今から15年以上前の話です。
バイクに乗っている青年たちは夏になると、こぞって
北海道にツーリングに出かけました。
私も20歳前後の頃、そんな月並みな青年の一人で
友人たちと北海道に出かけました。
北海道の玄関口、函館は何となく長崎を連想させる町並みです。
函館到着後、お腹をすかせた我々は宿のオーナーオススメの
ジンギスカン料理店に行きました。
そのお店は函館駅のそばにある、ごくごく庶民的な小さい食堂でした。
「 安くておいしいからオススメだよ 」
というオーナーの言葉通り、店の前にはおいしそうな匂いが漂っています。
「 こんにちわー 」
元気よくお店に入ると、割烹着を着たおばあちゃんが
怖い顔をして
「 今日はご飯がきれたから終わり! もう店じまいだよ!ヽ(`Д´)ノ
帰った!帰った! 」
「 えーまだ6時ですよ。 」
「 もうね、ご飯がなくなるとウチはおしまいなの! 」
仕方がなく、店を出ましたが、美味しそうな匂いをかがされただけではヘビの生殺しです・・・
よっしゃー! 再チャレンジ!
「 あのーどっかでご飯買ってくるからダメですか? 」
「 今日はね、なんか調子よくないの! ダメって言ってるでしょ!! 」
うわー怖い(ノ゚ο゚)ノ・・・・ やめとこ。
お店の前で 「 じゃ、どこに行く? 」
と相談すること約5分。
ガラガラガラ
おばあちゃんがお店から出てきました。
「 駅の向こうにね、スーパーがあるからね、おにぎり買ってらっしゃい!
肉はたくさんあるから!\(*`∧´)/ お腹減ってるんでしょ! 」
指示された通り、スーパーでおにぎりを買ってお店に戻りました。
「 定食は700円だけど、ご飯がないから500円でいいよ! 好きなだけ食べなさい 」
テーブルにドスンと置かれた ラム肉 そしてモヤシとキャベツの山・・・・
す、すごい量・・・・・
「 こんなに食えないですよヽ(゜▽、゜)ノ(笑) 」
「 何言ってんの! 若いんだからこの位食べられないでどうすんの! 」
そして肉を焼こうと鉄板に肉を置いたら
「 コラー!!! ジンギスカンはね、まず野菜を鉄板に置いて
その上に肉を置いて蒸して、最後に野菜と肉を混ぜるものなの!! 」
ラム肉の肉汁が野菜に染み渡ったら、一気に肉と野菜をかき混ぜて
秘伝のタレで食べるそうで、おばあちゃんが手際よく焼いてくれます。
「 肉の置き方が悪いねー! それじゃ美味しくならないのよ! 」
「 まだ食べちゃダメ! もう、私がやるから余計なことしないの!! 」
怒られながらも、何か温かいものを感じるおばあちゃんです。
「 ビールありますか? 」
「 あるけど! でもあんたらみたいな若僧は脳みそが腐るから出さない 」
もう、漫才です。
だけど本当においしいジンギスカン・・・
ジンギスカンってこんなに美味しいんだ。
「 あーご飯が炊けた。 そっちのおにぎりはやめて、炊きたてを食べなさい。」
えぇー
毒舌掛け合い漫才は3時間も続きました。
自分のこと、孫のこと、街のこと、色々なことを毒舌を交えながら話してくれます。
そして、帰り際におばあちゃんが奥から何か持ってきました。
「 仏壇に飾ってあったハッカの飴だよ。 あんたらひもじく見えるから
持って行ったらいい。 縁起ものだよ。 こんなものあげた事ないよ。 」
「 頂きます! 」
そして 「 おもひでノート 」 と書かれた大学ノートを我々に差し出し
「 何か書いて行きなさい 」
見るとノートには
「 おばちゃんありがとう! 本当においしかった 」
「 この店はバ○アも味も最高! 」
と言った寄せ書きがたくさん。
おばあちゃんと楽しい夜を過ごしました。
「 あんたらバイクにのってんでしょ? 親より先に死んだら承知しないよ 」
「 はーい 」
北海道は摩周湖も硫黄山も小樽の夜も素晴らしかった。
だけどおばあちゃんとの思い出が一番印象深かったです。
北海道で仕事をしている友人によると、今そのお店はもうなかったそうです。
人と人との繋がりが希薄になっている今の時代。
インターネットで何でも買える時代になっていますが
こそでやは今後もお客様との関わりを大事にしていきたいと思っています。
取り留めのない話になってしまいましたが、最後までお付き合いありがとうございました。