デンマークの新聞がムハンマド(イスラム教の象徴とされる大預言者)を風刺漫画として掲載したことに対するイスラム教徒からの抗議が徐々に過激になってきている。
当事者であるデンマークはイスラム教に対して既に謝罪しているにもかかわらずだ。
これは「表現の自由」を理由に、さまざまな国のメディアが同様の風刺漫画を掲載したことによって世界各地に広まったことにもよる。
もうデンマークの謝罪で済む問題ではなくなってしまったようだ。
イスラム諸国がデンマーク製品の不買運動などで抗議運動を起こした段階でデンマークがすぐさま謝罪し、各国のメディアが騒がずにいたなら、時間をかけて話し合えば解決出来る問題であっただろう。
ここにきてやっかいなことはイスラム教の指導者によるファトワと呼ばれる宗教的な命令が出された可能性があることだ。
刺客が放たれたのだ。
デンマークで風刺画を書いた漫画家や、同様のものを描いた一部の国の漫画家も身を隠したらしい。
表現の自由を掲げたわりには随分臆病な連中だとも思うが、国家や警察が身辺警護として批難させたとも考えられる。
「表現の自由」を叫ぶには覚悟がいるのだ、過去の歴史がそれを証明しているではないか。
そんな中、新たな問題が起こりつつある。
イランの新聞紙が『言論の自由をたてにイスラム教徒を侮辱した欧州がホロコースト問題で同様の自由を認めるるのかを問う』という主旨で、ホロコーストを題材にした風刺漫画のコンペ開催を発表したのだ。
入賞者には相当額の金貨を贈るという。
これは相手にこちらの立場をわからせるという目的というには、あまりにもテーマが恐ろしい対抗措置だと言わざるをえない。
これを発表した新聞ハムシャフリは、イランのアフマディネジャド大統領の地元テヘランが発行しているのだから。
アフマディネジャド大統領といえば反イスラエルで有名だ、先日もホロコーストは作り話だと発言した人物だ。
もしホロコーストを風刺した漫画が掲載されれば、欧州の反応はそれなりにはあるだろうが、そんなことよりもユダヤ人軍事国家イスラエルが黙ってはいないだろう。
あれほど激しいパレスチナ人迫害政策をしたシャロンでさえ国内では穏健派だったのだ。
イランがイスラエルともめるようなことになれば、ハマスも活発に動き出すことだろう。
これまでにない規模の中東紛争に発展してしまうのではないだろうかと心配してしまう。
メディアが『表現の自由』を強く掲げるのなら、この問題が異教徒との摩擦問題から国家間紛争に置き換えられてしまう前に、相互理解を深めるための話し合いに積極的に取り組んでいく責任があるのではないのか。
自分たちの考え方だけを正しいと説く側と、過敏な被害者意識を持つ側、少しは相手の話に耳を傾けるという古きよき日本人を見習ってほしいと願う。
もっとも、最近は他人の考えを一切聞かず、自分の考えを絶対曲げない頑固な日本人も多くなってしまったけれど。