パニック障害の3つの症状
パニック障害はパニック発作、予期不安、広場恐怖の3つの症状に分けられます。パニック発作は、突然の息苦しさ、動悸、発汗、めまいによって強烈な恐怖が引き起こされるものです。予期不安は、またパニック発作が起こるのではないかという不安に襲われるもので、広場恐怖は、広場や人混みなどで、パニック発作が起こるのではないかと強い不安にとらわれるものです。
ちなみに日本では、およそ100人に1人はパニック障害になることが分かっています(Ishikawaら、2016年)。またパニック障害患者は、およそ6割が1年以内に寛解しますが、場合によっては再発を繰り返し、慢性化しやすいことも報告されています(Batelaanら、2010年)。身体的・精神的ストレスが引き金となって発症し、女性は男性の2倍発症しやすく、また若い年代で神経症的傾向の高いものが発症しやすいとされています(Zuglianiら、2017年)。
パニック障害の原因
脳は体の一部です。そのため体の状態は脳の機能にも影響します。私達の体にはホメオスタシスとアロスタシスと呼ばれる2つのシステムがあります。
ホメオスタシスは体の状態を一定に保つための仕組みです。血圧は上がれば下がる、体温も上がれば下がるという、あの仕組みです。
それに対してアロスタシスはからだの基本設定を変えるシステムです。例えば、四六時中ストレスフルな状況の置かれると、体はその状態に対応しようとして、テンション高め、血圧高めの状態を基本設定にしてしまいます。胎児期/乳幼児期に長期間ストレス下に置かれる状況は深刻です。
テンション高め、血圧高めの状態も短期間であれば問題ありませんが、長期間になると体へのダメージも大きくなります。具体的には、炎症性サイトカインが体内にばらまかれ、前頭前野の活動を弱められ、不安症状や抑うつ症状が引き起こされます。
また精神的なストレスだけでなく、身体的なストレスでも同じことが起こります。歯周病や肥満では同じく炎症性サイトカインが増えて精神疾患に悪影響を及ぼすことが分かっています(Makkarら、2018年)。そのためパニック障害を改善するためには、まず生活習慣を整えて、体質を改善することが大事になってきます。
体質改善によるパニック障害へのアプローチ
先に述べたようにパニック障害患者では体の基本設定が変わり、体質が変わってしまいます。ではどのような仕組みで基本設定が変わってしまうのでしょうか。ここで出てくるのがエピジェネティクスと呼ばれる概念です。体の基本設定は、生まれたときにある程度決まっています。セロトニンが出やすい体質の人もいれば、ドーパミンが出やすい体質の人もいます。とはいえ、これは絶対不変のものではありません。体の基本設定を司る遺伝子は環境によって変わりうるからです。そしてこの環境によって引き起こされる遺伝子の変化がエピジェネティクスと呼ばれるものです。
幸いこの遺伝子の変化は再び良い方にも変えることもできます。例えばパニック障害患者にタッチセラピーや薬物療法、認知行動療法などを行うことで遺伝子レベルで変化が起こることも分かっていますし(Moserら、2022年)、有酸素運動や瞑想、腸内環境の改善によっても同じような変化が生じることが分かっています(Househamら、2017年)。ただこのような変化はすぐに生じるものではありません。それを裏付けるように、多くの研究は2ヶ月から6ヶ月以上の時間をかけて実験を行っています。体質を変えるためには腰を据えた取り組みが必要になります。
グーグルで「パニック障害 治療」と検索すると、出てくるのはだいたいお医者さんが書かれた記事、あるいは病院のホームページでしょう。我々代替療法などのセラピストが書いたものは上位に表示されません。これは、グーグルの仕様上、そのようになってしまっています。
ですので、一般の方からすれば、「パニック症になったら心療内科に行って薬で治療する」という構図が出来上がってしまいます。よほど意識がないと、他の選択肢があることに気づけないようになっているんですね。(パニック障害に限ったことではありませんが。。)
人によっては、あるいは状態によって、お薬を使われた方がいいケースもあると思います。お薬で症状を抑えながら身体的心理療法を進めていく、という考え方もできると思うので、薬は絶対にダメ、というのではありません。
ただ、パニック障害の本当の原因や発症の仕組みがはっきりとわかっていない状況で、「パニックにはこの薬」というふうに自動的に当たり前のように処方されている現状に疑問を抱いています。
そして、患者側も、もう少し自分の身体や、身体に取り入れるものについて関心を抱いて欲しい、そう願います。
それで、パニック障害に一般的に処方されるのが以下のお薬です。
・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
・短期間の限定的なベンゾジアゼピン(抗不安薬)
抗うつと抗不安薬ですね。
一度お薬を服用し始められると、その副作用などの兼ね合いで、施術やセラピーを施してもいたちごっこ状態になった経験もありますので、決断は慎重になさってくださいね。
