今まで、
屈折の法則から波面が浅瀬に向かうにつれ、
次第に海岸線に平行になっていくことを示しました。
今回は第三回目です。
(砂紋。 サハラ砂漠、チュニジア)
反対に、
時間を逆回転したら、波面はどうなるか?
浅瀬から遠ざかるにつれ、少しのずれが拡大し、
波面はどんどん海岸線から平行ではなくなります。
sinθ/ c = 一定
を保つので、沖に行くほど速さ cは大きくなり、それにつれてsinθが大きくなります。
ところが
sinθは 角度が90度の時が1で最大で、それより大きくなれないので、波面が海岸線に垂直になって戻ってきます。
これを波の全反射と言います。
この現象が最も顕著に現れるのが『蜃気楼』です。
(二色の太陽。 サハラ砂漠、チュニジア)
光の速さは大気中の温度によって変わります。
エドレンの実験式によると、
温度がΔT上昇した時の光の速さの変化Δcは
と与えられるそうです。
従って
1) 夏の昼間のアスファルトや冬の海面など、地表が温かく上空が冷たい時は地面に近づくほど光の速さが速くなり、
逆に
2) 地上が冷えた冬の朝など、地表が冷たく上空が温かい時は地面から遠ざかるほど光の速さが速くなります。
1) の時に、地面から少し離れたところにある物体が浅い角度で斜め下方向に光を発すると、
光が地面に向かうにつれ速くなり、
地面すれすれのある高さで全反射を起こし得ます。
そのため、地面や水面の下側に上下反転した像が見えたりします。
これを『下位蜃気楼』というそうです。
2)の時には、地面にある物体が斜め上方向に光を発すると、光が地面から遠ざかるにつれて速くなるので、上空のある高さで全反射を起こし得ます。
そのため例えば、大きな船の像が上に伸びて見えたり、
条件によっては、
上空にひっくり返って空中に浮かんで見えたりします。
これらを『上位蜃気楼』というそうです。
これと全く同じことが、音の波でも起こります。
昼は地面が暖かく、上に行くにつれて温度が低い。
夜は地面が冷えて、上に行くにつれて温度が高い。
温度が低いと空気の圧力が小さいので音速が小さくなる。温度が高いと空気の圧力が大きいので音速が大きくなる。
波や光と同じ屈折や全反射が起こる状況が音波についても成り立ちます。
このことから
昼間にグランドで叫ぶと、
音は屈折して上空に抜けていくので遠くの人に届きにくい。
しかし、
夜に犬が遠吠えすると、
上空で全反射して、音が遠く離れた地面にいる人に届く。
波の話。
一見、異なる波の現象が繋がっていて、とても面白いです。
(哲也)



