邪馬台国論争と科学的視点:4氏参加 司会 安本美典氏)
Q:卑弥呼の墓は何処にあると思うか?
Ans:
・平原遺跡の46cmの鏡から卑弥呼の墓説と推論する説は関連がない。王都と墓の場所が違うこともありえる。(小澤)
・魏志倭人伝は誇張表現がある。墓は大きな塚で直径が百余歩の大きさに拘ることはない。高句麗の古墳(4世紀)が日本の古墳の築造に大きな影響があると思う。従って箸墓が3世紀に築造されたはずがない。卑弥呼の墓は北九州内の小さな墓と思う。(新井)
・キリストの墓の判明からすると何れ卑弥呼の墓も科学的分析で判明する時が来ると思う(吉田)
・三角縁神獣鏡は鉛同位体比から見て日本製である。
(大和で多く出土する三角縁神獣鏡は国産で卑弥呼が中国から貰ったものではない。)
・古代天皇の平均在位年数は約10年である。雄略天皇の活躍時期を478年とすると「ブートストラップ法」を用いると主要な古代人物は下記の通りとなる。
活躍時期 95%信頼区間 99%信頼区間
倭迹迹日百襲姫命 325 264-376 243-388
神武天皇 242 168-307 143-324
天照大神 183 104-259 76-277
3.シンポジュム(邪馬台国論争と科学的視点:4氏参加 司会 安本美典氏)
Q:卑弥呼の墓は何処にあると思うか?
Ans:
・平原遺跡の46cmの鏡から卑弥呼の墓説と推論する説は関連がない。王都と墓の場所が違うこともありえる。(小澤)
・魏志倭人伝は誇張表現がある。墓は大きな塚で直径が百余歩の大きさに拘ることはない。高句麗の古墳(4世紀)が日本の古墳の築造に大きな影響があると思う。従って箸墓が3世紀に築造されたはずがない。卑弥呼の墓は北九州内の小さな墓と思う。(新井)
・キリストの墓の判明からすると何れ卑弥呼の墓も科学的分析で判明する時が来ると思う(吉田)
Q:三角縁神獣鏡について
Ans:
・三角縁神獣鏡は鉛同位体比から見て魏鏡ではないのは明らかである。卑弥呼が貰った魏王からの鏡は漢式の鏡でなければならない。漢式の鏡の出土は圧倒的に北九州に多い。(新井)
Ans:
・三角縁神獣鏡は鉛同位体比から見て魏鏡ではないのは明らかである。卑弥呼が貰った魏王からの鏡は漢式の鏡でなければならない。漢式の鏡の出土は圧倒的に北九州に多い。(新井)
Q:最後に言いたいこと一言
Ans:
・弥生時代の出土遺物から北部九州の文化圏が大和に影響を与えていることは明らかである。(東遷説は断言できる。)(小澤)
・考古学は科学的分析が有利である。但し、弱点はそのデータの信憑性が問題である。魏志倭人伝を書いた陳寿は一つのデータでは書いてないことに着目して解読すべきである。(新井)
・歴博に安本との公開討論会を申し込んだが、応じなかった。歴博は国家の税金(年4億円)を使っているのだから箸墓の年代発表は慎重にすべきだ。(安本)
・考古学について文系、理系の交流が必要である。文系は論理的説明が不足している。日本の教育も日本語の論理的訓練を重視したものにすべきだ。
Ans:
・弥生時代の出土遺物から北部九州の文化圏が大和に影響を与えていることは明らかである。(東遷説は断言できる。)(小澤)
・考古学は科学的分析が有利である。但し、弱点はそのデータの信憑性が問題である。魏志倭人伝を書いた陳寿は一つのデータでは書いてないことに着目して解読すべきである。(新井)
・歴博に安本との公開討論会を申し込んだが、応じなかった。歴博は国家の税金(年4億円)を使っているのだから箸墓の年代発表は慎重にすべきだ。(安本)
・考古学について文系、理系の交流が必要である。文系は論理的説明が不足している。日本の教育も日本語の論理的訓練を重視したものにすべきだ。
4.参加所感(稲葉)
今回の基調講演は理系の講師を交えての最新の考古学の状況を把握できたので得るものは多かったと思う。特に鏡の鉛同位体比結果は貴重なものと思う。
また、配布資料も豊富で特にデータ分析根拠が明確であり、講演の信憑性があった。
今回の基調講演は理系の講師を交えての最新の考古学の状況を把握できたので得るものは多かったと思う。特に鏡の鉛同位体比結果は貴重なものと思う。
また、配布資料も豊富で特にデータ分析根拠が明確であり、講演の信憑性があった。
安本氏の歴博(国立歴史民族博物館)の箸墓年代発表の不信感の強いことをはじめて知った。国家の機関としてもっと研究及び発表は慎重であるべきと思う。
今回の講師はほとんどは邪馬台国九州説であり、畿内説の講師も主催者は呼ぶべきではなかったかと思う。(九州だから九州説に絞ったということかもしれないが・・)
今回の講演は約5時間に亘る長時間であったけれどもそれだけに意義ある講演であった。アマテラスも範疇に入っており、我々のアマテラス研究も現実味があると確信できた。
今回の講師はほとんどは邪馬台国九州説であり、畿内説の講師も主催者は呼ぶべきではなかったかと思う。(九州だから九州説に絞ったということかもしれないが・・)
今回の講演は約5時間に亘る長時間であったけれどもそれだけに意義ある講演であった。アマテラスも範疇に入っており、我々のアマテラス研究も現実味があると確信できた。
最後に今回の講演と日頃から感じていることは「日本の古代の謎を解明するため、宮内庁には全ての天皇陵を公開して欲しい!」ということである。そうすれば科学的解明も含めて日本の古代史がエジプトのピラミッドに匹敵する事実が明らかになると思う。(下記URLの後段を参考)
http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/haka-topic26.html
以上参加報告は稲葉でした。コメント大歓迎!
http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/haka-topic26.html
以上参加報告は稲葉でした。コメント大歓迎!