薬以外の方法も一度ご検討ください。
・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
脳内の神経伝達を改善し、意欲を高めたり、憂鬱な気分などを改善する薬
うつ病では脳内のセロトニンなどの神経伝達物質の働きが不調となり、意欲の低下、不安などの症状があらわれる
シナプス前終末から遊離(放出)された神経伝達物質は、自身の受容体へ作用(結合)することで情報が伝達されるが、遊離された神経伝達物質の一部はシナプス前終末へ回収(再取り込み)される
本剤は脳内でセロトニンの再取り込みを阻害しセロトニンの働きを増強することで抗うつ作用などをあらわす
本剤はセロトニンの働きが深く関わるとされる強迫性障害やパニック障害などに使用する場合もある
詳しい薬理作用
うつ病では脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンやセロトニンなどの働きが不調に陥ることで脳の機能不全が引き起こされ、意欲の低下、不安やいらいら、不眠などの症状があらわれる。
脳内の神経細胞はシナプスという部位を介して神経回路を形成している。シナプス前終末から神経伝達物質が遊離(放出)され、神経後シナプスの受容体へ作用(結合)することで情報が伝達される。遊離された神経伝達物質の一部は「再取り込み」といって神経前終末へ回収される。この再取り込みを阻害すると伝達に使われる神経伝達物質を増やすことができ、その神経伝達物質の働きを増強することができる。
本剤(SSRI)は主に脳内で神経伝達物質セロトニンの再取り込みを阻害し、セロトニンの働きを増強することで抗うつ作用をあらわす。
また、セロトニンには脳内で神経伝達物質ノルアドレナリンの作用を調整する働きがある。パニック障害などはノルアドレナリンに関与する神経の異常興奮などによっておこるとされているため、本剤の中にはこれらの疾患に対しても改善効果が確認されている薬剤もある。
なお、本剤のSSRIとは「Selective Serotonin Reuptake Inhibitor(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」の略称。
主な副作用や注意点
消化器症状
吐き気、嘔吐、便秘、下痢、食欲不振、口渇などの症状があらわれる場合がある
上記の症状は服用初期にあらわれることが多いが、2〜3週間前後で軽減、消失する傾向にあるとされる
精神神経系症状
眠気、めまい、ふらつき、頭痛、不随意運動などの症状があらわれる場合がある
自動車の運転など危険を伴う機械の作業は控える
セロトニン症候群
頻度は非常に稀とされるが不安、いらいらする、混乱するなどの症状があらわれる場合がある
上記の症状に加え、興奮、手足や眼が勝手に動く、震え、体が固くなる、発汗、発熱、下痢、頻脈などがみられる場合は医師や薬剤師に連絡するなど適切に対処する
性機能障害
頻度は稀である
勃起障害、射精障害などの性機能異常があらわれる場合がある
(日経メディカル引用)
・短期間の限定的なベンゾジアゼピン(抗不安薬)
脳の興奮などを抑えることで不安、緊張、不眠などを改善する薬
脳内のベンゾジアゼピン(BZD)受容体などが抗不安、催眠・鎮静などに関与する
BZD受容体が刺激を受けると脳の興奮が抑えられ抗不安作用などがあらわれる
本剤はBZD受容体に結合しこの受容体を刺激する作用をあらわす
筋肉の緊張を緩和する筋弛緩作用により腰痛症や緊張型頭痛などに使用する薬剤もある
詳しい薬理作用
不安障害では精神的なショック、ストレス、睡眠不足などにより、様々な事柄に対して不安を感じてしまい恐怖やパニック症状などがおこる場合もある。また心身症ではストレスなどにより、頭痛、めまいなどの症状があらわれる。
脳内の抑制性神経伝達物質であるGABA(gamma-aminobutyric acid:γ-アミノ酪酸)が作用するGABA受容体は抗不安、催眠・鎮静などに深く関わり、GABA受容体はベンゾジアゼピン(BZD)受容体と共に複合体を形成している。BZD受容体が刺激を受けるとこの複合体に塩化物イオン(Cl−)が流入し、脳の興奮が抑制され抗不安作用や催眠・鎮静作用などがあらわれる。
本剤はBZD受容体に作用しこの受容体に結合することでGABAの活動を高め、抗不安作用や催眠・鎮静作用などをあらわし不安障害や心身症などの諸症状を改善する。また本剤は脊髄反射を抑えることで筋肉の緊張を緩和する筋弛緩作用により腰痛症や緊張型頭痛などに使用する薬剤もある。
主な副作用や注意点
精神神経系症状
眠気、ふらつき、頭痛などがあらわれる場合がある
消化器症状
吐き気、食欲不振、口渇、便秘などがあらわれる場合がある
薬物依存
頻度は非常に稀であるが、大量使用や連用により薬物依存があらわれる場合がある
(日経メディカル引用)
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